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「GeForce 436.02 Driver」で「NVIDIA版Anti-Lag」こと「Ultra-Low Latency Mode」を実装
Release 430世代のWHQL(Windows Hardware Quality Labs,ウィクル)通過版であるGeForce 436.02 Driverは,欧州時間8月20日からドイツのケルン市で行われているゲームイベント「gamescom 2019」に合わせて公開されたものだ。ゲームイベントに合わせて登場しただけに,いくつかの新機能を盛り込んでいるのが見どころである。本稿では,注目すべき4つの新機能について,概要をまとめておこう。
Ultra-Low Latency Mode
GeForce 436.02 Driverの「3D設定の管理」に追加されたUltra-Low Latency Modeは,ゲームの操作遅延を低減する機能であり,有り体に言ってRadeon Softwareの遅延低減機能「Radeon Anti-Lag」(以下,Anti-Lag)に相当するものだ。NVIDIAによると,この新機能により操作遅延を最大33%削減することができるとしている。
Ultra-Low Latency Modeの仕組みは単純だ。詳しくは西川善司氏によるレポート記事でのAnti-Lagに関する説明を参照してほしいが,GPUの事前レンダリングフレーム数を削減する機能と考えていい。
「NVIDIAコントロールパネル」におけるUltra-Low Latency Modeの設定(※画面ではLow Latency Modeとなっている)には,「Off」「On」「Ultra」という3つの選択肢があった。
Offは単純に,Ultra-Low Latency Modeの機能を無効にする。
一方,Onにすると,事前レンダリングフレーム数を強制的に「1」にするという。これは,従来からNVIDIAコントロールパネルにある「レンダリング前最大フレーム数」を「1」に設定するのとまったく同じ効果であるそうだ。
注目すべきはUltraの設定で,事前レンダリングフレーム数が「0」,つまり事前レンダリングを行わない動作になって,操作遅延が最小になるとのこと。NVIDIAによると60〜100fpsでレンダリングができているゲームタイトルで最も高い効果が得られるとのことである。
ただ,一部のゲームタイトルでは画面のチラツキやカクつきが生じる可能性もあるので,効果を見ながら設定することになるだろう。
なお,Ultra-Low Latency ModeはGeForce 436.02 Driverが対応するすべてのGPUで利用でき,DirectX 9およびDirectX 11対応のゲームタイトルで効果があるとのこと。DirectX 12で描画を行うゲームタイトルでは効果がないことは注意してほしい。
GPU Integer Scaling
「GPU Integer Scaling」は,いわゆる“ドット絵”調のグラフィックスを使う低解像度のゲームに向けた新機能である。ドット絵調のゲームや解像度が低いゲームの画面を単純に拡大すると,ドットのエッジがボケたように表示されてしまうのを体験したことのある人もいるだろう。GPU Integer Scalingは,こうしたボケを抑制する仕組みである。
GeForce 436.02 Driverを導入すると,NVIDIAコントロールパネルにおける「デスクトップサイズと位置の調整」に,「Integer Scaling」という項目が追加される。これを選択すると,低解像度の画面を拡大するときに,整数倍で拡大を行うため,ドットがシャープに表示できるという。
ただし,GPU Integer Scalingが利用できるのはGeForce RTX 20シリーズおよびGeForce GTX 16シリーズのみ。つまりTuring世代のGPUでしかサポートしていないという点に注意が必要だ。
Freestyle Sharpen Filter
GeForceユーザー向け無料ソフト「GeForce Experience」に,GPUによるリアルタイムポストエフェクト処理で,ゲームの画質調節を行える「FreeStyle」という機能がある。そのFreeStyleに,新しいシャープネスフィルタ「Freestyle Sharpen Filter」が加わった。
NVIDIAによると,Freestyle Sharpen Filterは,従来のシャープネスフィルタよりも高画質になったのに加えて,ゲームのフレームレートに与える影響を半分に抑えているという。
Freestyle Sharpen Filterは,FreeStyleに対応するゲームタイトルなら,どれでも利用可能だ。
30bitカラーによるHDRのサポート
7月29日に発表となったコンテンツ制作系アプリ向けのドライバソフト「Studio Driver」(関連リンク)で一足先にサポートされた30bitカラーによるHDR表示に,GeForce 436.02 Driverも対応した。
30bitカラーに対応するゲームあるのかというのは疑問だが,Studio Driverと同等の機能が使えるようになったことは,GeForce Driverを使っているクリエイターにとっては意義のあることだろう。
これら4つの新機能に加えて,GeForce 436.02 Driverでは,「Apex Legends」「Battlefield V」「Forza Horizon 4」「Strange Brigade」「World War Z」に対する最適化も施された。1つ前のバージョンであるGeForce 431.60 Driverと比べて,最大23%のフレームレート向上を果たしているそうだ。
ドライバのアップデートが自己責任となる点は理解してもらったうえで,すぐにでも入手したい人は,下に示したリンクかGeForce Experienceを利用してもらえればと思う。
なお,Release 418世代からNVIDIAは,Windowsの新しいドライバモデルであるWindows Modern Driver(またはUniversal Windows Driver)に対応する「DCH」ドライバも提供している。ほとんどのゲーマーは,既存の「Standard」ドライバを入手すればいいが,どちらのドライバを入手すべきか分からない場合は,「NVIDIAコントロールパネル」の「ヘルプ」メニューから「システム情報」を選び,表示されたダイアログで「ドライバータイプ」の欄を確認してほしい。
→64bit版Windows 10用GeForce 436.02 Driver(572.28MB,Standard)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/150345/jp
→64bit版Windows 10用GeForce 436.02 Driver(524.26MB,DCH)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/150399/jp
→ノートPC向けの64bit版Windows 10用GeForce 436.02 Driver(572.28MB,Standard)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/150381/jp
