●Preview#47
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Hitman 2は,前作と同じように大量殺人も行えるが,よりステルスを多用した知的なゲームプレイに重点が置かれている。
ミッションの目的は,出てくる敵をことごとく倒していくものや,ターゲットのキャラクターを一人だけ仕留めるものなどさまざま。本作はマルチプレイヤーゲームのようなランキングシステムを搭載していて,ミッションの目的をうまく達成するほど評価が高くなるのである。これによって,従来の平面的なゲームプレイから脱却している。
ゲームの序盤はアクションに比重がおかれたミッションが多く,例えばロシアの元KGBや将軍を暗殺するという内容になっており,そのためにはどのような手段をとってもいい。
敵の思考ルーチンの向上は,このゲームの面白さを飛躍的に高めている。NPCは前作よりもずいぶん賢くなっていて,周囲の状況の把握がうまくなった。例えば,本作でも倒した敵の衣服を剥ぎ取ってプレイヤーキャラクターに着せることができるのだが,とあるミッションで暗殺を予定している相手のお抱え運転手に変装していると,本物の運転手と顔見知りのボディガードが気付いてしまうことがあるのだ。もちろん,手に銃を持ったまま近づいていくなどもってのほかで,ガードマンの周囲を走り回っているとエスコートを申し出てくるなど,プレイヤーの奇怪な行動が敵に不審を抱かせるようだ。
また,前作ではいつも禿げ頭をさらけ出していた47も,今回からは帽子やフードで全身を隠せるようになっている。これには理由があって,とくに日本など東洋のミッションでは,顔を出しているとすぐに相手に気付かれてしまうようである。
前作を遊んだ人ならお馴染みのダイアナなど,個性的なNPCキャラクターが多く登場する。中東を舞台にしたミッションでは国連軍兵士もいて,たまに47を不審者と判断して発砲してくることもあるが,日本のヤクザのようなキャラクターとは違ってプレイヤーが撃ち殺すべきではないNPCだ。
ゲームエンジンは,前作で開発されたGlacierエンジンのアップグレード版で,3Dグラフィックスの描写能力に力を入れて改良されたようだ。プレイヤーキャラクターのアニメーションもスムースになっており,ゲーム中のムービーもダイナミックな演出が見られる。実際に敵キャラクターの行動を影から見張っている気分になるシーンや,車から降りるときに車体がグラッと揺れるなどシーンなど,細かい部分で丁寧に作られている印象を受ける。テクスチャも非常に細かく,室内のマップで見事に生かされているのはもちろん,屋外レベルも非常に充実していて,雪の降る中でのアクションなどバラエティに富んだ風景で楽しめる。
問題の多かったカメラワークも調整されており,敵に囲まれたときやスナイパーモードでは,第1人称視点が役立ちそうだ。もちろん,これまで通り敵の背後から忍び寄って羽交い締めにするのは第3人称視点のカメラのほうが楽しく,ガードマンやピザの配達人を襲撃しての変装プレイも健在である。
Hitman 2で追加された機能の中でも,プレイヤーにとって一番嬉しいのはゲーム中でのセーブ機能ではないだろうか。前作ではミッション終了時にしかセーブできず,途中で失敗すれば最初からミッションをやり直さなければならないかったのが不満点だった。大きなマップでは途中から生き返ることができたものの,すでに周囲の敵がプレイヤーキャラクターの存在を知っているため,結局難度が高くなってしまっていたのだ。そのため「(15時間もあれば終わってしまいそうな)少なめのボリュームを隠すためにセーブ機能をなくしたのでは?」という揶揄がファンから相次いだほどで,これが前作のボトルネックになっていたのだ。本作では,一つのミッションの中で最大2回のセーブができるようになったことで,プレイヤーの要求に敏感に反応した形となった。
Hitman 2で用意されている武器は,サバイバルナイフ,スナイパーライフルから,ガラット(絞首具)やマシンガンまでさまざまだ。音の静かなクロスボウもあるし,武装用の防具を着込んだ敵でも仕留められる50mmのライフル銃もある。また,双眼鏡やナイトスコープ,サイレンサ,時限爆弾などの小道具も豊富になっているようだ。
賞金による武器購入のシステムは改められ,1度見つけた武器はすべてコートの下に仕込んでおくことができ,銃弾があればいつでも使用可能になった。これにより,そのミッションを達成するためにどんな武器を持っていくかは重要ではなくなり,よりプレイヤーの戦略性や遊びやすさが尊重されている。GPS(グローバル・ポジショニング・システム)のような装置で,広大な屋外マップでも自分の位置が確認しやすくなったのもありがたい。
音楽は,ブダペストのシンフォニーオーケストラが担当しているだけあって,非常に重厚だ。マルチプレイヤーモードやマップエディタがないのは寂しいが,本作ではシングルプレイヤーモードでも満腹感が十分に感じられる作品になっているのではないだろうか。欧米では,9月中の発売が予定されており,もちろん日本でもアイドス・インタラクティブがリリースする予定である。