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最大15%の性能向上を実現した「Catalyst 12.11 Beta」登場。「Windows 8 Ready」な公式最新版「Catalyst 12.10」も
北米時間2012年10月22日,AMDは,「ゲーマー向け」と位置づける公式最新β版グラフィックスドライバ「Catalyst 12.11 Beta」を公開。合わせて,同社製GPUやAPU,チップセットに広く対応する公式ドライバスイートの最新版となる「Catalyst 12.10」もリリースしている。
「Display Driver」のバージョンは,ファイル名に「Beta3」と書かれているCatalyst 12.11 Betaが9.01.8(1210211853-9.01.8-121021a-147510E-ATI.6),Catalyst 12.10が9.002(1210151003-9.002-120928m-148276C-ATI)。「Catalyst 12.9 Beta」は同9.001だったので,Catalyst 12.10はCatalyst 12.9 Betaをベースに公式最新版へ昇格させたものという理解でいいのではかろうか。
というわけで,すぐに入手したい人は下に示したリンクからどうぞ。ただし23日11:30現在,Windows XP向けのCatalyst 12.11 BetaおよびCatalyst 12.10グラフィックスドライバは公開を確認できていない。
→32bit版Windows 8向けCatalyst 12.11 Beta&Catalyst 12.10
→64bit版Windows 8向けCatalyst 12.11 Beta&Catalyst 12.10
→32bit版Windows 7&Vista向けCatalyst 12.11 Beta&Catalyst 12.10
→64bit版Windows 7&Vista向けCatalyst 12.11 Beta&Catalyst 12.10
→32bit版Windows 7・Vista採用のノートPC向けCatalyst 12.10
→64bit版Windows 7・Vista採用のノートPC向けCatalyst 12.10
→Windows 8向けCatalyst 12.10チップセットドライバ
→Windows 7向けCatalyst 12.10チップセットドライバ
→Windows Vista向けCatalyst 12.10チップセットドライバ
→Windows XP向けCatalyst 12.10チップセットドライバ
→4Gamer最新ドライバリンクページ
Catalyst 12.11 Betaについては22日掲載の記事でも簡単にお伝えしているが,「Graphics Core Next」アーキテクチャ採用のRadeon HD 7000シリーズに向けた性能面の最適化が最大の特徴だ。「Radeon HD 7870」で性能が出ない問題に向けた修正が入っているのも見逃せないところだろう。
また,「AMD Enduro Technology」(以下,Enduro)対応のノートPCが流通している欧米市場では,Enduro対応の「Catalyst 12.9 Beta」が登場したとき「Enduroを有効にすると性能が出ない」という声がそこかしこから上がっていたのだが,その問題にもメスが入っている。
一方のCatalyst 12.10は,AMDが「Windows 8 Ready」なドライバだと位置づけているのがすべてと言ってよさそうだ。Radeon搭載のPCを使っている一般PCユーザーがWindows 8へ移行するときに導入すべきリリースといった印象である。
今回も例によって英文リリースノート――一部,AMDから入手したメールの内容も含むが――の和訳を試み,本稿の最後に箇条書きでまとめたので,興味のある人は参考にしてほしい。
ドライバのアップデートは自己責任であり,その点は注意してほしいが,せっかくAMDがゲーマー向けと位置づけていることもあるので,GCNアーキテクチャ採用のGPUを使っている人は,積極的に公式最新β版を試してみてはどうだろうか。
●Catalyst 12.11 Beta&Catalyst 12.10の対応製品
- デスクトップPC向けRadeon HD 7900・7800・7700シリーズ
- デスクトップPC向けRadeon HD 6000シリーズ
- デスクトップPC向けATI Radeon HD 5000シリーズ
- ノートPC向けRadeon HD 7000M&6000Mシリーズ
- ノートPC向けATI Mobility Radeon HD 5000シリーズ
- Fusion APU A・E&Cシリーズ
●Catalyst 12.11 Betaにおける性能向上
※対象はGCNアーキテクチャ採用のRadeon HD 7000シリーズ。比較対象は「Catalyst 12.8」とされる
- 「Battlefield 3」で,多くの場合10〜15%(シングルプレイの「Comrades」では一部で20%以上に達するともされる)
- 「Metro 2033」で最大7%
- 「DiRT Showdown」で最大10%
- 「スリーピングドッグス 香港秘密警察」で最大8%
- 「Sid Meier's Civilization V」で最大12%
- 「StarCraft II: Wings of Liberty」で最大10%
- 「Sniper Elite V2」で最大8%
●Catalyst 12.11 Betaで解決した問題
- Radeon HD 7870で,GPUが負荷に応じた動作ステートにならず,性能が上がらない問題
- Radeon HD 7970M搭載を搭載し,「AMD Enduro Techology」が有効なノートPCにおいて,DirectX 11&10アプリケーションで性能が出ない問題(※Catalyst 12.11 Betaと比較したときの性能改善率は「アプリケーション名(改善率)」という形で下に示した。DirectX 9アプリケーションで性能が出ない問題へ対処したドライバはまもなく登場予定とされる)
