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Intel,PCゲームへの取り組みを公開。ゲーム市場を3つに分類し,最適なCPUをアピール。その定義には疑問符が
Mooly Eden氏(Vice President General Manager, PC Client Group, Intel) |
内容の多くは4Gamerですでにお伝えしているものだったが,「IntelがPC市場に対してどう取り組んでいるか」という部分には,興味深いものもあった。今回はそんなEden氏のスピーチをざっくりとまとめてお届けしよう。
Intelが分類した3つのカテゴリ,
エントリー〜ミドルクラスのGPUはどこ?
さて,Eden氏のセッションで最も興味深かったのは,「Intelは,PCゲーム市場を『Enthusiast』『Mainstream』『Casual』という3つのカテゴリに分けている」と述べた部分だ。
この3つのカテゴリの中でEnthusiastに属する層は,最もハイエンド志向となるゲーマーだという。最新のDirectX 11タイトルなどをプレイし,ハードウェアテクノロジーにも精通しており,CPUのオーバークロックをしてでも極限まで性能を追求する人が,この層には多く含まれるとのこと。実数としては全世界で約3000万人に上るという見解が示されている。
Intelは,ゲーム市場を「Enthusiast」「Mainstream」「Casual」の3つに分類している |
Eden氏は,Enthusiastゲーマーに「Core i7-990X Extreme Edition/3.46GHz」が最適とし,性能をアピール |
第2世代のCore iシリーズは,32nmプロセスを採用したことで,2006年のIntel HD Graphics比でグラフィックス性能が25倍向上しているという |
同氏は,このカテゴリに現在2億人以上のユーザーがいるとしたうえで,「この層の人達には優れたCPU性能とグラフィックス性能を両立している第2世代のCore iシリーズが最適だ」とアピールする。
さらに,第2世代のCore iシリーズが搭載しているCPU統合型GPUの「Intel HD Graphics」は,「Need for Speed: Shift 2 Unleashed」や「Darkspore」,「FIFA 11」,「World of Warcraft: Cataclysm」などのメインストリームタイトルをプレイするのに十分なパフォーマンス備えているとも付け加えていた。
ここで「ん?」と思った人もいるだろう。この話で気になるポイントは2つある。
まず1つめが,CPU統合型GPUでプレイするのに十分であるとしてIntelが挙げたゲームタイトルは,解像度を下げたりエフェクトを減らすなどの設定変更をしなければ,満足にプレイできないケースが少なくないという点だ。
動作するかしないかという二択なら,動作する,ということになるが,プレイするのに十分であるかと言われると疑問が残る。
2つめは,「EnthusiastとMainstreamの間はどうなる?」という点である。
Enthusiast=ハイエンドGPU,Mainstream=CPU統合型GPUとした場合,エントリー〜ミドルクラス,つまり1万円〜2.5万円程度のグラフィックスカードを選ぶ層は,どこに属するのかということだ。
日本や韓国などのアジアにおいて,ゲーム人口が最も多いと思われる3Dオンラインゲームでは,エントリークラスのGPUでもプレイできることが多いものの,快適にプレイしたい場合にはミドルクラスのGPUが必要になるわけだ。そこがごっそりと抜けているのは,Intel HD Graphicsをアピールするための少々強引な展開といわれてもやむを得ないだろう。
Z68チップセットやポータブルPCゲーム機など
ハードウェアもアピール
Intel Z68 Expressの特徴。CPU統合型GPUの各種機能が有効化できるという |
CeBIT 2011の会場に展示されていたり,3月3日の記事や3月5日の記事など,4Gamerでも何度かお伝えしているが,Intel Z68 Expressは,「Intel P67 Express」相当のオーバークロック設定やマルチGPU対応を備えつつ,統合型グラフィックスの機能をも利用できるというチップセットだ。
氏は,Intel Z68 Expressを利用することで,Intel P67 Expressでは有効にできなかった「Quick Sync Video」や「Intel Insider」「InTru 3D」などの機能とオーバークロック設定が両立できるようになるとアピールしていた。
Switchbladeを手にするEden氏 |
こちらも2月19日の記事で触れているので,覚えている読者も多いだろう。
セキュリティを強化するIPT
アバターに表情を与える新技術も公開
IPTを使用してSteamにアクセスしている様子。Newell氏が登場し,IPTの安全性をアピール |
Newell氏は,IPTを使うことで安全にゲームが楽しめるようになるとして,自身のSteamアカウントとパスワードを公開。「もしこのアカウントをハックできるならやってみろ!」と,会場を埋め尽くしていたゲーマーたちに挑戦状を叩きつけるという場面もあった。
Image Metricsが開発を進めているという,アバターにプレイヤーの表情を反映する技術 |
この技術がオンラインゲームやソーシャルゲームなどで採用されれば,コミュニケーションの幅が広がりそうである。
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