シヴィライゼーションIII コンクエスト 【完全日本語版】

シヴィライゼーションIII コンクエスト
【完全日本語版】

Text by Iwahama

 サイバーフロントが4月2日に発売予定の「シヴィライゼーションIII コンクエスト 【完全日本語版】」(以下,Conquests)のβ版が,forGamer編集部に届いた。
 動くものが届いたのは初めてだったので,まだ「とりあえず日本語化してみました」というくらいのバージョンだろうと思いつつプレイしてみると,これがもう,ほとんど製品版として問題のないレベルに仕上がっているではないか。日本語化作業は,非常に順調のようだ。

■やはり気になる「戦国時代」コンクエストについて

 シヴィライゼーションIIIの拡張パック第2弾であるConquestsの最大の魅力は,タイトルにもなっているコンクエストモードだ。
 これは,歴史上の特定の時代/場所をテーマとして取り上げ,マップや登場文明,そのユニットはもちろん,テクノロジーツリー,大/小七不思議,果てはゲームルール自体をもそのテーマに合わせたシナリオ(コンクエスト)で遊べるモード。
 コンクエストは9種類用意されている。これまでも何度か紹介したので,ここではコンクエスト名とその時代だけを掲載する。

・メソポタミア(4000BC〜1900BC)
・ローマの勃興(3500BC〜300AD)
・ローマ帝国の滅亡(324AD〜624AD)
・メソアメリカ(300AD〜1500AD)
・中世(843AD〜1455AD)
・大航海時代(1490AD〜1640AD)
・戦国時代(1450AD〜1605AD)
・ナポレオン期のヨーロッパ(1800AD〜1808AD)
・太平洋戦争(1941AD〜1945AD)
※すべてゲーム内表記

 この中で最も気になるのは,日本の戦国時代を舞台にした,その名も「戦国時代」。さっそくβ版でプレイしてみた。
 マップは,当然日本列島だ。本州と四国,九州が,140×132のサイズで描かれている。プレイヤーが選択できる文明……つまり大名家は,今川家,上杉家,織田家,武田家,伊達家,三好家,毛利家の計八つ。ただ徳川家や島津家など"選択できない大名家"もあり,すべてを合計すると18の大名家が天下統一を目指して戦うことになる。

 ここで残念なのは,大名家ごとの差が,スタート地点の位置くらいだということ。"商業志向"や"拡張志向"といった文明の性格は,設定されていない。またシヴィロペディア(ゲーム内辞書)で大名家ごとの解説を見ても,全部同じ文章。もっともこのあたりは,製品版では変更されるかもしれない。


 このコンクエストでの目的は,「制覇による勝利」「征服による勝利」,もしくは「外交による勝利」。戦国時代らしい目的である。
 また大名自身も"将軍ユニット"として登場するのだが,このユニットが倒されたら,即ゲームオーバーだ。しかしこの将軍は,そこそこ強い。なんと10段階でアップグレードでき,最初から"攻撃:2 防御:2 移動:2"という能力があり,最終的には"攻撃:11 防御:11 移動:2"となる。この将軍を,いかに殺されないように活躍させるかが,重要になってくるだろう。

 時代は,"戦国時代以前" "戦国時代前期" "戦国時代後期" "戦国時代以後"の四つに分かれている。最初の戦国時代以前のテクノロジーツリーには,「陶器」や「アルファベット」など,比較的見慣れた技術が並んでいる。しかし前期に入ると,「弓術」や「剣術」「居合術」など,"術"のつく,いかにも和風な技術が並ぶ。
 後期になると,なんとわずか四つの技術しかない。しかも一本道で,もはやテクノロジー"ツリー"とはいえない状態だ。ちなみにこの四つとは,「商い」「ポルトガル国との接触」「火薬」「砲術」。ここに来てようやく戦国武将たちが銃器の扱いを覚え,合戦は激化し,淘汰のスピードが劇的に速まるわけだ。
 そして最後の戦国時代以後のテクノロジーツリーを見ると……なんとそこに辿り着くまでは,巨大なクエスチョンマークが一つ見えるだけ。いったい何が待っているのだろうか?(まあ英語版プレイヤーにとっては"今更"な秘密なんだろうけど,一応伏せておこう)

 ユニットや都市改善も,当然日本の戦国時代に合わせたものに置き換えられている。とても全部は紹介できないが,まぁ忍者や山伏,浪人といったユニットが登場するわけだ。
 大七不思議はちゃんと(?)七つで,万里の長城のように使える「浮城」,国際連合のように使える(つまり外交による勝利に必要な)「幕府」などが存在する。「孫子の兵法」だけは,オリジナルと同じだ。
 小七不思議は,「出雲大社」「古事記」「士官学校」「忍びの里」「戦場医療」の五つだ。その効果は,まぁある程度想像付くだろう。

 リーダーユニットに相当するのは,"侍大将"。この侍大将ごとの名前,あと都市の名前なども,すべて戦国時代に関連するものに置き換えられているのはいうまでもないだろう。

■日本人ならば「戦国時代」コンクエストを遊ぶべし

 まだ筆者は軽く触れただけ(1クリア)だし,触ったのはβ版なので最終的な評価は控えるが,ここまで何もかも変更されていて面白いのか? と聞かれると,「面白い」という答えになるだろう。
 まぁ戦国時代のコンクエストに関していえば,非常に馴染み深い設定だし,それをシヴィライゼーションIIIのシステムで遊べるというだけで感動ものである。有名大名の城……ならぬ都市を落としながら,じわじわと日本マップを自分の大名家の色に染めていくときの"気持ち良さ"は,戦国ストラテジーにハマったことのある人なら分かってもらえるだろう。
 Conquestsからこのコンクエストだけ独立させて,さらにパワーアップしてくれたら,それだけで別なソフトになっちゃうかも,と思うくらいだ。

 もちろん気になる部分もあった。先述の"大名家の差"もそうだが,顔グラフィックスがないというのも非常に痛い。
 オリジナルでの顔グラフィックス部分には,その大名家の"家紋"が表示されていて,これはこれでよく研究しているなぁとは思うものの,……やはり各大名の表情が見られないのは寂しいものだ。
 顔グラフィックスがないと,交渉時に相手大名の表情を楽しめないし,新しい時代に移行しても実感が湧かない。そして何より,ゲームクリア時のほかの大名からメッセージが,なんとも味気ないのだ。
 国内代理店のサイバーフロントに,顔グラフィックス部分の差し替えまで要求するのは酷だろう。顔差し替えMODを作成する有志の登場に期待したい。

 ConquestsがシヴィライゼーションIIIファンにお勧めできる作品に仕上がるのは,まず間違いないだろう。そして戦国ストラテジーのファンにも,やはりお勧めできる作品になるはずだ。
 ほかのコンクエストに関しては,いずれ掲載するレビュー記事で紹介するので,お楽しみに。

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