インタビュー
いま明かされる「ロスト」の仕様――“喜怒哀楽”を喚起し,プレイヤーの記憶に残るゲーム体験を提供する「Wizardry Online」について,二人のプロデューサーに聞いた
快適なプレイのため,パーティは当面4人編成に
1フロア踏破に7〜8時間かかるダンジョンも用意
4Gamer:
しかし公開されてる写真を見ると,ダンジョンが広そうですよね。さすがに20×20で作ってることはないだろうとは思ってましたが,想像を超えて広いというか。
岩原氏:
いや,20×20じゃ何もできないですよ(笑)。まあ,オリジナルでWerdnaがいるフロアをWizardry Onlineのなかで再現するとどうなるか,試してみたいという気持ちはありますが。
前田氏:
ちなみに一番最初のダンジョンは,1フロア構成を踏破するのに普通にプレイして4〜5時間かかります。
4Gamer:
……いま1「フロア」って言いました?
岩原氏:
ええ(笑)。
まあリドルを解くのに手間取ったり,ダンジョン内で迷ったりすることを踏まえて5時間です。慣れていれば,もっと早く終わるでしょう。
前田氏:
先に進むと1フロアで7〜8時間かかるものが7階層とか,そういう構成になっていきます。
4Gamer:
EverQuest(EQ)のRAIDのときに「仕事が忙しくなったら出来ないだろうなぁ」と思いながらやってましたが,まさかまたここに及んで,そういう膨大に時間を使うゲームを遊ぶことになるとは思いませんでした。
岩原氏:
がんばって遊んでください(笑)。とはいえ,1日でダンジョン攻略なんて無理ですから,途中で帰ってきて,翌日またエレベーターで降りて……みたいなことを繰り返すことになるでしょう。……楽しそうでしょ?
4Gamer:
いやもう,すでにワクワクです。ついでにブルーリボンとか蛙の置物(※)とかもお願いします。
(※)ブルーリボンは,Wizardry 1で地下5階以降に直通で行けるエレベータに乗るための通行証。蛙の置物は,Wizardry 1でイベントを進めるためのキーアイテム。踊っている蛙なのだが,元ネタはセサミストリートのカーミット。
岩原氏:
今のところありませんが,いつかどこかで使ってみたいですね。「モンスターアローケーションセンター」(※)とかも使いたいネタではあります。
(※)Wizardry 1の地下4階にあるイベントポイント。ここを超えられないとその先はとうていおぼつかない,関所のような場所。そしてレベルアップと全滅の友。
前田氏:
ともあれ,ダンジョンは相当広くなっていますから探索しがいがありますよ。
4Gamer:
かつてのプレイヤーが,ワイヤーフレームのダンジョンを眺めながら「きっと本当はこういうダンジョンなんだろうなあ」と想像したような感じ?
岩原氏:
少なくとも,私が想像していたものにはなっています。
ただ,現時点で用意しているダンジョンは通路が狭くて,6人パーティには不都合なんですよ。そこで,先ほどもちょっと述べましたが,今のところはパーティの上限が4人になっています。
4Gamer:
はい。そこはあとで突っ込もうと思って黙って聞いてました。それは,まだ上位職が実装されないから? それともバランスの問題?
前田氏:
バランスの問題ですね。また岩原のいうとおり,通路が狭いので6人パーティは現実的じゃないんですよ。4人であれば,ストレスなくパーティプレイを楽しめます。
岩原氏:
もちろん,今後は通路を広くしたダンジョンが追加されますから,6人パーティでも問題なく遊べるようになります。
前田氏:
また3Dになったことで,高さの概念があるんですよね。
4Gamer:
ということは中2階とかもあるわけですね。
前田氏:
はい,立体交差していたりとか,複雑になっています。
4Gamer:
ああいうマップってまったく覚えられないんですよね……。「DUMAPIC」(※)は? 3Dマップではほとんど意味ないとは思いますけど。
(※)クラシックWizardryにおける座標を調べる呪文で,これをマメに唱えながら方眼紙に地図を書くのが,クラシックWizardryの様式美。昔の魔法はMP管理ではなくて回数管理なので,回復呪文が残っていても,このDUMAPICが唱えられなくなったら城に帰還したものだ。
岩原氏:
ないですが,いちおう座標は表示されますよ。
またオートマッピングはないのですが,マップそのものがいくつかのピースに分かれていて,アイテムとして使用すると該当部分のマップが埋まっていきます。ピースは,ダンジョン内のさまざまなところに隠してあったり,モンスターが持っていたりします。あともしかしたら,誰かの死体とかも持ってたりするかも……?
