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印刷2007/11/21 23:14

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G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介

画像集#018のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介
 G★2007の学校系ブースが集まった一角で,青江(チョンガン)文化産業大学(Chung Kang College of Cultural Industries)の学生による卒業作品が出展されていた。その中から,気になった3作品の内容を,4Gamer編集部の三人がそれぞれ紹介する。いま韓国の大学生が卒業作品として,どのようなゲームを作っているのか,彼らの力量や発想などに注目してほしい。




学生による卒業作品とはいえ侮れないRTS「WAR CHRONICLE」


画像集#008のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介
Lee Young Sub(イ・ヨンソプ)君(中央)と,会場に来ていた開発スタッフ2名
 ゲーム開発を含む美術/技術学校の卒業作品として,異色な存在だったのがRTS「WAR CHRONICLE」だ。Lee Young Sub(イ・ヨンソプ)君をリーダーとする10人の学生が共同で開発した作品で,時代背景は中世,西洋のさまざまな戦闘ユニットやヒーローと,東洋のそれがぶつかるというコンセプトだ。

 両陣営の本拠地にはそれぞれ,城と倉庫,研究施設があって,敵の城を破壊するのが勝利の条件だ。ちなみに,倉庫を破壊されると各種資源がなくなり,研究施設がやられると各種テクノロジーが無効になる。両陣営とも,生産拠点となる村があるのだが,例えば東洋側では,韓国風,中国風,日本風の建物で表された村が確認できた。

 画面右上に並ぶアイコンは,左から戦略ポイント/金/食料/徴兵可能人口/ユニット数を示しており,ユニット生産には戦略ポイントとほかの資源を一緒に消費する。
 ユニットには基本として剣士,槍兵,騎兵がいるほか,ジャンヌ・ダルクや武田信玄といった,実在人物の名を冠したヒーローユニットが生産できる。これらヒーローユニットは,特定兵科の戦力を上げる特殊能力を持っていて,部隊と一緒に置いておくと,武田信玄なら剣士,ジャンヌ・ダルクなら騎兵の能力を引き上げる。
 ちなみに弓騎兵がいるかどうか聞いてみたところ,「東洋側にだけいる」とのことで,さらに「それはモンゴルってこと?」と問うたところ「そのとおり」との答えだった。存在する兵科も陣営によって部分的に異なるとのことで,例えば東洋にはさらに「忍者」がいるそうだ。……同じ東アジアに属する韓国の学生さんに,そういうゲーム設定を作られるのも,ちょっぴり複雑な気分である。

 いまのところ,マップは一つだけとのことだったが,卒業作品でこれを作れてしまう韓国のゲーム開発学校の力量には,正直感心させられたというほかない。(Guevarista)

画像集#006のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介 画像集#007のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介

「Free Hugs」を題材にしたゲームを発見


画像集#016のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介
 “Free Hugs”というムーブメントをご存じだろうか。街角で親しい者同士はおろか,見知らぬ者同士さえもが,ただHug(抱擁)し合うことで,互いが抱える苦しみや哀しみをやわらげるといった趣旨の,なんだかラブとピースに満ちあふれているとしか言いようがない活動である。
 YouTubeなどでは,Free Hugsの模様をミュージックビデオ風にまとめたものなどが公開されているので,興味のある人はそれらを見てみよう。日常的に他人とHugする習慣を持たない多くの日本人にとって,少々気恥ずかしい光景ではあるだろう。しかし,こういった映像を見るだけでも,常に孤独を抱えながらコンクリートジャングルで闘い続け,少々荒み気味な人の心にも,Free Hugsは温かな光を宿すかもしれないし,宿さないかもしれない。
 その起源は2001年のアメリカで,2004年にオーストラリアで大きな広がりを見せたというFree Hugs。なんでも韓国では,2006年下半期から流行し始め,今年はclrideという衣料メーカーのCMでも流されたのだとか。