→ノートPC向けの64bit版Windows 10用GeForce 436.02 Driver(524.26MB,DCH)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/150417/jp
→GeForce RTX 20シリーズ向け64bit版Windows 7用GeForce 436.02 Driver(526.78MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/150327/jp
→GeForce GTXシリーズ向け64bit版Windows 8.x・7用GeForce 436.02 Driver(526.78MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/148871/jp
→ノートPC向けの64bit版Windows 8.x・7用GeForce 436.02 Driver(526.78MB)
https://www.nvidia.co.jp/Download/driverResults.aspx/150363/jp
→4Gamerの最新ドライバリンクページ
https://www.4gamer.net/games/999/G999902/FC20110422001/
今回も,NVIDIA公式情報ページの情報と英文リリースノートの要点和訳を本稿の最後にまとめておいたので,興味のある人はぜひそちらもチェックしてほしい。もちろん,ドライバの導入は自己責任となるので,その点は注意してもらえればと思う。
## 以下,NVIDIAによる公式紹介記事および英文リリースノート(リンク先はPDF)まとめ ##
●GeForce 436.02 Driverの対応製品
- デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- NVIDIA TITAN RTX
- NVIDIA TITAN V
- NVIDIA TITAN X,Zシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX TITANシリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜600シリーズ
- デスクトップPC向けGeForce GT 600シリーズ
- ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ(※Windows 10のみ)
- ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
- ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
- ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
- ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ
●GeForce 436.02 Driverが統合するソフトウェアモジュール(比較対象はGeForce 431.60 Driver)
- GeForce Experience:3.19.0.107
- HD Audio Driver: 1.3.38.21(←1.3.38.16)
- PhysX System Software:9.19.0218
- Vulkan RT:記載なし
- nView:149.77
- CUDA:10.1
- NVIDIA Control Panel(Standard):8.1.940.0
- NVIDIA Control Panel(DCH):8.1.955.0(←8.1.954.0)
●GeForce 436.02 Driverにおけるゲームへの最適化
- 「Apex Legends」「Battlefield V」「Forza Horizon 4」「Strange Brigade」「World War Z」への最適化
●GeForce 436.02 Driverの新要素
- GPU Integer Scaling(Beta)の追加
- Ultra-Low Latency Mode(Beta)の追加
- Quadroシリーズにおける「3D設定の管理」-「テクスチャフィルタリング」のデフォルトをHigh Qualityに変更
- 30bitカラーによるHDR表示対応
- FreeStyleに新フィルタ「Freestyle Sharpen Filter」を追加
- Microsoft Hybrid仕様のノートPC(※詳細不明。GeForce GPUを搭載するSurface Bookシリーズのことか)でGPUの仮想化に対応
- NVIDIAコントロールパネルに「VirtualLink PPC」ファームウェアを更新する機能を追加
- G-SYNC Compatible Monitorに3機種を追加(※所有しているディスプレイがG-SYNC互換ディスプレイかどうかは公式サイトを参照のこと) https://www.nvidia.com/en-us/geforce/products/g-sync-monitors/specs/
- SLIプロファイルに12タイトルを追加
●GeForce 436.02 Driverで解決した問題
- SLI構成のPCで「Shadow of the Tomb Raider」が「DXGI DEVICE HUNG」エラーを起こしハングアップしてしまう問題
- Autodesk製ソフトウェア「AutoCAD 2017」および「Maya」で,Windowsがクラッシュしてしまうことのあった問題
- ゲームを終了したあとに,マウスポインタが正しく表示されないことのあった問題
- ロシア語版NVIDIAコントロールパネルのスペルミスを修正
●GeForce 436.02 Driverにおける既知の不具合
- 「Tom Clancy's The Division II」をDirectX 12モードでプレイするとクラッシュすることがある
- 「Forza Motorsport 7」でトラックの描画が異常になることがある
- 「レンダリングデバイスを失った」というエラーで「Overwatch」がクラッシュしてしまうことがある
- HDR環境でGPU Integer Scalingを有効化して解像度を変更すると,ブルースクリーンでクラッシュまたはシステムが停止することがある
- G-SYNC有効時,Webブラウザ「Firefox」でYouTubeをフルスクリーンで再生中,タイムラインにマウスポインタを合わせると画面が点滅する
- 異なるアーキテクチャのGPUをインストールするとシステムがクラッシュする場合がある。たとえばFermi世代とPascal世代など
NVIDIA公式WebサイトにおけるGeForce 436.02 Driverの新機能紹介
- 関連タイトル:
GeForce Driver
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