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Razer初の本格マイク「Razer Seiren」ファーストインプレッション。ゲーム実況者ならこれは買いだ
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印刷2015/02/04 12:00

テストレポート

Razer初の本格マイク「Razer Seiren」ファーストインプレッション。ゲーム実況者ならこれは買いだ

Razer Seirēn
メーカー:Razer
問い合わせ先:MSY(販売代理店)
予想実売価格:2万9200円前後(※2015年2月4日現在)
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 別途お伝えしているとおり,Razer初の単体マイク製品となる「Razer Seirēn」(以下,Seiren)の国内発売が発表になった。外観やスペックから,Razerによる発表以降,大いに注目を集めていた製品だけに,その実力が気になるゲーム配信者諸姉諸兄も多いのではなかろうか。
 今回筆者は,4Gamerの会議室で,MSYによるデモを体験することができたので,レビューに先立ち,まずはファーストインプレッションをお届けしてみたいと思う。


相当に完成度の高いSeiren

使い勝手はよく,入力品質も良好


 美声で人を惑わすギリシア神話の怪物からその名が取られたSeiren(セイレーン)の外観は,どこからどう見てもマイクそのものである。マイク本体が,台座に乗った感じの見た目だ。

民生用としてはかなり大型のSeirenを,話者の側から撮影したカット(左)と,話者から見て反対側からのカット(右)。ビンテージ風味と最新製品の風味が混ざった,いわゆる「ニュービンテージ」風デザインだ。台座が必要なのは、もちろん話者の口元に近くなるようにというのが一番だが,室内の各種振動が低周波として拾われることを防ぐ目的もある
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 Seirenの接続インタフェースはUSB(USB 2.0 Type A)なので,デジタルマイクということになる。USBクラスドライバで動作する仕様になっており,デモの場に持参した筆者私物のMacBook Airでは,差しただけで認識され,動作した。ただし,Seirenは統合ソフトウェア「Razer Synapse 2.0」対応なので,同ソフトウェア導入後の挙動は,別途テストする必要があるだろう。

 ビットレートは24bit,サンプリング周波数は192kHzなので,仕様上はプロレベルの要求を満たす。その分本体サイズは120(W)×120(D)×298(H)mmと大きめで,本体側面のRazerロゴマークがなければ,プロ仕様のマイクと見分けは付かないほどだ。
 気になる重量は約1.32kg。可搬性に優れるとはいえないものの,設置時の安定感は高い。

マイクスタンドに立てるときに使うショックマウンタと,ブローノイズ(※話者の息が「ボッ」とマイクに乗るノイズ)対策のポップフィルタは別売り,しかも国内販売予定は今のところなく,Razer直販サイト限定販売になるという。なお,原稿執筆時点では単品販売もされておらず,本体とのバンドルしか入手の方法はないようだった
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 マイクはゲーマー向けヘッドセットの多くで採用されるような無指向性ダイナミック型ではなく,プロのレコーディング現場でお馴染みのコンデンサ型。コンデンサ型は一般に,ダイナミック型よりもさらに繊細な音質傾向で,かつ小さな音まで拾える――解像度に優れ,ディテールまで録音できる――が,実際にMacBook Airと接続して確認した音質傾向も,まさにコンデンサ型マイクそのものだった。

 もう少し具体的に述べると,低音から高音までしっかり拾い,しかも,録音した声に張りを持たせるのに重要な,2kHz〜4kHz付近のプレゼンス帯域がやや強いので,クリスピーでカリッとした,“いい感じ”の録音が行える。ゲーマー向けヘッドセットのマイクや,数千円で買えるような単体マイクからSeirenに変更すると,実況する声の品質が格段に上がると考えていい。

 Seirenでもう1つ重要なのは,マイクカプセルをアレイ状に3基重ね,4種類の指向性を得られるようにしてあるところだ。
 マイクにおける「指向性」というのは,簡単にいうと,指定された方向「以外」の方向からの集音レベルを下げ,指向する範囲内の音を集中的に集音させる機能のこと。これにより,指向する範囲内の音に集中して集音できる。プロオーディオの録音現場では必須の機能であり,多くのプロ用マイクが実装しているものだが,それがSeirenでも利用できるわけである。

話者から見て背面側のコントローラでは,「P」ノブが指向性切り換え用となる。「G」ノブについては後述
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 Seirenでは,話者から見て裏側にある2つのノブのうち,上にある「P」(Polarity,指向性)とプリントがあるほうを回すことで,指向性を切り替えられる。選択した指向性パターンは,話者から見て本体正面中央の一番上右にある小型パネルに表示される仕様だ。

 選択肢はカージオイド(cardioid,心臓型)とステレオオムニディレクショナル(omni-directional,無指向),バイディレクショナル(bi-directional,双方向指向)の4つだが,なかでもユニークなのはステレオで,このモードを使えば,たとえばバンド演奏の生配信や,周辺の音の録音といった用途にもSeirenが1台あれば事足りるわけである。
 残る指向性モードもしっかりしたものになっており,たとえばバイディレクショナルだと,マイクの前でしゃべった声以外のノイズが減り,ほかのモードと比べて声が前に出てくる感じが得られた。このあたりは後日,細かくチェックしたいと思う。

