■ベンチマークテスト各論

3DMark03

3DMark03  ビデオカード用ベンチマークテストの定番。ビデオカードのほぼあらゆる機能をテストできる(今年になって出てきたビデオカードの最新機能などは無理だが,今後のバージョンで対応することになるのだろう)。
 3DMark03はMaxPayneに使われたMaxFXというゲームエンジンを使ったものだが,やってる内容としてはちょっと重めかもしれない。一般的なゲームに対する指標として使用するのはどうかという気もしないではないが,将来的なゲームまで含んだ形での指標として結構よくできていることも分かる。
 基本的には有料のツールなのだが,無料ダウンロード版もあるので使っている人も多いだろう。ただ,若干注意が必要な部分もある。無料版ではベンチマークセッティングを変更できないので,デフォルトのベンチマークを使用するのが常だが,そのセッティング内容が問題だ。


    Resolution 1024×768
    Pixel Processing None
    Texture Filtering Optimal
    Max Anisotropy 4
    VertexShader Optimal
    Repeat Test Off
    Fixed Framerate Off

 ここで「Optimal」となっている部分がクセモノで,要するにMaxFXがビデオカードを見て適切な処理を行うということになる。ゲームエンジンとしては非常に優秀な処理なのだが,製品ごとに処理内容が違ってしまうと同列の比較とはいえなくなってしまう。ベンチマークとしてはいかがなものかと思わせる項目だ。
 とりあえずベンチマークを実行すると,たくさんのテストを連続して行うが,最終的な数値としてカウントされるのは最初の四つのゲームベンチの部分だけだ。以下は,GeForce 6800 GTを使用した場合のゲームテスト部分の詳細である。

・Wings of Fury
 プログラマブルシェーダは使われていない。比較的単純なレンダリングでNVperfHUDの上側のグラフ,DrawPrimitiveコールの数がきわめて低く抑えられている。序盤に少しだけ重いシーンが出てくるが,表示されている飛行機数が50機程度なのでいたしかたなし。ポリゴン数でいうと数千から多くても5,6万ポリゴンのシーンのデモだが,ここだけは10万ポリゴンを超えている。ビデオメモリの使用量は25MBなので,32MBのVRAMでもこのクオリティで大丈夫。

左:画面内に登場する機数が多くなるシーン。描画時間がうなぎ登り状態だ
右:それなりに込み入ったシーンだがDPコールは低めに抑えられている


・Battle of Proxycon
 ダイナミックライティングとシャドウイングが全面に使われているテスト。基地内などShader1.xによる描画が多く,Shader2.xは使用されていない。だいたい15万〜30万ポリゴンのシーンが続いている。いろいろ複雑な画面に見えるが,DrawPrimitiveコールはきわめて低い。ビデオメモリの使用量は89MBと多めなので,64MB搭載のビデオカードでもAGP経由のテクスチャアクセスが発生することになる。

Shader1.xによる描画部分を白抜きにしたもの。背景は固定機能で描かれている


・Troll's Lair
 髪の毛以外の人体とトロル,背景の大部分にShader1.xが使われている。Shader2.xは使用されていない。ビデオカードによってはトロルが出てきた途端に重くなるものもある(というか,最新の製品以外は重くなる)。トロル出現時のポリゴン数は40万程度,それ以外は20万程度だから一気に倍の負荷がかかるのだ。Shader2.xは使われていないが,それなりに複雑なシェーディングもされている模様。シェーダの基本性能が問われる場面だろう。
 ビデオメモリの使用量は92MBで,ビデオRAMが余っていてもAGP経由で2MBを必ず使用するようだ。CPUで書き換えているテクスチャがある模様(炎あたり?)。当然ながら,ビデオメモリが64MB級のビデオカードだとAGP経由でのテクスチャアクセスが増えて,かなりの性能低下が考えられる。

Shader1.xによる描画部分を白抜きにしたもの。髪の毛と炎煙以外は全面にShaderが使用されている


・Mother Nature
 空と水面にShader2.xの表現。ほかはShader1.xの部分がほとんどだ。再遠部の背景になる空などは固定機能で処理されることが多いのだが,ここでは手の込んだ処理がされているらしい(ほとんど画面には出てこないのだが)。ジオメトリも多く,全面的に重いシーンの連続となっている。木や草の多いシーンでは使用ポリゴン数が最大180万くらいまで跳ね上がる。ビデオメモリの使用量は意外と少なめ(?)で103MB程度。AGP経由で7MB使っているが,CPUによる水面の波紋生成などをノーマルマップ経由で処理しているのではないかと思われる。

非常に美しい自然景観画像。ほぼ全面にプログラマブルシェーダが使用されている
下左:Shader2.x使用部分を白く抜いたもの
下右:Shader1.x使用部分を白く抜いたもの



 以上のように4種類を並べると,一昔前,今風,ちょい未来風,もうちょい未来風のゲームの姿に近いといえるかもしれない。テストのバランスとしては悪くない。ただし,これをGeForce 5900で実行した場合,ちょっと処理内容が変わってきている。

・Wings of Fury
 シェーダ未使用なので変わらず。

・Battle of Proxycon
 背景や火花以外はShader1.xでの描画で変わらず。

・Troll's Lair
 顔のアップ以外では主人公,トロルとも人体の描画が固定機能での描画になる。

・Mother Nature
 Shader2.xの処理がなくなる。水面の流れのない部分や,草の部分でのShader1.x使用もなくなり,固定機能での描画となる。

GeForce FX 5900による描画例。いずれもShader1.xによる処理部分を白く抜いている


 このようにビデオチップやドライバなどで実行される内容が変わってしまうとすると,製品ごとの比較などは意味を持たない。ここではシェーダについて書いたが,テクスチャフィルタリングについても自動調整されてしまうので,場合によっては処理内容がかなり違ってくる。まあ,3DMarkでの数値の高い製品がMaxFXをよく動かすものであるのは確かなのだろう。処理系としては,こういった自動調整もあってかCPU空き時間もGPU空き時間もきわめて低く抑え込まれており,ゲームエンジンとしてはとても優秀だといえる。
 なお,現時点でのデフォルト3Dmarkの世界最高記録は17955となっている。

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