レビュー
新型光学センサー搭載&ブラック塗装で生まれ変わった「G3 Optical Mouse」
Logicool MX518 Performance Optical Mouse
» 一言では説明しづらい経緯で発売となった,Logitechの新製品をfumio氏が評価する。製品の位置付けは“一般ユーザー向けとなる高機能マウス”であるものの,その正体は紛れもないゲーマー向け仕様。4000円前後という価格も魅力だが,果たしてその実力は?
再販ということもあって,G3 Optical Mouseからの変更点はほとんどない。そのため,旧G3 Optical Mouseや,それこそ(並行輸入で流通していた)MX518を持っている人には今さら感があるかもしれないが,あらためて,一通り触ってみた印象を語っていきたい。
デザイン面の違いは本体カラーとソール形状のみ
大型ながら「かぶせ/つまみ持ち」どちらにも対応
ソール形状は,「G5 Laser Mouse」(以下,G5)と同じになった。使い心地を考えてというより,G5と共通仕様にすることでコストを引き下げた結果ではないかと思われるが,いずれにせよ旧MX518とはソールの形状が完全に異なっている。交換用ソールを購入するときは注意が必要だろう。
果たして深めに握ってみると,マウスの尻が手のひらにがっしりと当たり,さらに右サイド奥の出っ張りが指に引っかかるおかげで持ち上げやすく,全体的なフィット感もいい。この形状はいわばLogitech伝統のものなので,何かに喩えるのは気が引けるが,あえて述べるならこのフィット感は「Microsoft SideWinder Mouse」(以下,SideWinder)に近い。
とはいえ,マウスを両サイドからつまむ指の曲げ具合では尻と干渉する場合もあり,このあたりは“どうつまむか”次第で印象は変わり得る。浅めの位置でホールドする分にはぶつからないので,「つまみ持ち」派は自身の持ち方と相談してほしい。
サイドボタンは,本体の頂上部に近いところへ配置されている |
これまたLogitech伝統だが,ケーブルは硬い |
一方,スクロールホイールボタンの挙動については,ノッチの緩さに若干の不安が残る。チルトホイールではないので,左右にブレたりはさすがにしないが,最新世代のゲーマー向けマウスと比べると,あまりしっかりした作りではないように感じられた。
なお,スクロールホイールを挟むように用意されるトラッキング解像度変更ボタンとアプリケーションボタンを,ゲーム中,とっさに押すのは難しい。「かぶせ持ち」時には最奥の1ボタン,「つまみ持ち」なら手前の2ボタンが,かろうじて押せなくもない,といったところだ。
細かい点ではケーブルの硬さが気になった。ケーブルが堅いとマウスを動かすときにテンションがかかって違和感の元となるので,気になるようであればケーブルアンカー(ケーブルホルダー)を用意したりするなど,取り回しに工夫する必要があろう。
センサーは最高1800dpiの新型に置き換え
光学式とはいえ,性能には若干の疑問も
今回のテスト環境は表のとおり。純粋にハードウェアの評価を行いたいこと,ドライバの完成度によって,正常に動作しなかったり,ポインタの挙動がおかしくなったりする場合があること,そして自宅以外の環境でプレイするときに,(レギュレーションなどで)ドライバソフトウェアをインストールできない可能性があることを考慮し,基本的にテストはOS標準ドライバで行う。必要に応じてドライバソフトをインストールしたテストも行うが,この点はあらかじめお断りしておきたい。
さて,光学センサーとレーザーセンサーを比較した場合,安価な製品を除くと,一般的に追従性では前者が,トラッキング解像度では後者がより優れる,というのが常識だった。だが,今回入手したMX518のセンサー性能を,先に示したテスト環境で検証したところ,意外な事実が浮かんできた。とにもかくにも,下に示したテスト結果を見てほしい。
●ネガティブアクセルの程度
- DHARMA TACTICAL PAD[HARD TYPE](DRTCPW40H):わずか
- Icemat Purple 2nd Edition:わずか
- Razer Destructor:わずか
- Razer eXactMat Control:わずか
