ロシア生まれの第二次世界大戦ターンベースストラテジー「Silent Storm」の拡張パック,「Silent Storm:Sentinels」の英語版デモ。
"Thor's Hammer"というグループの野望を食い止めるために戦う傭兵部隊のキャンペーンから,3ミッションを収録している。主人公はTobyという女性スナイパーで,仲間が徐々に増えていく。この設定からも分かるように,ずいぶんとフィクション色が強くなっているようだ。
日本では2004年7月15日に「サイレントストーム 日本語版」が発売されるが,海の向こうではすでに拡張パックがリリースされようとしている。
拡張パックでは新キャンペーンモードと,前作になかったいくつかの新兵器が収録されている。登場兵器は基本的に第二次世界大戦当時のものだ。
そもそも本作の特徴が,なかなかつかみづらいという人もいるだろう。「Silent Storm」は,ほんの数人の精鋭を操作して軍事ミッションに挑む,ハデに戦うというよりは隠密行動がメインのストラテジー。コンセプトは「コマンドス」に似た部分もあるが,ユニークなのは本作があくまでターンベースであること。
各人はAP(アクションポイント)という,いわば行動力を消費して移動や戦闘を行う。メンバー全員がAP内で行動を完了したらターン終了。お次は敵兵士が行動し,やがてプレイヤーのターンが再びやってくる。
"お手軽"という言葉とは程遠い内容で,各行動に厳しく定められたAP,自分と敵の相対的な状態から割り出される攻撃命中率,目と耳の両方から得られる情報を基にした索敵などなど,数多くの要素が詰め込まれている。
さらにはRPGを思わせるインベントリの管理とツリー形式のスキルなど,ユニットの一人一人にまで細かい能力や情報が押し込まれているのだ。
細かいだけのストラテジーなら過去にいくらでもあるが,本作は,いかにもマス目上で定型ユニットを動かしているだけで,要は単なる数字のやり取りだろう? というタイプの作品とは少々異なる。グラフィックスやアニメーションの描写もまた細かく,しかもそれがゲーム性と密接な関係にあるのだ。
室内で物陰に隠れながら複数の敵を相手にするシチュエーションなどは,まるで映画のワンシーンのような銃撃戦が楽しめる。演出もマクロ視点を意識しており,階段で倒された敵がズルズルと滑り落ちてくるなどのモーションも発生する。
窓ガラスを撃つと破片が飛び,カーテンが揺れ,最後には窓枠ごと吹っ飛ぶ。この「窓が開いているか否か」も戦術上かなり重要で,要するに窓を閉めて建物内に立て篭もれば,外からはそう簡単に撃たれないのだ。
それでいて,敵に発見されていない状態ならAPを無視して好きなだけ移動できるモードに切り替わるなど,なかなか融通の利く作りとなっている。
この細かさ自体が実に面白いが,しかしやたら難しく手間もかかるため,初心者にはあまりオススメできない。ぜひ「敵の思考ターンを待つ」という経験の持ち主に,本腰入れて楽しんでもらいたい。ちなみに前作のデモ版は「こちら」からどうぞ。(Kawamura)
Silent Storm (c) 2004 Nival Interactive. All rights reserved.
Silent Storm is a trademark of Nival Interactive. Published by JoWooD
Productions.
|