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「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」攻略連載が始動。第1回はEVO2011でアメリカに挑んだ“ときど&ふりーだ”が語る「MvC3」の海外事情
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印刷2011/11/05 00:00

連載

「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」攻略連載が始動。第1回はEVO2011でアメリカに挑んだ“ときど&ふりーだ”が語る「MvC3」の海外事情

「MvC」シリーズ海外事情。日本とアメリカ,プレイスタイルの違い


4Gamer:
 さてここからは,MvCシリーズの海外事情についてうかがっていきたいと思います。まず根本的なところからなんですが,MvCシリーズというと,日本よりも海外での人気がものすごいですよね。これって何故なんでしょうか。

ときど:
 そりゃマーベル・コミックのキャラクターが登場するからでしょう。

画像集#021のサムネイル/「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」攻略連載が始動。第1回はEVO2011でアメリカに挑んだ“ときど&ふりーだ”が語る「MvC3」の海外事情
ふりーだ:
 いや,それが違うらしいんだ。フーバー・ダックっていう,今でもアメリカでゲームセンターを経営している知り合いがいるんだけど,彼が言うには……。

ときど:
 いや絶対そうだから。あいつ適当だよ? アメリカ人だからそう思ってるだけで。

ふりーだ:
 え,どういうこと?

ときど:
 自分が絶対正しいと思ってるんだよ。アメリカ人はいつも自信満々だからね(笑)。アメリカでマーベルの人気がないわけがないだろ!

4Gamer:
 勝手なイメージですけど,マーベル・コミックっていえば,日本でいえば少年ジャンプみたいな立ち位置ですよね。そのキャラクター達が集結したゲームなら,確かに人気にならないわけがない?

ふりーだ:
 でも文化の違いもあるかもしれないけど,EVO2011の待機中にマーベル・コミック読んでる人なんていなかったよ? 日本だったら絶対暇つぶしにジャンプ読んでる人いるじゃない。

ときど:
 日本人だってイベント中にジャンプ読むかな? ……いや読んでる気もするな。でもMvCシリーズの人気があるのは,絶対マーベルキャラクターだからだよ。

ふりーだ:
 僕が聞いたのは,10年前のアメリカのゲームセンターには,「ストリートファイターIII 3rdStrike」(以下,ストIII 3rd)かMvC2しかなかったらしいんだよね。で,スト III3rdは,アメリカの国民性にあまり向いていないゲームだったから,それで皆MvC2に流れたと。
 その後ゲームセンターの数は減っていったんだけど,それでもMvC2はどこのゲームセンターにも必ずあったから,皆それをプレイした。ほかに選択肢がなかったことが,アメリカにMvCシリーズが根付いた最大の理由なんだとか。

4Gamer:
 新作の稼働ペース自体が,日本とは違うでしょうしね。

ときど:
 確かに日本では,その間も格闘ゲームの新作がこまめに出ていたよね。CAPCOM VS. SNKシリーズとか,ギルティギアシリーズとか。ビッグタイトルから細かいものまでいろいろあったから,新しいゲームが出たらプレイヤーがそっちに移っていった,というのはあると思う。うーん,でもやっぱりキャラクターは大きいと思うけどなあ。

4Gamer:
 ゲームの内容自体でも,アメリカで受け入れやすい何かがあったのかもしれませんね。先ほども,日米でプレイスタイルが違うというような話もありましたが,ストIII 3rdは,確かに緻密な攻防が好きなアジア人向け,という気がしないでもない。

ふりーだ:
 さっきも言ったけど,向こうの人のプレイはあまり合理的じゃないんだよね。

ときど:
 え,それは彼らがアタマを使っていないってこと?

ふりーだ:
 いやいや,そこまではいわないけど(笑)。でも,もう少し良いやり方があるじゃない! って思っちゃう。その分,彼らが優れてるところもあって……これは日本のMvC3プレイヤーにぜひ覚えておいてほしいんだけど,向こうの人は「アドバンシングガード」がめちゃめちゃうまいんだ。


4Gamer:
 アドバンシングガードにうまい,へたがあるんですか?