- Razer eXactMat Speed:わずか
- Razer Mantis Speed:顕著
- SteelSeries 4D:わずか
- SteelSeries QcK mass:顕著
SetPointをインストールして,「ポインタ速度」を中央,「ポインタの精度を高める」「加速」をオフ,「速度および加速」を「SetPointで実行」,「マウスの加速を維持する」「マウスの速度を維持する」はオン/オフ両方で,さらに解像度も400/800/1800dpiのすべてでチェックしてみたが,結果として大きな違いはなかった。
ちなみに,筆者がネガティブアクセルの有無を確認するときは,
- ゲーム(※筆者の場合は「Warsow」「Quake III」など)を起動し,アイテムや壁の端など目印となる点に照準を合わせる
- マウスパッドの左端にマウスを置く
- 右方向へ30cmほど,可能な限り(※マウス本体が浮いたり飛ばないように)全力でマウスを振る
- 2.の位置に戻るようなるべくゆっくりマウスを動かす
というテストを行い,これで照準が1.の位置に戻れば正常,左にズレたらネガティブアクセルあり,右にずれたら加速ありと判断している。
参考までに,最高解像度1600dpiの「Razer Pro|Solutions Pro v1.6」(※「Razer Diamondback Plasma」同等品)で同じテストを試みたところ,こちらではOS標準ドライバだとネガティブアクセルが生じ,ドライバソフトをインストールすると出なかった。MX518に関しては,ドライバではなく,センサーの問題である可能性が高そうだ。
なお,旧MX518などとも挙動の違いを比較してみたかったが,今回はスケジュールの都合で行えなかった。この点はご容赦を。
もっとも,ネガティブアクセルの程度は「DHARMA TACTICAL MOUSE」(DRTCM01)やSideWinderといったレーザーセンサー搭載マウスと比べて小さい。ポインタがワープするような,極端なトラブルが生じたりはしないので,マウスパッドを選べば,ゲームプレイに大きな影響は出ない。また,大きく,かつ素早くマウスを動かすようなプレイスタイルでなければ,まったく問題が生じない場合も十分にあり得るだろう。
筆者が検証した限りでは,布製のマウスパッドと組み合わせたときにネガティブアクセルが大きく出やすかったので,気になる場合は,樹脂など,硬質系素材のマウスパッドと組み合わせるのが望ましい。
※2008年8月10日追記:テスト環境に関して,一部,説明不足だった部分を補足しました。また,ネガティブアクセルに関する検証結果を踏まえ,検証方法と併せて本文を追記しています。
マウスを持ち上げたときにセンサーが反応しなくなる距離を示すリフトオフディスタンスは,優秀の一言。マウスパッドとマウスの間に一円玉を挟んで計測したところ,Icemat Purple 2nd Editionでは2枚,それ以外ではおよそ3枚でまったく反応しなくなった。同じテストを行ったところ,Razer Pro|Solutions Pro v1.6は反応していたので,MX518のリフトオフディスタンスはかなり短いといっていいだろう。
持ち方を問わず安定して操作でき,狙いをつけやすい
価格を考えても,強くオススメできる逸品
ホイールが意図したとおりに動いてくれない事態がテスト中に何度か生じたり,環境によってはネガティブアクセルが生じたりと,問題点は確実に存在するが,4000円弱という実勢価格を前にすれば,大して気にならないのも確か。現在人気を集めている多くのゲーマー向けマウスと比べて2〜4割くらい安価であることを考えるに,MX518は,PCゲーマーへ広くオススメできる製品である。
発売元 | : | ロジクール |
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開発元 | : | Logitech |
発売日 | : | 2008年8月8日 |
価格 | : | オープン,メーカー直販価格3980円(税込) |
- 関連タイトル:
Logitech G/Logicool G
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