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 で,そんなFree Hugsを題材にしたゲームが,青江文化産業大学の学生達が開発した「Free Hugs」である。
 プレイヤーはまず,男女いずれかのキャラクターを選択し,街に繰り出すことになる。さまざまな不安を抱えた人々が歩き回っている街の,人口密度の高めな地点を選んでSpaceバーを押すと,プレイヤーキャラクターは“Free Hugs”と書かれたサインボードを掲げる。すると,人々は足を止めてくれるので,再度Spaceバーを押すと,その中でも好反応を示してくれた人とHugができるのだ。そしてHugsしたときにタイミング良くもう一度Spaceバーを押すことでHugは成功。Hugした人も,それを見ていた人も温かな気持ちになるのだ。ただし,タイミングを誤ると,突き倒されてしまうことも……。
 こんな具合で,街中の人々をハッピーにしよう! というのが,このゲームの目的というわけ。しかしながら,プレイヤーキャラクターがほかの人とHugsしているところを見て,嫉妬のあまり気分を害してしまう困ったちゃんも現れたりするため,やたらめったらHugしまくればいいというわけではないのである。このあたりの仕様は,某恋愛シミュレーションゲームの“爆弾”に通ずるものがあるような気がした。

 単体のゲームとしては遊び応えがあまりに足りなすぎると感じたが,例えばMMORPGにおける他プレイヤーとコミュニケーション手段として本作のようなものがあれば,それはそれで面白いかもしれない。
 何にせよ,流行の事象をゲームにしたい! という欲求は,万国共通のもので,そういった衝動を強引にでも形にしてしまえるのは,若者の特権なのかもしれないな,と思った次第である。(TeT)

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合言葉は「No Sale No Gain」,お買い物ゲーム(?)「Go!Go!Mart」


Cho Young hun(チョ・ヨンフン)君(左)と,会場に来ていた開発メンバー
画像集#005のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介
 卒業作品として出展されていたなかで,なんともいえないシュールな雰囲気を持っていた作品が,お買い物レーシングゲームといえばいいのだろうか,ジャンル分けに「Go!Go!Mart」だ。Cho Young hun(チョ・ヨンフン)君がリーダーとなり,7人の学生が半年の期間で,Flashをベースに開発したというGo!Go!Martは,ある家族の商店での戦いを描いたという,面白い発想の作品に仕上がっている。なお,本作品のプレイムービーを4GamerにUpしているので,以下の本作品についての説明と併せて,どういうゲームなのか確認してみよう。

画像集#003のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介 画像集#002のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介

 ゲームの内容を簡単に説明すると,登場するキャラクターは4人。割引セールに敏感な“おかん”(母親でもいいのだが,あえておかんと言いたい)は,商店で安い商品が欲しいのだ。一人暮らしで自炊をしている“息子”は,食生活が大変なので,商店で安く買って食費を浮かせなければならないのだ……というように,家族の事情と買い物を繋げて,ゲームの設定にする発想はなかなか面白い。そんな家族が,商店内でショッピングカートを手にし,安い商品を求めて駆け回るのだ。
 操作は,誰にでもプレイできるようにと非常に簡単にしたという。上キーと下キーで前進/後退,左右で方向転換,Shiftキーを押していればドリフトができる。商品はZキーで取れる仕様だ。自動で取れないのかな? と思ったが,実はマップに出現する商品には,定価の商品とセール品の2種類が存在し,詳細は後述するとして,どちらを取るかが点数などに関わるため,狙って取れるようにしているのだろう。なお,セール品の場所は画面右上のレーダーに表示されており,一定期間ごとにセール品と場所が変わっていく。

ショッピングカートなのに,このスピード感。……カート違いの気がして仕方ない。
画像集#004のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介 画像集#001のサムネイル/G★2007の学校系ブースで見かけた大学生の卒業作品3タイトルを紹介

 ゲームをスタートすると,そこにはショッピングカートを前に準備運動中のおばさんが。なんともシュールである。画面左上に見えるのが,見た目どおり胃袋で,時間と共に胃袋内のゲージが減少していき,セール品以外を入手すると回復する。画面中央の上にあるのはタイムリミットで,どちらかが無くなるとゲームオーバーになるわけだ。つまり,セール品ばかり探していると胃袋が空になり,点数を上げようと欲張るとタイムリミットが迫るというバランスは,なかなかうまい。なお,各ステージのクリアはレジに行けばいつでも可能だ。その時点での残りタイムや,購入金額,どれだけ安く購入できたかなどが考慮され,点数が決定される(Upしたムービーでは偶然にも点数と購入金額が同じになっている)。将来的には,さらに開発を進めてオンライン対戦ができるようにしたいと話していた。


 ゲームとしては単純な作品なのだが,その発想と内容の良い意味でのバカさ加減は,細かいことは深く考えずにちょっと遊んでみたくなってしまう,そんな作品である。一緒に行動していた取材陣にも「キャラクターの背中がシュールでいい!」と,なかなかウケていた(?)様子。まさにアイデアの勝利……なのだろうか。(Nobu)
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