なお,難度の高いダンジョンほど,一つのピースのサイズが小さくなっていきます。それを集めてマップを完成させていくというのも,本作の楽しみの一つになるんじゃないかと。
マップが全然埋まってない状態 |
マップがかなり完成してきた状態 |
4Gamer:
マップを完成させると,何かいいことありますか? クエスト経験値みたいなものがもらえたりとか。
前田氏:
自分の位置が分かるようになるだけです。マップのメリットは,何といっても自分の現在地と,どこに向かえば出口があるのか分かるということですから。
岩原氏:
守護者の像の位置も表示されますから,仮に自分が死んだときにどこに向かえばいいのかも分かります。
しかしマップは手書き調になっていて,決して綺麗なものじゃないんですよ。またマップは羊皮紙のようなものに書かれていて2次元で表現されるので,立体になっている部分までは反映されないんです。
4Gamer:
マップのピースはトレードできますか?
岩原氏:
使用してマップ化する前の状態なら,トレードできます。まあ,同じピースをいくつも所持できますから,売買や交換は普通に成立することでしょう。
前田氏:
ちなみにマップのないダンジョンも存在するんですよ。
岩原氏:
全部ダークゾーンとか(笑)。ダークゾーンといっても,うっすら見えるんですよ。そこで「MILWA」「LOMILWA」のような効果の呪文を唱えると,より見やすくなります。
というのもWizardry Onlineの場合,通常のダンジョンが結構明るいんですね。「MILWA」「LOMILWA」はゲーム内に入れたかったものの,普通に明かりの呪文を使ってもあまり効果が得られないので,ダークゾーンでこそ使える呪文にしてしまおう,と。
4Gamer:
昔もらった画面写真とかを見ると如実なんですが,通常のダンジョンを明るくしたことには理由があるんでしょうか。
岩原氏:
あまり暗くしてしまって,少し離れただけで見えないような状態になると,パーティプレイに大きな支障が出るんですよ。実際,ちょっと離れたところから呪文を使うといった場合に,モンスターが見えなくて,どこを狙っていいのか分からないなんてことにもなります。それでは元も子もありませんから,最初から明るくしています。
まっすぐ奥まで見渡せるような直線的な構造のフロアはほとんどありませんので,明るくても不自然に感じることはないと思います。
単調さを回避するためのアクション要素
すべての行動にメリットとリスクがある
4Gamer:
現状,通路が狭くて6人ではパーティプレイが難しいという話ですが,アクション要素はどのくらい強い感じですか。
岩原氏:
それほどシビアなものではないです。単にクリックで殴り続けているだけだと,敵の攻撃を食らってすぐ死んでしまいますから,盾で受けることが必要になります。攻撃のタイミングはモンスターによって違うので,それを覚えていただくような感じです。
ものすごく高い反射神経を要求されるようなものではないです。
4Gamer:
何かこう,雰囲気とかスピード感の近いものはないですかね。……iPadアプリの「Infinity Blade」のようなイメージ?
前田氏:
なんか謎なところを引き合いに出してきますね(笑)。操作要素としてはイメージは近いですが,キーボード操作なのでなんとも……。
岩原氏:
あとは敵をターゲットしていると,バックステップやサイドステップができます。これも使いこなさないと敵に勝てないというよりは,立ち位置を変えるためにあるようなものですね。
基本的には,ガードのタイミングを図りながら攻撃すれば大丈夫です。
4Gamer:
あ,分かった。オンラインRPGでいうならば「Dungeons&Dragons Online」よりも簡単ですか?
