●Preview#11:Red Faction Text by 奥谷海人 ゲームの雰囲気を醸し出す重厚なストーリー 「Red Faction」は,シュワルツネッガー主演の「トータルリコール」を思わせる世界観で戦闘を繰り広げる,3Dシューティングゲームである。"Freespace 2"のVolitionが開発しているのだが,すでに欧米ではPS2版が先行発売されていて50万本の売り上げを記録するヒットになっているという。
舞台となるのは近未来の植民地化された火星で,Ultor社が独占的な鉱石採掘で巨万の富を築き上げている。Ultor社は地球で派手な宣伝を展開し,一攫千金の夢を見る若者たちをリクルートしているのだが,実際の作業は非常に過酷なもので,悪辣な生活環境に加えて看守たちからも暴力を振るわれているというありさま。さらには,原因不明の伝染病までが蔓延しているというのに,Ultor社は労働条件を改善する素振りさえ見せないのだ。 最新鋭のゲームエンジンはレベルデザイナー泣かせ!? プレイヤーは特殊スーツに身を包んでおり,インタフェースにはヘルス値やアンモ値に加えて,ダメージを受けた場所が局部単位で表示されている。登場する武器は10種類以上で,ピストルやマシンガンから警棒,ショットガン,スナイパーライフル,ロケットランチャー,ショットガンなどのほか,対戦車バズーカーや火炎放射器なども登場する。それぞれの武器には特殊モードが装備されているが,連射機能以上に使用頻度が多くなりそうなのが,壁を透視する赤外線レーダーだ。
事実このレーダーは,本作で非常に重要な役割を果たす。Geo-Modエンジンと命名されているRed Factionのグラフィックスエンジンは非常に革命的な機能を備えており,レベル内のジオメトリ(建築物や岩盤)の形状を,リアルタイムでダイナミックに変更できるのだ。つまり,通常のゲームでは銃撃で受けた弾痕のビットマップを着弾個所に張りつけるだけだったのに,Red Factionでは,使用している武器の破壊力や発砲方向に合わせて,崩れる部分の形状や大きさを自動的に計算する。これにより,赤外線で透視された隣り部屋の敵を,迂回することなく直接攻撃できるようになるため,マルチプレイヤーモードでの戦いでも違った楽しさを与えてくれそうだ。 現実的な,"見せる"物理効果 プレイヤーが自由に乗り降りできる乗り物が登場するFPSというと「Tribes」が思い出されるが,Red Factionでも,飛行艇やタンク,フロント部分にドリルを搭載した掘削機,一人乗り用の潜水艇などが用意されている。これらはゲーム中のさまざまな地点に点在しており,プレイヤーの好みによってハイジャックできるのだ。乗り物を使うかどうかは,ほとんどの場面においてプレイヤーの判断に任されているため,徒歩のみでミッションクリアしても問題ない。これらの乗り物は,それぞれに違ったフィジックスや慣性を持っており,潜水艇は水中である分スピードが遅く,魚雷での戦いも緊張感のあるものになっている。 Geo-Mod技術関連で特に開発者達自身がお気に入りの物理システムが,物体の破壊効果である。ウォータータンクや見張り台のような塔の根元をめがけてロケットランチャーを撃てば,柱が折れて重心が狂った方向に向って崩れていく。塔一つとっても,爆発によって吹き飛ばされるパーツもあれば,塔と共に崩れて倒壊の衝撃で粉々になるものもある。また,ガラス窓もインパクトを受けた反対方向に正確に飛び散るなど,細かい部分も見事に表現されているには驚きだ。 この期待のRed Faction,アメリカでは9月に発売を予定している。日本での発売は未定だ。
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