製品ボックスにプリントされていた,マイクの指向性解説。上からカージオイド,ステレオ,オムニディレクショナル,バイディレクショナルだ。カージオイドは話者側の音を中心に集音するので,実況中継にお勧め。ステレオは話者から見て左右両側と背面を中心にステレオで集音する。オムニディレクショナルだと,指向性がなく,全方向を均等に拾うので,会議などによい。バイディレクショナルは話者の側と背面側を集音するので,インタビューやデュエットに向くが,指向性が最も強いため,最も低ノイズで集音できるメリットもある。ただし,背面の音も集音するため,設置場所の工夫は必要だ
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 マイクの入力レベル調整は,話者から見て本体裏側にある2つのノブのうち,下にある「G」(Gain)ノブで行える。筆者が試してみたところ,よほど小さな声でしゃべる人でもなければ,最大でも50%程度で十分だろう。あまり入力レベルを高くするとノイズもどんどん持ち上がるので、ゲインレベルを上げすぎないのが実は使用上最大のポイントだ。
 また,ミュートの有効/無効切り替え機能は,話者から見て本体手前の側にボタンとして用意されており,押すごとにLEDが緑→赤→緑→……と切り替わるので,視覚的にも分かりやすい。

話者から見て手前側には,ヘッドフォン出力時の出力音量調整用となる「V」(Volume)ノブと,小型パネルがある(左)。小型パネルの右にあるアイコンは指向性マークで,ここで現状の指向性を確認可能。中央のバーはボリュームで,「G」ノブを回しているときはマイク,「V」ノブを回しているときは写真のとおりヘッドフォンマークが表示される仕掛けである。右はマイクミュートボタンを押したところ。見てのとおり赤く光るため,うっかりミュートし忘れるような失態は起こりにくくなる……はずだ
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マイクの底面。上からRazerロゴのLEDイルミネーション有効/無効切り替えスイッチと,ヘッドフォン出力端子,ショックマウンタを接続用のねじ穴,PCと接続するためのUSB Mini-B端子という並びだ
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 軽く使ってみて実用的だと感じたのは,本体にヘッドフォンアンプが内蔵されており,本体底面の3.5mmミニピン出力端子からヘッドフォンでモニタリングを行えるところ。そう,Seirenは,単なるマイクとしてだけではなく,USB接続のサウンド入出力デバイスとして利用できるわけである。

 Seirenのヘッドフォン出力はゼロ遅延が謳われているが,筆者が確認した限り,確かに遅延は感じられなかった。なので,「自分の声を録音しながらヘッドフォンでモニタリングすると,声が遅れて聞こえてしまい,非常にしゃべりにくい」という問題は,Seirenのヘッドフォンを出力でも使えば生じないことになる。
 その出力音質傾向も,マイク入力と同様,クリスピーで解像度が高いものになっているので,自分の声をモニタリングしながら録画・録音したいユーザ―の場合は,PCの録画・録音ソフトウェア経由でモニタリングするのではなく,Seirenから直接モニタリングしたほうが幸せになれるだろう。

 数十分程度の試用において,1つだけ気になったのは,録音環境のノイズもきちんと拾ってしまったことである。コンデンサ型マイクは感度が高い分,どうしても環境ノイズを拾いやすくなるのは当然のことであり,裏返せば高品質の証でもあるわけだが,Seirenもその例に漏れなかったというわけだ。
 もちろんその対策として,Seirenには指向性切り換えスイッチが用意されているのだが,Seirenの場合は,周波数特性が大変良好でありすぎることが災いして,とくに足音や物音などといった低周波ノイズをしっかり拾ってしまう。

マイク上面
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 プロ用マイクの場合は一般的に,この問題に対策すべく,低周波ノイズをカットするためのハイパスフィルタ機能を有効化できたりするのだが,Seirenのハードウェアには用意されていなかった。なので,気になる場合は別途,録音・録画ソフト側でハイパスフィルタを適用する必要があるかもしれない。もちろん,Razer Synapse 2.0を導入することでハイパスフィルタを利用できるようになる可能性はあるため,ここは続報を待ってもらえればと思う。
 ちなみにエアコンの駆動音などは,指向性をカージオイドかバイディレクショナルにして,マイクの設置位置を工夫すれば,気にならない程度に抑えることができた。


ゲーム実況者なら“飛びつき”OK

使い方が見えているなら買いだ


 この手のマイクの使い方は,プロの録音現場だと常識なのだが,民生ではまったくノウハウが認知されていないことが多々あるので,実機を入手し次第,レビューとしてお伝えしたいと考えている。
 ただ,実況系プレイヤーなら,それを待たずとも十分に「買い」だ。3万円弱という価格は高いと思うかもしれないが,実現されている機能や性能を考えれば妥当。実況の品質は格段に上がるので,飛びついてしまっても後悔することはないと述べておきたい。

関連記事:Razer初の単体マイク製品「Seiren」,2月26日に3万円弱で国内発売決定

RazerのSeiren製品情報ページ(英語)


※お詫びと訂正
 初出時,ハイパスフィルタを「ローパスフィルタ」と誤って記載しておりました。お詫びして訂正します。
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