岩原氏:
ぜんぜん簡単です。そもそもアクション性を高めると,私がついていけないので止めてほしいのです(笑)。
前田氏:
アクション部分を詰めたのは2009年頃だったんですが,いつも岩原が「これだとオジサンには無理だ」と主張してきて,どんどん……(笑)。
岩原氏:
すごいアクションが必要かと問われると,決してそうではないんです。ただクリックしているだけでは面白くないので,ガードの概念を入れたわけです。まあ両手剣や両手杖を使用する場合は盾が持てないのでガードできませんが。
4Gamer:
Fighterがガードだけしてたら戦闘が終わるわけじゃないでしょうし,ということは,きっとヘイトの管理もしなければならないわけですよね。
岩原氏:
もちろん,強力な呪文を使えば,後衛の魔法使い系にターゲットが向かうこともあります。
4Gamer:
いわゆる,3DオンラインRPGの戦闘をイメージしてよさそうですね。ターゲティングも一般的なものですか?
岩原氏:
ええ。普通にTabキーで選択,またはマウス右クリックです。でもターゲットを取らなくても攻撃できますよ。戦士が複数の敵に囲まれた場合,とりあえず剣を振り回していれば攻撃できます。
またターゲットをすると,ターゲットした相手を中心に動くんですよ。それがわずらわしいから,あえてターゲットしない人もいるでしょうね。
前田氏:
ターゲットすると動きが相手中心になるといっても,カメラを回せば後ろを見たりすることもできますけどね。
一般的な使い分けとしては,通常はノンターゲッティングで進んで,強力な敵1体と対峙したときにターゲットするような感じでしょうか。もちろん,魔法使いはターゲットしたほうが攻撃が当たりやすいです。
岩原氏:
大きなモンスターだと,特定の部位から攻撃しないといけない場合があります。右手を先に潰しておかないと,左手を攻撃できないとかも面白いかなと思ってます。
4Gamer:
お,巨大Mobもいるんですね。
岩原氏:
はい。そればかりか,今,複数階のフロアをぶち抜くようなサイズのモンスターを企画していて,1階で足を攻撃しないと上体を攻撃できない,しかし上体を攻撃しないと倒せないといったものを考えています。複数パーティで連携しないと,うまく倒せないようになると面白いんじゃないか,と。
前田氏:
一般的なオンラインRPGでは見られないギミックを,本作に盛り込みたいんです。
岩原氏:
動いているときはこちらの攻撃が通らず,止まっている間だけダメージを与えられるボスなんかも面白いですよね。動いている間は陰に隠れていて,止まった瞬間に皆で殴りかかる,また動き出したら一斉に逃げるとか。
4Gamer:
EQのレイドMobみたいでワクワクしますねえ。
前田氏:
そうですよね。EQはもちろん,さまざまな洋RPG,洋MMORPGを参考にしました。
岩原氏:
正式サービス開始時点での最強ボスモンスターは,ザコを生みます。その生まれたザコを先に倒さないと,最終的なボスにダメージを与えられないので,複数のパーティが連携する必要があるのです。モタモタしているとどんどんザコが生まれていくわけですね。そういったギミックはボスごとに用意します。
あとEQで思い出したんですが,Wizardry Onlineにも「死体回収」がありますよ。
4Gamer:
おお,私の大好きな死体回収。
岩原氏:
変な人が……(笑)。死んだキャラクターは,死んだキャラ同士の会話か,ウィスパーかパーティチャットしかできないのですが,それで死体回収の依頼ができるんです。
回収してもらって街まで戻れば,魂状態で教会まで行けます。ダンジョン内と比較すると,街の教会のほうが蘇生率が高いんです。プレイヤー間で何か取引が生まれるかもしれませんね。……ところで,なんで死体回収なんか好きなんですか。
4Gamer:
あの追い詰められる感覚と,やることが明確でかなりの難度であるところがたまらなくいいんですよ。「消失まであと4時間しかない」とか「出社まであと3時間しかない」とか(笑)。Wizardry Onlineはどんな感じになるんでしょう。
岩原氏:
サラリーマンだと,休日は死体回収以外,何もできずに終わってしまうようなことになるかもしれません(笑)。