・「3DMark Vantage(15%)」
・「3DMark 11(12%)」
・「Aliens vs Predator(11%)」
・「Battlefield 3(25%)」
・「Crysis 2(45%)」
・「DiRT Showdown(62%)」
・「Enemy Territory: Quake Wars(8%)」
・「Hard Reset(8%)」
・「Just Cause 2(90%)」
・「The Chronicles of Riddick(4%)」
・「Total War: Shogun 2(56%)」
・「Sniper Elite V2(60%)」
・「Tom Clancy's H.A.W.X.(56%)」
・「Heaven Benchmark(33%)」
・「Wolfenstein(9%)」
●Catalyst 12.10の新要素
・Windows 8正式対応(WDDM 1.2フルサポート)
※Catalyst 12.8から変更なし。ただし,最適化が進んでいる可能性はある
- Direct3D 11.1の新しいレンダリングパス「Target-Independent Rasterization」(TIR)に対応。Direct3Dアプリケーションでより高品質なアンチエイリアシングを適用可能に
- ネイティブ3D立体視対応
- 統合型ビデオAPI(Unified Video API)対応。DirectX 11 APIベースのビデオ再生が可能になり,ビデオとゲームコンテンツの同時利用ができるようになった。また,一部のアプリケーションでトランスコード性能が向上する可能性もある
- 画面の回転機能最適化
- スリープおよび復帰時の性能向上
- GPU消費電力の最適化
- Eyefinity,AMD Dual Graphics,CrossFireX,AMD OverDrive,UVD,Catalyst Control Center(VISION Engine Control Center)対応
- OpenCL&OpenGL対応
・AMD Enduro Technology正式対応
※Catalyst 12.9から変更なし。Catalyst 12.11 Betaにおける性能改善は適用されていない可能性が高い
- Catalyst Control CenterからEnduroのスイッチャブルグラフィックス設定が可能に(※EnduroはノートPCでのみ利用可能。詳細は9月13日掲載の解説記事を参照してほしい)
- Catalyst Control Centerのスイッチャブルグラフィックス設定やプロファイル設定を,Enduroのアップデートに合わせて最適化。「バッテリー駆動時はCPU統合型グラフィックス機能,ACアダプター駆動時は単体GPUをそれぞれ使う」といった設定が行えるようになった
●Catalyst 12.10で解決した問題(OS非依存)
※リリースノートに記載はないが,AMDから4Gamerへ寄せられたメールには「ハイライト」として書かれていた
- 3&4-way CrossFireX構成時にEyefinityを有効化していると,DirectX 10&11世代のアプリケーションで期待どおりの性能が得られない問題
- CrossFireX構成時に「Firefox」がおかしくなる問題(※Firefoxの何がおかしくなるのか言及はない。挙動か表示のどちらか,あるいは両方だと思われるが……。原文は「FireFox - corruption is no longer observed on CrossFire configurations」)
- AMD OverDriveからのオーバークロック設定が機能しない問題
- AMD Video ConverterがCatalyst 12.9 Betaで機能しなかった問題
- マルチGPU構成時にHDMIサウンド出力設定を変更しようとすると,Windowsのサウンド関連設定ウインドウがなかなか開かない問題
●Catalyst 12.10で解決した問題(Windows 8)
- 「Enemy Terrytory: Quake Wars」を高解像度で実行すると性能が低下する問題
- 「Wolfenstein」を高解像度で実行すると性能が低下する問題
- Eyefinityを無効化するとシステムがハングする問題(※「Eyefinityを一端有効にしてから」ということではないかと思われるが断言はできない。原文は「System hangs when disabling Eyefinity」)
- 「World of Warcraft」で,拡張パック「Mists of Pandaria」を導入し,アンチエイリアシングを(ドライバから)強制的に2x以上へ設定すると,画面表示がおかしくなる問題
●Catalyst 12.10で解決した問題(Windows 7)
- 「F1 2011」で,ゲーム側のグラフィックス設定を低くすると,ゲーム中,車体のテクスチャがちらつく問題
- 「DiRT Showdown」をDirectX 11モードで実行すると,ベンチマークモードで画面がちらつく問題
- CrossFireX構成時に「Battlefield: Bad Company 2」を実行するとテクスチャがちらつく問題
- CrossFireXとEyefinityを有効化していると,「Alan Wake」をDirectX 9モードで実行したときにゲームアプリケーションがフリーズする問題
- CrossFireXとEyefinityを有効化していると,「Portal 2」をDirectX 9モードで実行したときにゲームアプリケーションがフリーズする問題
●ノートPC向けCatalyst 12.11 Beta&Catalyst 12.10の制限事項
- 本バージョンのリリース後に発表されたノートPCは非対応
- Switchable Graphicsが有効なノートPCは非対応
- 東芝製ノートPC,ソニー製「VAIO」シリーズのノートPC,パナソニック製ノートPCは非対応(※従来同様,ドライバはPCメーカーから提供される)
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