Indiana Jones and the Emperor's Tomb

●Preview#43
Indiana Jones and the Emperor's Tomb

Text by 奥谷海人

※このページで使用している画像は,すべてXbox版のものです


秦の始皇帝の財宝を追い求めて,世界中を巡るアドベンチャー

 あのインディが帰ってくる。
 パラマウント社は映画"インディ・ジョーンズシリーズ"4作めの制作に乗り気で,スティーブン・スピルバーグやハリソン・フォードも前向きな姿勢を見せているという。さらには,すでにフォードやケイト・キャプショー(「テンプル オブ ドゥーム」のヒロインで,フォードの実生活での奥さん)の配役が決まっているうえ,ショーン・コネリーも出演に意欲を持っているというウワサまであるくらいである。ちなみに,リリース時期は2005年7月と,まだまだ先の話。現在フォードは61歳で,コネリーは73歳。親子役の二人が12歳しか違わないのも面白い話だが,この二枚看板共に高齢の域に達しているだけに,どのような形でアクションが盛り込まれるのか気になるところだ。

 まあココは映画のウワサを語るページではないので,本題に入ろう。インディが帰ってくるのはスクリーンの話だけではない。2005年まで待たずとも,今秋にはPCでゲーム第3作となる「Indiana Jones and the Emperor's Tomb」を遊ぶことができそうなのだ。
 前作の「The Infernal Machine」は,「トゥームレイダー」の対抗馬として3Dアクションアドベンチャーに参入したものの,セールスや評判で良い結果を残せたとは言い難いのが実情。今年もまた「Tomb Raider:Angel of Darkness」があり,LucasArts社のPS2ラインアップには「Star Wars Bounty Hunter」があるなど競合ソフトもいくつか登場する予定で,それを克服するためにどんな仕かけを持ってくるのかは楽しみなところだ。

 それ以上に楽しみなのが,最新作のタイトルを見ても分かるように,"トゥームレイダー"のお株を奪われてしまった元祖探検家/考古学者のインディ・ジョーンズ(本名ヘンリー・ジョーンス・ジュニア)が,皇帝の墓を暴くために侵入を試みることである
 新作では1935年のアジアを舞台に,中国の長い歴史の中でも初代皇帝にあたる,秦の始皇帝の墓に眠る「龍の心臓」(The Heart of Dragon) と呼ばれる真珠を,魔の手から守り抜くというストーリーになるようだ。龍の心臓には他人の心をコントロールできる力が秘められていて,この秘宝をドイツ人雇用兵アルブレチェット・ヴァン=ベックを中心とした地下犯罪組織から奪い返すことがインディの目的となる。
 プレイヤーは,始皇帝の墓の秘密部屋の鍵である,三つの断片からなる「龍の封印」(The Dragon Seal)を探し出すため,中国の山岳地帯にある砦やワニの繁殖したセイロン(現スリランカ),そして香港界隈といったアジア地域から,イスタンブールの海底に眠る古城,そしてプラハの古城など10レベルに分かれたマップを駆け回ることになる。もちろん映画で見るようなアクションシーンは満載で,スリランカでワニと戦ったり,香港では人力車(!)でのカーチェイスを行ったりする。すでに公開されているムービートレーラーでも,山岳部のゴンドラや朽ち果てた吊り橋で戦うインディの姿が見られる。

パンチやキックを中心とした新しいアクションが豊富

 今回インディのパートナーとなるのは,インディ・ジョーンズシリーズでは映画/ゲーム共に初出演となる,アジア美女のメイ・イン。彼女は,インディに話を持ちかけるカイという華僑ビジネスマンの秘書という役柄らしいが,これまでのように健気で正義感に溢れたヒロインのタイプではなく,かなりミステリアスな存在であるようだ。

 現在のところXbox版のデモしか公開されておらず,続いてリリースされるPC版の内容は未知数だ。しかし,Xbox版を見ただけでも,かなりゲーム性が向上しているのが分かる。例えば,前作ではインディのトレードマークである鞭以外には,せいぜいピストルくらいしか武器として使えなかったが,The Emperor's Tombではもっと至近距離で戦えるパンチやキックなどのアクションが採り入れられ,よりダイナミックな戦闘になったのだ
 映画を観たことがある人なら分かるだろうが,インディは必ずしも真っ正面から戦うタイプではない。敵に噛みついたり,剣を振りかざす相手にピストルを向けてみたりと,勝つためには手段を選ばない。本作ではそういう要素も戦闘に採り入れられ,後ろから忍び寄る敵にバックパンチを食らわせたり,倒れているところへ蹴りの一撃をお見舞いすることも可能になっている。敵も,ドイツ軍部や動物系だけでなく,中国拳法やヌンチャクの使い手なども登場するようなので,かなり白熱した至近戦が楽しめるはずだ。これらの戦闘は,Xbox版でのパッド操作に関していえば,ボタンをランダムに押すだけのような形態ではなく,「Star Wars:Obi-Wan」を連想させるものになっていた。

 また,マップ上のオブジェクトとのインタラクション(相互作用)が多用されているのも特徴。例えば,落ちているスコップや椅子を手に取り振り回すなんてこともできるのだ。こういう自由度の高さは,Xbox用ゲームの「Buffy:The Vampire」と非常によく似ているが,実はどちらも同じゲームエンジンが使われている。これらのタイトルを手掛けているのは,「Deep Space Nine:The Fallen」を制作したThe Collective社だから,ゲームスタイルも似たものになるのかもしれない。
 このゲームエンジンがなかなか秀逸で,海中を泳いだり,綱渡りをしたり,落ちる床を飛び越えていくようなアクションは,前作に比べてスムースになっている印象を受ける。当然のことながらグラフィックス技術も向上し,鞭のしなる様子が格段にリアリティを増しているほか,巨像のある遺跡の風景が見事に描かれていたり,「Return to Castle Wolfenstein」を連想させるような火炎放射器も登場する。さらに,キャラクターをうまく追跡していくカメラシステムが開発されているようなので,無理のない操作性を期待できるのではないだろうか。

 シングルプレイ専用ではあるが,映画そのものを体験をさせてくれるようなゲームに仕上がりそうだ。最近はスター・ウォーズに偏りがちだったLucasArts Entertainment社だけに,E3 2002では制作発表だけされた「Full Throttle 2」と並んで要注目ソフトの一つである。誰もが知っているあのBGMと共に,インディ・ジョーンズのアドベンチャーを思う存分楽しめるだろう。


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