ふりーだ:
 日本のプレイヤーって触られた瞬間にすぐアドバンシングガードで間合いを離しがちなんだけど,向こうの人は絶対に無意味なアドバンシングガードをしないですね。例えばダンテの「ファイヤーワークス」に対しては,向こうの人は絶対にアドバンシングガードをせずに,密着を維持してくる。

ときど:
 あとジャンプガードを使った2択の拒否もうまいよね。さすがにMvC2を10年やり続けただけある。基本がしっかりしている感じ。

ふりーだ:
 それから強制復帰に表裏択をかけた補正切りとか。ハイパーコンボで殺しきれるシチュエーションでも,あえて補正切りを使ってゲージを使わない展開にするんだ。チーム全員を使った立ち回りなのも,日本とは違うスタイルだよね。

ときど:
 あの補正切りはMvC2で流行ったテクニックで,日本人でもその頃からプレイしている人なら使ってくるけどね。日本は先鋒をいかにパワーアップさせるか,というコンセプトのチーム構成が多いけど,そこが一番違うかな。俺のウルヴァリンや,ふりーだのゼロなんかもまさにそうなんだけど。

ふりーだ:
 そう,彼らは先鋒が倒されて計画が狂っても,さほど気にしない。日本人だと,1人目を倒した後の出現攻めを中心に試合を組み立てる人が多いから,先鋒がイレギュラーに負けると,チーム全体が崩れちゃうんだよね。その点向こうは良い意味で行き当たりばったりで,先鋒が崩れてもちゃんと立て直せるんですよ。


実力の差はプレイ人口の差?


4Gamer:
 うーん,さすが本場の国は違う,ということなんでしょうか。

ときど:
 向こうはプレイ人口が多いこともあって,トッププレイヤーでなくてもある程度動かせるんですよ。「ストリートファイターIV」シリーズとちょうど逆転している感じで,プレイヤーの層が厚い分,平均レベルが高い。……だから安定して勝つのは難しいはずなんですが,それでもトッププレイヤーはちゃんと上位に食い込んでくるからすごい。

ふりーだ:
 中下段,表裏の2択があんなに激しいゲームなのにね。

4Gamer:
 しかしときどさんは,一度ジャスティン・ウォンを倒して優勝してましたよね。その時点とEVO2011では,対戦レベルはそんなに違ったんですか?

2011年8月におこなわれた世界最大の格闘ゲーム大会「Evolution 2011」には,日本からもプロゲーマーとしてしられるウメハラ選手やときど選手といった,数々の強豪格闘ゲーマーが名乗りを上げ,参戦した。にもかかわらず,MvC3部門ではその全員が予選プールを突破できずの敗退。海外勢との実力差を思い知らされることとなった
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ときど:
 EVO2011は参加人数が圧倒的に多いですし,対戦レベルも段違いでしたね。あと俺のチームは,基本“分からん殺し”なので,対策された結果だと思います。向こうはEvolutionという目標に向けてやり込んでいくので,大会直前から一気に強くなるんですよ。

4Gamer:
 間にそんなに時間があったわけでもないのに,さすがは世界最大の大会Evolution。

ときど:
 やっぱり人口が多いからキャラの対策を立てやすいんだろうね。日本は人口が少ないから,強いとされてるキャラでも使い手がいない。これをどうにかしないと……。

4Gamer:
 “強いとされているキャラクター”というと,例えば?

