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印刷2007/08/23 16:24

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[GC 2007#016]ひさびさに公の場に登場した注目作,「Spore」を細かくチェック

 「シムシティ」「シムピープル」などの世界的ヒットを連発してきた天才ゲームクリエイター,ウィル・ライト氏の新作にして,E3(Electronic Entertainment Expo)やGCで“Best of Show”などの数々の賞を(発売前から)獲得してきた世界注目の作品,「Spore」の発売が大幅に遅れて2008年春になるというのは,5月9日の記事でもお伝えしたとおり。すでに膨大な予算が投入されていながら遅延を繰り返し,Electronic Artsの2006年第4四半期の業績悪化の原因の一つになったとか,CEOの交代で開発の見直しがなされるのではないかなど,良くない噂も聞こえてこないではないSporeだったが,今回のGC 2007ではちゃんと公開されたので,ファンとしては一安心だ。
 「GC会場で誰でもプレイ可能」という情報が欧米メディアから流れたものの,今回のSporeの展示はパブリックなものではなく,EAがプレス専用にしつらえた部屋で行われる,いわゆるビハインド・ザ・カーテン形式。プレイはEAの担当者が行った。人が3人も入ればいっぱいになってしまいそうな小さな部屋で,いくつかのプレイシーンを見せるというのものだった。ただし,残念ながら撮影は禁止で,最新のシーンをお見せすることはできないのでごめんなさい。
 その代わり,というわけではないが,ウィル・ライト氏を含めたSpore開発チームのメンバーがコメントしつつゲームを紹介するというムービーを掲載したので,興味のある人はぜひダウンロードしてほしい。

→ムービーのダウンロードは「こちら」(45秒,WMV)
 ダウンロードの詳細:23.0MB(24,178,237バイト)



 Sporeについては,GCを含めこれまで何度かウィル・ライト氏自らがデモンストレーションを行ってきたが,そこで使用されていたのはゲームのグラフィックエンジンを使ったムービーに近いもので,すべての要素はスクリプトによって動いていた。だが,今回は実際にゲームを立ち上げながらの説明であり,細かなゲームシステムがよく分かるものだった。




 時間の都合もあり,紹介されたのはCell phase,単細胞生物の時代からCreature phaseと呼ばれる動物の時代を経,そいつらが集まって暮らすTribal phase,つまり文明以前のレベルまでだった。それ以降の二つのレベル,つまりCity(都市)とSpace(宇宙)もすでに完成しているとのこと。このように,ゲームに登場するレベルは計五つになる。



 一つ目の小さな生き物が海中をウロウロするところからゲームは始まった。そいつは,そのへんにいるほかの生き物を食べたりしながら暮らしているのだが,たまに食べた相手の遺伝子を獲得することがある。放っておけばそのままだが,そこでエディタ画面に移れば,獲得した形質を自分のプレイヤーキャラクター(単細胞生物だが)に与えられるのだ。デモでは,海中移動を速める触手や,もう一つの目玉,敵の攻撃から身を守るトゲなどが増えていき,どんどん複雑な生き物になっていく。もちろん,体の色の変更も自由自在だ。
 そいつらはやがて上陸し,地上で暮らし始める。地上にはほかにもいくつかの生物がすでに存在しており,彼らとは歌やジェスチャーなど,さまざまな方法でコミュニケートでき,そうしたコミュニケーションを通してまた新たな形質を獲得し進化していくというわけだ。だが,地上には恐ろしい捕食動物もいる。うっかりしているとそれらに襲われてしまうので,野生生活はなかなかたいへんである。こうしたほかの生物はゲームが自動的に生成するので,プレイするたびに異なり,説明に当たっていたEAの担当者をして「毎回毎回,見たことのない生き物が出てくる」と言わしめるほどだ。

 プレイヤーは,エディタ画面を使って自分の生物を「肉食性」にも「草食性」にも進化させられる。肉食に適した口や手足を与えれば,それはほかの生き物を襲う肉食動物になるし,そうでなければ草や木の実を食べるおだやかな生き物に自動的になっていくのである。



 ここで,ちょっとチートコードを使って,時代はTribal phase。このあたりになってくると,プレイヤーが操作するのはすでに一丁前の動物である。最初はまあ群れとしてなんとなく集まっているが,そのうち食料を一か所に集め出したり,ほかの群れと戦ったり,友好関係を結んだりし始めるのだ。ここまでくれば,文明社会まであとわずかである……。



 ごく短い時間ではあったが,デモの完成度は非常に高く,グラフィックスも従来より一回り美しくなっている(お見せできないが)。まったくすぐにでも発売できそうな雰囲気だったので,「どうして遅れてしまったのか?」と質問したところ,まだまだゲーム性に磨きをかけるために時間が必要なのだという答え。
ゲームの目的は,(現在のところ)全宇宙をその手に収めることにあり,だとすれば人間の歴史をなぞることで目的を達するのが早道で,自由度の高さを謳っている割に,誰がプレイしても同じような展開になりそうな気がしないでもない。おそらく肉食のほうが草食より何かと有利な感じがするし,戦闘に長けたクリーチャーのほうが文明を築きやすいだろう。そのため,さらにいろいろな要素を加えてゲーム性を高めていくというのは納得できるような気もする。

 いずれにせよ,発売遅延の発表ののち,しばらく新情報が聞かれずにファンをやきもきさせていたSporeだが,2008年春の発売は間違いないとのこと。ウィル・ライト氏の最新作が姿を見せるのは約半年ほど先のことになりそうだ。いやもう,あっという間ですよ,きっと。(松本隆一)

メディアでごったがえすEAのプレスセンター。この奥の小部屋でSporeのデモが行われたのだ
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