もう随所に「こんなゲームやってられるか」という要素を仕込んでいますが,その代わり,ハマったり,それを乗り越えてくれた方々には「こんな面白いゲームはない」と思っていただけるようなものを目指しています。
4Gamer:
死体回収もそうなんですが,プレイヤーが無駄だと感じてしまう時間を「ダウンタイム」といいますが,今のオンラインゲームの潮流は,そのダウンタイムを極力排除していく方向に向かっています。しかしWizardry Onlineでは逆に,積極的に取り入れているような……。
前田氏:
まあそういった,ある意味無駄な部分を残す一方で,きちんと無駄を回避できるような手段も用意しています。死体回収に時間をかけずとも,魂で守護者の像にたどり着けばいいわけですから。しかし,それではほかのプレイヤーとのコミュニケーションが発生しません。
何をやるにしてもリスクが生じますから,どれを選んでメリットに転じていくかということを選択していただければいいんじゃないでしょうか。
4Gamer:
オンラインゲームに限りませんが,最近のゲームってプレイの最中に天秤にかける要素が極端に少なかったりなかったりするので,選択肢が多いように見えて,実際にはやることが限られてしまうものも多いですよね。30分とか1時間もやれば,あとは難度が上がるだけで同じことの繰り返しというのが見えてしまって,とたんにやる気が失せます。まぁ場合によっては30分以上チュートリアルだったりして,それはそれでやる気は失せますが(笑)。
岩原氏:
私も,それが嫌でしょうがないんですよ。
4Gamer:
ところで死体は,ほかの冒険者にルートされないんでしょうか。
前田氏:
当然されます。死体は24時間経過で灰,さらに24時間経過でロストしますから,それまでは所持品をルートされる可能性があります。
4Gamer:
いや24時間って,さすがに短すぎませんか。もう少し長くしてくださいよ。
岩原氏:
あぁ,いえ。ログアウト中は腐敗のカウントを取られないので安心してください。
そういえばルートは,PKと違って衛兵の有無に関わらず犯罪者扱いになってしまうんです。
4Gamer:
へえ……ちなみに誰にルートされたのかって分かりますか?
岩原氏:
分かります。レベルが上がった,誰かに何かされた,といったキャラクターの状態は,すべて「アカシックレコード」というものに記録されていきます。その機能を使って,「賞金首」のようなシステムの実装も予定しています。
4Gamer:
おお。かつて太古のUOでは,検死スキルを使って相手を調べてひたすら復讐のために追い掛け回す遊びができましたが,Wizardry Onlineでも再現できそうですね。
岩原氏:
できますね。まぁ一般の人に広く受け入れてもらうようなものじゃないよな,と思いながら作っています(笑)。
しかし,こういったハードなゲームって今ないんですよね。淘汰されてしまったという捉え方もできますが。
4Gamer:
そうですね。欧米ではたまにトガった新作も出てきますが,カテゴリーキラーのWoWにやられて,すぐ消えます。
岩原氏:
私がWizardry Onlineの開発中にずっと言っていたのは,“喜怒哀楽”のハッキリ分かるものにしてほしいということでした。オンラインゲームで「ほかのプレイヤーから何かをされる」場合は,基本的に悪いことが多いんですよ。そんな中で,いいことをされたら凄く嬉しく感じるものです。逆に理不尽な思いをすれば怒ったり,悲しんだりします。
そういった“喜怒哀楽”に訴えることが,エンターテイメントなんじゃないかと思うんです。それは絶対ゲームの中に入れてほしい,と。
そう考えると,ハードな内容にならざるを得ないんです。ぬるいゲームでは“喜怒哀楽”は生まれないし,記憶に残りません。Wizardry Onlineはどんなに悪く言われたとしても,記憶に残るようなゲームにしたかったんです。
4Gamer:
名言ですねえ。確かにUOやEQでは,何度もモニターに向かって罵倒したり,マウスを投げつけたり,困難な死体回収を終えてみんなで大喜びしたりしたものです。今にして思えば,それくらい本気だったということでしょうし,そのときの相手のキャラクター名は,今でも覚えてますし。
