コマンドス2 #1
Text by Seal
5th Oct.2001
1998年にEidos Interactiveからリリースされた"コマンドス"(日本国内ではズーからの販売)は,第二次世界大戦時の特殊部隊という平凡な題材をチョイスしつつも,ストラテジーとアクションを組み合わせた斬新なゲームシステム(そして異様なまでの難度)によって,世界規模で人気を博した大作ストラテジーゲームだ。
そのコマンドスから3年。やっと,続編となる「コマンドス2」がリリースされた。コマンドス2では,前作に登場した6人のコマンドーに加えて新しいキャラクターが増え,さらに深みを増したストラテジーが楽しめるのが嬉しいところだ。本稿は製品版をプレイしてのレビューとなっているが,「ここ」のプレビューと合わせて読んでいただければ,大作の大作たるゆえんが分かるだろう。
改善された操作系と美麗なグラフィックス
本作は,見て分かるように,前作と比較するとグラフィックスや演出面で大幅にクオリティアップが図られている。陰影や建物の汚れなどの実に微細な部分にまでこだわりが感じられ,グラフィックスの部分に関しては全く文句の付けどころがない。グラフィックスクオリティアップに伴い,視点の向きが90度ごとの4方向に変更できるようになっている。ゲーム中の縮尺がリアルに作られている(アイテムなどは見やすく大きくなってはいる)ために,プレイヤーが操作するキャラクターが建物の後ろに回ってしまった場合などでは,非常に見づらくなってしまうのだが,視点を見やすい角度に変更すれば細かな操作もしやすくなるだろう。
またウィンドウ表示も健在で,本作では最大6個のウィンドウで同時参照しながらゲームを進めていける。各キャラクターをそれぞれのウィンドウに表示させておくのも,重要な場面を方向を変えて表示して,ミスのないプレイをするためにはいいだろう。
操作性の部分については,前作を遊び尽くしたファンだけでなく,初めてのプレイヤーでも違和感なく入り込めるようにも改善されている。難易度はNormal,Hard,Very
Hardと3段階が用意されていて(昔あったEasyはどこにいったんだろう……),シチュエーションやアイテム数などが異なる。前作は難易度が非常に高く,途中で挫折してしまうプレイヤーも数多くいたのだが,本作では難易度設定を付け,多くのプレイヤーが楽しめる設定になっているのだ。またミッションクリアのポイントを表示する機能も搭載されているので,"どうしてもクリアできない!"という状況になりづらくなっているのも,新規に搭載されたユーザーフレンドリーな機能だ。
実際の操作については,前作もそうだったが,マウスとキーボードの同時操作が一番プレイしやすい。ショートカットボタンが用意されているのでマウスのみでのプレイも可能だが,リアルタイムでゲームが進行しているので,素早く行動するためにはショートカットキーが便利だ(なおこのショートカットキーは,自分の好きなようにカスタマイズできる)。
画面構成も若干変更されており,現在操作しているキャラクターは右下に表示されるようになっている。立ち上がる/うつぶせの姿勢の変更や,各種アイテムのショートカットボタンはキャラクターグラフィックスの上部になり,ほかのメンバーは左上に一覧表示される。注意すべきは,ショートカットボタンの上にある"バー"。これは水中に潜ったときの息の残量(潜っていられる時間)や行動の可否などの状況を表すもの。特に潜水しているときにはこのバーには気を配っておこう。
隠密行動でミッションをクリアせよ!
ゲームは,数々の指令をクリアしていくことで進んでいく。"捕虜を無事に助け出せ","極秘文書を入手せよ"などの潜入工作を行うのが目的だ。敵の兵士には固有の視野があり,その範囲内にうかつにも入り込んでしまって見つかってしまえば,警報が鳴り響いて大勢の兵士が駆けつけてくる。前作同様,兵士の視線をチェックして,注意しながらミッションをクリアするという緊張感がたまらなく面白い。
また本作では"音"も重要な要素となっている。走ったり銃を発砲したりすると,周囲に音の広がりを表す波紋のようなグラフィックスが表示されて兵士の注意がそちらに向いてしまう。つまり発見されやすくなるわけだ。だが逆にこの音を利用して敵の兵士をおびき出すというテクニックも頻繁に使うことになるだろう。タバコやウィスキーといったアイテムを兵士のそばに投げ,注意がそれている間に通り過ぎていくといくテクニックがその代表的なもの。視線と音の二つが本作の重要なポイントとなっているのである。
さらに兵士一人ひとりが個々に行動しているのも,本作をここまでのヒット作にした一つの要因だ。マップに配置されている兵士は,それぞれ巡回路を警備していたり,休憩していたり,シャワーを浴びていたりする。これらの兵士の視線をすべてを気にしなければならないという緊張感は前作以上になっている。ゲームはリアルタイムで進行しているので素早い行動が必要な場面では,プレイヤーも操作を急がなければならない。安全と思われる物陰までの移動が非常に長く感じるくらいの臨場感があるのだ。
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