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「AMD Software Adrenalin Edition 22.5.2」がリリース。Ryzen 6000シリーズで超解像技術「RSR」が利用可能に
本バージョンはWHQL(Windows Hardware Quality Labs,ウィクル)未通過の「Optional」(随意選択)版で,最新タイトルへの対応のほか,ノートPC向けAPU「Ryzen 6000」シリーズに関する新機能や,Smart Access Memoryに関する最適化などを盛り込んだドライバだ。
今回の目玉は,Ryzen 6000シリーズにおける「Radeon Super Resolution」(以下,RSR)への対応だろう。
RSRは,ゲームを問わず幅広いタイトル利用できるRadeonシリーズの超解像技術である。ゲーム側の解像度をディスプレイのネイティブ解像度未満に設定して,レンダリングを行い,その後GPUによるアップスケール処理を経てディスプレイの解像度で出力する仕組みだ。これにより,比較的低い処理能力でも,高解像度の画面出力ができるようになる。
RSRは,これまで単体GPUのRadeon RX 6000/5000シリーズでしか使えなかった。しかし,RSRを利用することで,性能がそれほど高くない統合GPUでもゲームが快適にプレイできる可能性が高まるので,AMDもRyzen 6000シリーズの発表時からRSRの対応を表明していた。それがAdrenalin 22.5.2でようやく実現したわけだ。
また,Adrenalin 22.5.2では,RSR有効時の鮮明度を調節する「Sharpen Effect」スライダーが加わっているこの機能は,Radeon RX 6000/5000でも利用可能で,RSR有効時のボケ感を容易に調節できる。
さらに,ノートPC向け新機能として「AMD Privacy View」が加わった。この機能は,視線追跡技術を手掛けるEyeware TechとAMDが共同で開発したものだ。インカメラを使って,ユーザーの視線が向く画面領域だけを鮮明に表示することでプライバシーを守るという。AMDがデモ動画を用意しているので,興味がある人はそれを参照してほしい。
なお,AMD Privacy Viewを使うには,Radeon Softwareの設定から「ディスプレイ」タブを開き「AMD Privacy View」の追加インストールが必要になる。ノートPC向けの機能ではあるが,カメラさえあればデスクトップPCでも利用できるので,試してみたい人はインストールしてみるといいだろう。
ゲーム関連では,5月26日発売予定の「Sniper Elite 5」と「Hitman 3」において,レイトレーシングベースのエフェクトに対応したという。どちらも性能向上は謳われていないので,AMDが動作を確認したという理解でいいだろう。
また,Radeon RX 6000シリーズにおいて,DirectX 11ベースのゲームに対する最適化を行ったそうだ。リリースノートによると,Radeon RX 6950 XTでDirectX 11ベースのゲームをプレイした場合,前バージョンと比べて性能が最大8%向上したという。
さらに「DEATH STRANDING」および「Watch Dogs Legion」に対して,Smart Access Memoryへの最適化が行われた。これにより,Radeon RX 6950 XT/6750 XT/6650 XTにおいて,両タイトルの描画性能が6〜24%向上するとのことである。
最後に,非常に地味でリリースノートにも書かれていないのだが,Windows 11において,Radeon Softwareの選択項目がデスクトップ上のコンテキストメニュー(以下,右クリックメニュー)直下に追加されるようになった。
Windows 11では,多数のアプリによって肥大化した従来の右クリックメニューを「その他のオプションを表示」に移すことで整理して,シンプルな構成へと変更した。そのため,Radeon Softwareの選択項目も,Windows 11では右クリックメニュー1発で表示されなくなったのだが,Adrenalin 22.5.2をインストールすると,表示されるようになったわけだ。
AMDはゲーマーに対してOptional版ドライバの導入を推奨しているので,対象のGPUやAPUを使っているのであれば導入してみるといいだろう。
→AMDのドライバダウンロードページ
https://www.amd.com/ja/support
→4Gamerの最新ドライバリンクページ
https://www.4gamer.net/games/999/G999902/FC20110422001/
英文のリリースノートから,新機能を含めたポイントをまとめておこう。
●Adrenalin 22.5.2の対応GPU
- Radeon RX 6000シリーズ
- Radeon RX 5000シリーズ
- Radeon VII
- Radeon RX Vegaシリーズ
- Radeon RX 600・500・400シリーズ
- Radeon Pro Duo
- Radeon RX 6000Mシリーズ
- Radeon RX 5000Mシリーズ