岩原氏:
ええ,いいことも悪いことも,喜んだことも怒ったことも記憶に残るんですよね。
しかし今のゲームには,それがありません。オンラインゲームに関していえば,別にいつやめても構わないような心境になってしまいます。執着心も復讐心も生まれない,単なる時間つぶしにしかなっていないのは,ゲームとしてどうなのかと常々考えています。
そこを踏まえると,もういっそハードな内容にして,“喜怒哀楽”に強く訴えかけたほうがいいんじゃないか,と。
前田氏:
ほかのゲームと違うハードな部分を具体的に挙げると,レベルの上がりにくさがあります。今は最初の1時間で20レベルくらいまで上がることを売りにしているような作品も多いですが,本作では社会人が半年間いわゆる“廃プレイ”をしても,レベル40くらいにしかならないというレベルデザインにしています。そういう意味では,1レベルの重みは大きいですよ。
岩原氏:
まあこれも「Wizardry」ですから,強さは,どちらかというとレベルよりも装備依存です。もちろんクリティカルヒットも存在しますから,レベル差があっても一撃で首を刎ねられることがあります。
「Wizardry」としてどうなのか
気になるあれやこれやはこういう扱いになる
4Gamer:
それでは,いくつか細かいところを教えてください。
基本的なグラフィックスは,以前見せていただいたものと変わっていませんよね。光の使い方が変わったくらいで。
岩原氏:
ええ。ダンジョンの中のライティングには,かなり手を加えました。
4Gamer:
レベルアップは,街の宿屋に泊まらないとできないんですか?
岩原氏:
もちろんです。その場で自動的にポンポン上がるなんてことはありません。要所に置いた「回復の泉」を見つけることができればそこで上げることは可能ですが。そんな場所は滅多にないと考えてください。
4Gamer:
ステータスの上限は,種族特性+10のままですか?
前田氏:
さすがにそこは99にしています。なので,実質的には上限がないのと同じかもしれません。
岩原氏:
これは,レベルアップのモチベーションを保たせるための変更です。
Wizardryですし,ゲームの目的はレベルアップだけでなく,アイテム収集という部分にも見いだしてほしいところではありますが。
4Gamer:
まずは「MURAMASA BLADE!」を見つけなさい,と。
岩原氏:
ええ。また昔は,プレイヤー自身が想像を膨らませて自分だけのストーリーを作ったりもしました。そういったように想像力を掻き立てるという部分では,Wizardry Onlineは弱いかもしれません。モンスターの姿も,自分の姿も表示されてしまうわけですから。
前田氏:
そこはどう頑張っても昔にはかなわない部分ですから,現代風に作っています。
岩原氏:
その代わり,オンライン以外の部分で想像を掻き立てるものを提供していきましょうというわけです。
4Gamer:
できないはずはないと思いつつ聞くんですが,EvilとGoodのキャラクターでパーティは組めますか?
岩原氏:
ええ。属性が違っても,街中でパーティを組めます。
というか,今回「悪/中立/善」という属性名称を,「混沌/中立/秩序」に改めました。実をいうと,私は以前から“悪”といってしまうと,どうしても“悪人”を連想してしまうことが気になっていたんですよ。
4Gamer:
あぁ,確かにそうですね。そもそも属性に「Evil」という言葉を使っている作品は,ほとんど思いつきません。大概のファンタジー系MMORPGでは「Order」「Chaos」とかですね。
岩原氏:
Wizardry Onlineでは,悪人というと,犯罪者のことです。その一方で,Wizardryにおける「属性」とは,それぞれが持つ考え方のことです。その違いを表現するために,従来の悪を混沌に変えたわけです。
また属性の効果は,主にクラスとスキル,そして装備に反映されるものなので,パーティを組むときには気にする必要をなくしています。
4Gamer:
そりゃそうですよね。でもクラスには関わるわけですから結構重要では?