ときど:
 日本であまりみないけど,向こうで使用頻度が高かったのはウェスカーかな。俺は今でもそんなに強くないと思ってるんだけど,アメリカでは使用人口が多くて,しかも意外と勝ってるんだよね。

ふりーだ:
 日本人はワープを逃げに使うことが多いけど,向こうはワープを使って攻めてくるんだよね。だからスタイルからして違う。あと向こうは“暴れ”が多いから,ウェスカーはしゃがみ攻撃の発生とリーチに優れる分,相性がいいのかも。空中ハイパーコンボがあって,さらにダウン追い討ちできるアシストβもあるから,本体の強さとあいまってバランスも悪くない。体力も多いし。

ときど:
 ドーマムゥも使い手が多いね。チェーンに癖があるから難しいんだけど。

ウェスカー&ドゥーマムゥ
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ふりーだ:
 そうそう,あとストームも。向こうのストームは本当に強い。

ときど:
 8方向の空中ダッシュがあるドーマムゥ,マグニート,ストームなんかは,日本とは動きが違うね。MvCシリーズでの基礎体力が全然違う感じ。日本は人口が少ないし,仲のいいプレイヤー同士で固まっちゃうから,キャラクターも固まりやすいんだよなあ。

ふりーだ:
 日本人はガチガチのチーム構成が多いよね。キャラクターがこんなに多いゲームなのに,キャラクターのチョイスに個性がないというか。日本勢が海外で勝とうと思うなら,そこは今後の課題になるでしょうね。

4Gamer:
 もしかすると,キャラクターへの思い入れも日本と海外でかなり違うのかもしれませんね。このキャラで勝ちたい,みたいなものがないと,どうしても強キャラに流れてしまうのかも。


そしていよいよ発売が迫るUMvC3。打倒アメリカに向けての第一歩



4Gamer:
 では今後の話がでたところで次の話題へ。11月17日には,ついに続編のUMvC3が発売されます。発表された12名の新キャラクターでは,お二人はどのキャラクター興味がありますか。

ときど:
 バージルを使ってみたいですね,強いダンテという予感がするじゃないですか。あとは新キャラじゃないけどマグニートを使ってみたい。今までのチームは簡単すぎて飽きが早かったので,次はちゃんとMvCというゲームに取り組んでみたいですね。

4Gamer:
 おお,テクニカルキャラに転向ですか。

ときど:
 MvC3では勝利への最短距離を走りすぎました。次回作では,色々なキャラクターを使っていこうと思います。

バージル
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4Gamer:
 ふりーださんはどのキャラクターに注目しますか?

ふりーだ:
 僕はDr.ストレンジ,ストライダー飛竜,バージルが気になります。Dr.ストレンジは「ファンタスティック・フォー」で元々知っているキャラクターだし,出で立ちもかっこいい(笑)。マーベルキャラクターの中でも立ち位置が面白くて,善でも悪でもないみたいな。魔法が主体ということで,面白い動きができそうです。

4Gamer:
 チーム構成は今回も1チームで固定ですか? MvC3の大会だと,相手キャラと相性のいい組み合わせを選ぶ,いわゆる“被せ”が基本になりますけど。

ふりーだ:
 次は1チームだけにこだわらず,3チームぐらい使えるようにしておきたいですね。あ,でもゼロを使うことにはこだわりたいかな。アメリカでも何故ゼロを使うのかってよく聞かれたので,逆に愛着が出ちゃったという(笑)。それと強いかどうかは置いておいて,ジルを使ってみたいですね。シューティング耐性は低そうだけど,動きはオリジナリティがあって面白いと思うので。

Dr.ストレンジ
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4Gamer:
 ではUMvC3から新規に始めるプレイヤーについて,なにかアドバイスはありますか。とくにストIVからの流れで前作に手を付けてみたけど,面白さが分かる前に挫折してしまったプレイヤーって,結構多いんじゃないかと思うんです。その辺り,なにかコツを伝授していただければと。

ときど:
 確かにこれ,初心者は何もできずに瞬殺されるゲームなんだよね。うーん,俺はこのゲームの最大の楽しさはコンボだと思うんで,まずはそこから始めてみるのがいいんじゃないかな。コンボさえ繋がれば,相手を簡単に倒すことができるから。そんなに難しいことじゃないので,トライアルモードとかをしっかりやれば,そこはクリアできるはず。

ふりーだ:
 僕は自分のプレイスタイル,やりたいことを決めてキャラクターを選択するところからかな。チームのコンセプトを決めて戦略を練るという,ある意味ストラテジーゲーム的なところが魅力だと思うから。この“戦略の組立て”は,ほかの格闘ゲームにはない部分ですよ。