- Radeon 600シリーズ(OEM向け)
●Adrenalin 22.5.2の対応APU
- Ryzen 6000シリーズ
- Ryzen 5000Gシリーズ,Ryzen PRO 5000シリーズ
- Ryzen 4000Gシリーズ,Ryzen PRO 4000シリーズ
- Ryzen 3000シリーズ,Ryzen PRO 3000シリーズ
- Ryzen 2000シリーズ,Ryzen PRO 2000シリーズ
- Athlon PRO 200GEシリーズ
- Ryzen Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Athlon Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Ryzen PRO Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Athlon PRO Mobile Processors with Radeon Vega Graphics
- Radeon 600シリーズ(Ryzen 6000 APU)
●Adrenalin 22.5.2が統合するコンポーネント(※比較対象はAdrenalin 22.5.1)
- Display Driver Version:22.10.17.01
- 22 05 17 a - 37 94 87E - AMD - So ft wa re - Ad re na li n - Edi ti on ( ← 21 . 50 . 21 . 11 - 22 04 28a - 37 92 19C - AMD - Soft wa re - Ad re na lin - Edi ti on) - Radeon Settings:2022.0517.0143.1929
( ← 20 22 . 04 28 . 03 41 . 66 45) - 2D Driver:8.1.1.1634
- Direct3D:9.14.10.01521(←9.14.10.01520)
- OpenGL:29.20.11000.14800
- OpenCL:10.0.3417.0(←10.0.3380.6)
- AMD Windows Driver:30.0.21017.1000
( ← 30 . 0 . 15 0 21 . 11 00 5) - Audio Driver:10.0.1.23
- Vulkan Driver:2.0.226(←2.0.220)
- Vulkan API:1.3.212(←1.3.206)
●Adrenalin 22.5.2おける最適化
- Radeon RX 6000シリーズで,DirectX 11タイトルの性能を最適化
- 「Watch Dogs Legion」と「Death Stranding」において「Smart Access Memory」への最適化を実施
●Adrenalin 22.5.2における新要素
- 「Sniper Elite 5」と「Hitman 3」のレイトレーシングアップデートに対応
- Ryzen 6000シリーズでRSRをサポート
- AMD Privacy Viewに対応
- 3種類のVulkan拡張に対応。詳細は関連リンクを参照してほしい
●Adrenalin 22.5.2で解決した問題
- 記載なし
●Adrenalin 22.5.2における既知の問題
- Radeon RX 6900 XTなど一部のAMD製グラフィックス製品で,DirectX 11モードとマルチスレッドレンダリングを有効化した状態でFortniteをプレイすると,性能が低下することがある
- Radeon RX 6900 XTなど一部のAMDグラフィックス製品で,Call of Duty: Warzoneの「Caldera」マップをプレイすると,画面のカクつき(スタッター)が生じることがある
- Radeon RX 6900 XTなど一部のAMDグラフィックス製品で,「Instant Replay」を有効化するとCPU使用率が高くなることがある
- Radeon(※RX?) 570などのAMD製グラフィックス製品で,ゲーム終了後に「Performance Metric Overlay」のGPU使用率が100%に固定されてしまうことがある
- Radeon RX 6700 XTなどのAMD製グラフィックス製品で,動画再生とゲームをTabキーで切り替えると,ディスプレイが点滅することがある
- 解像度2560×1600ドットのディスプレイで,RSRを有効化すると,システムがハングアップすることがある。ディスプレイスケーリングモードを「フル」に設定することで,この問題を一時的に回避できる
- 一部のゲームやPCで「Enhanced Sync」を有効にすると,画面が黒くなることがある。Enhanced Syncを無効にすれば,この問題を一時的に回避できる
- Radeon Softwareの「Performance Metric」やログ機能が,異常に高いメモリクロックを断続的に報告することがある
- 関連タイトル:
AMD Software
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