岩原氏:
まずキャラクター作成時に「中立だと僧侶になれない」といった表示がされます。基本的には,これまでのWizardryシリーズを踏襲しています。
4Gamer:
いや,何が気になってるかというと,今後アップデートで上位職が実装されたときに,自分の属性では「なりたくてもなれない」状況になってしまう可能性があるのはよくないと思うのです。それは「コア」であることを要求するのとはまた全然別のレイヤーの話ですよね。
シリーズの知識がない人もいるでしょうから,そういう部分をきちんと説明しておくか。またはアップデートのときの上位職に限り属性は問わないとするか,なんらかの救済策があったほうがよいのではないかと。
上位職に転職するときの属性縛りの有無は今も調整中ですが,うーん,確かにおっしゃるとおりですね。でもそういったことも踏まえて,プレイを通じて少しずつ属性が変化していく仕組みも用意してますよ。
岩原氏:
クエストをクリアしたときに,それぞれ三択で答える質問が出るんです。秩序属性のキャラクターが混沌っぽい回答を続けていくと,あるタイミングで混沌属性になるわけです。
4Gamer:
属性が変わることのメリット/デメリットは何でしょう。
岩原氏:
スキルによっては,特定の属性のキャラクターが使うとプラス効果が生じます。
4Gamer:
例えば何回くらい混沌傾向の回答をしていると,属性が混沌に変化します?
前田氏:
ゼロかイチかというものではなく,回答によって各属性のポイントが変化していくんです。ですので,突如属性が変わるというよりは,その時点でポイントの高いものが属性として現れる,といった感じですね。
4Gamer:
しかし,そうなると属性がクラスに関わるのはプレイヤーにとって大きなストレスになりませんか? もしくは,転職したいときに属性が簡単に変えられる何らかの仕組みがないと,ウンザリしそうです。属性を変えるために,何度もクエストをクリアして質問に答えなければなりませんから。
岩原氏:
なるほど……。ちょっと考えてみますね。幸いまだちょっと時間がありますし。
現状のシステムだと,例えば忍者なら混沌属性にプラスが生ずるスキルが多いんです。そう考えたときに,確かに属性は事実上絶対のものであり,何らかの仕組みは必要かもしれませんね。
4Gamer:
ところでスキルはどのように習得するんでしょうか。
岩原氏:
スキルツリーがあって,習得したいスキルにポイントを振っていくタイプです。ツリーも何系統かに分かれていますので,同じクラスでも違ったタイプに成長させることができます。
そして転職時にいくつかのスキルを持ち越せるのですが,ソウルランクが高いほど,その数が多くなります。
4Gamer:
スキルの使用は昔のような回数制限ではなく,MP消費タイプですよね。
岩原氏:
ええ。魔法使いと僧侶のスキルはMPを消費します。これとは別に,戦士と盗賊のスキルには「OD」というゲージを用意しました。これはスタミナのような概念で,一度消費しても時間の経過で回復します。ODはダッシュするときにも消費するので,全クラスで使います。
4Gamer:
初代Wizardryだと,最初に戦士でHPを増やして,魔法使い,僧侶と転職して全部の呪文を覚えて,もう一回戦士にしてHPを増やして,そこで初めて本当になりたいクラスに転職する,みたいなことをやりましたが。
岩原氏:
Wizardry Onlineでも,似たようなことはできます。転職するとレベル1に戻りますし。
4Gamer:
どのレベル帯のスキルであっても,転職時に持ち越せるんですか?
岩原氏:
レベルはあくまで修得条件であり使用制限ではないので,取得して継承したスキルはレベルに関係なく使えます。ただ、転職したことでレベルが下がってステータスが低くなっているので、効果はだいぶ下がることになりますけど。
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