4Gamer:
 これは格闘ゲームであり,ストラテジーゲームでもあると。

ふりーだ:
 そうですね。自分と相手キャラクターとの相性というだけでなく,このキャラクターはインファイト型だから,近づくためにシューティング型のアシストを入れよう……とか,チームを組む時点から戦略的な思考ができるんですよ。

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ときど:
 まず自分の使いたいキャラを選んで,そのキャラクターが能力が活かせるアシストを選択する。メインキャラを最初に決めて,その能力を最大限に発揮させるにはどうしたらいいか,というところから始めると,すんなり入れます。

4Gamer:
 では,例えば最初にハルクをメインに選んだとしたら?

ふりーだ:
 ハルクは動きは遅いけど接近戦が強いキャラクターなので,まずは近づくために必要なアシスト選びからですね。

ときど:
 センチネルやアイアンマンなど,けん制に使える飛び道具のアシストがいいね。アシストを呼び出してからハルクがハイジャンプするだけで,ある程度相手に接近できるようになる。

ふりーだ:
 その次は,ディレイドハイパーコンボとの相性を考えてみる。ハルク-センチネルときたら,じゃあ3人目は豪鬼にしよう,とかね。コンボのダメージアップまで考えられるようになれば,かなり勝てるようになるんじゃないかな。

4Gamer:
 なるほど。分かりやすいアドバイスありがとうございます。ではこの続きは,次回以降の攻略に続くということで(笑)。最後に「UMvC3」に向けての,お二人の意気込みをお聞かせください。

ときど:
 とにかくアメリカ勢をぶっ倒したいです。それこそがプレイの原動力ですね。来年こそは,みんなでアメリカのプレイヤーを倒そうよ。

ふりーだ:
 うん。その構図が,UMVC3が日本で流行るきっかけになってほしいですね。日本vs.アメリカって図式は,ギャラリーも盛り上がるだろうし。僕も来年のEvolutionにチャレンジして,次こそ結果を出したいと思ってます。

ときど:
 そのためには,とにかくプレイヤーが増えてくれないとね。だから格闘ゲーマーだったら,絶対一度はプレイしてみてほしいんだ。

ふりーだ:
 そこは新規プレイヤーが参入しやすい環境を,ときどプロに率先して作っていただくということで(笑)。

ときど:
 もちろんそういうことも考えてるよ。今回は俺以外のプロプレイヤーも参戦する予定みたいだし,プロっていう立場からもUMvC3シーンを盛り上げていきたい。

ふりーだ:
 僕もストリーム配信や大会を定期的にやって,新しいプレイヤーを引きこむような活動をしていきたいと思ってます。ネット対戦環境も,ある程度は向上するみたいだし,そこは期待してます。
 あと今年は日本人同士で結託するようにしましょうよ。日本人同士でネタを隠しあっても,もうしょうがない(笑)。

ときど:
 そうだね。敵は日本人じゃないからね。

4Gamer:
 来年のEvolutionに期待させていただきます。本日はありがとうございました。

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 「ストリートファイター」シリーズなど,vs.アメリカという構図では日本側が優勢なケースが多い格闘ゲームシーン。そんな中でも逆にアメリカ勢に圧倒的な差を付けられている「MvC」シリーズは,かなり珍しいケースといえるだろう。それゆえに,格闘ゲームの世界で名を上げたいプレイヤーにとっては,これはチャンスともいえる。日本国内で「MvC3」シーンが盛り上がれば,その中から新たなスタープレイヤーが生まれてもおかしくはない。そしてEvolutionをはじめとした世界大会で,上位陣に食い込めたなら,それはきっと痛快に違いない。

 その鏑矢とななるべく,「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」の発売を1週間後に控えた次週からは,いよいよ本格的な攻略が開始となる。まずはUMvC3の基本システムについて,ムービーを交えつつ解説していく予定なので,ぜひ楽しみにしていてほしい。

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「ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3」公式サイト



――2011年10月10日収録

 
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