プレイレポート
生産システムやイベントが充実したMMORPG,「Wonderland ONLINE」のCBTプレイレポートを掲載
突然の大事故から始まるプレイヤーの運命やいかに?
シナリオ重視のMMORPG「Wonderland ONLINE」
本タイトルは国産のコンシューマRPGを思わせるストーリー性と,さまざまな美少女が登場するイベントシーン,さらには緑川光さんや稲田徹さん,冬馬由美さんを初めとする有名声優陣が担当するキャラクターボイス(関連記事は「こちら」や「こちら」)などで,βテスト開始前から注目を集めていたタイトルだ。
筆者個人としては,「飄流幻境ONLINE」として台北ゲームショウ2006(関連記事は「こちら」)で出会って以来,約1年半ぶりの再会となる。当時から密かに注目していた作品なので,ようやく日本に来てくれたか……と妙に感慨深いタイトルでもある。11月20日からスタートするオープンβテストを経て,11月23日に正式サービスが開始される予定の同作だが,まずはクローズドβテストのプレイレポートをお届けしよう。
「こちら」の記事でも簡単なゲーム概要を説明しているが,Wonderland ONLINEのストーリーは,プレイヤーが乗船していた豪華客船「海洋の星」号が,原因不明の事故で難破するところからスタートする。
命からがら孤島に流れ着いたプレイヤーは,助けを求めるべく近隣の島へ渡るが,やがてそこが,自分の住んでいた世界とはまったく異なる世界であることを知る。そして元の世界へ戻る方法を探しながらも,村の占い師に告げられた「大変な運命」に巻き込まれていくのであった……。というのが,本作の冒頭部分のストーリーだ。豪華客船が大破という時点で,すでにかなり「大変な運命」だと思うのだが,そのあと,さらにとんでもないことが起きてしまうというのだから気の毒だ。
本作はストーリー性が重視されたMMORPGだけあり,プレイヤーキャラクターも個性派ぞろい。クローズドβテストで選べる6人のプレイヤーキャラクターには,それぞれ細かいバックグラウンドや性格などの設定が施されている。このあたりは,ネクソンジャパンが運営する「テイルズウィーバー」を思い浮かべてもらえば分かりやすいかもしれない。
ただし,キャラクターごとに異なるシナリオ展開や専用クエストを設定しているテイルズウィーバーに比べると,Wonderland ONLINEでは,キャラクターごとに口調が変わる程度で,ストーリー展開には変化がないのだ。
とはいえこれは,1週間程度のCBTでの話。台湾ではすでに第2弾,第3弾のエキスパンションが公開されているということなので,もしかしたら今後は,キャラクター別のイベントシーンなどが見られるのかもしれない。
個性あふれるプレイヤーキャラクターたち
バネッサ |
ダニエル |
ベティ |
シド |
イリス |
ロコ |
先述したとおり,プレイヤーは最初に6人のキャラクターから一人を選択する。ボクサーだったりサーカス育ちだったりといった背景設定や,動物と会話ができるといった特殊能力が,今後シナリオにどう反映されていくのか期待したいところだが,とりあえずは見た目で選んでも問題はない。いずれも美男美女のうえ,性格も明るいよい子ばかりなので,個人的には,一人ぐらいちょっと影のあるキャラクターが欲しいところか……。
それはさておき,各キャラクターは5つのステータス(力/体力/知力/知恵/敏捷)のうち二つにボーナスポイントが割り振られており,さらに5ポイントをプレイヤーが任意に割り振ることが可能だ。例えば最初から知力+3のバネッサの場合,これを生かして魔法系のキャラクターにしてもよいが,ポイントを力や体力に割り振れば,最初からスキルを多用できる前衛職として育成できる。選んだキャラクターによってプレイスタイルが縛られないのは嬉しいところだ。
さらに,キャラメイク時に土/水/火/風の4属性から一つを選ぶのだが,属性によって使用可能なスキルや戦闘スタイルが大きく変化するので,ここは慎重に選ぶことをおすすめする。友達と一緒に遊ぶなら支援に優れる水属性,ソロプレイ重視なら攻撃力の高い火属性や,防御スキルのある土属性あたりがよいだろう。
このほか,髪や目,服(というか下着)のカラーを調整すればカスタマイズは終了だ。
難解すぎないクエストと
戦闘を通じて成長するキャラクター
クラン村の占い師。彼女からは,HP/SPを回復するための「テント」と,受けたクエストが一覧チェックできる「ノート」がもらえる |
クエスト内容としては,お使いやクイズといった簡単なものから,ストーリー展開に関わるメインクエストまで,さまざまな種類がある。同時に複数のクエストを進行できるので,とりあえず片っ端から引き受けてしまっても問題ない。クエストを進めていけば,プレイヤーの仲間として共に戦ってくれる,頼もしいNPC達と出会うこともある。
とくに重要なクエストでは,NPCに話しかけると会話がどんどん進み,場合によってはその場で戦闘シーンに突入することも。重要な場所には,いかにも怪しいNPCがフィールドに立っていたり,キーとなるアイテムや場所へ視点が自動的にズームしたりするなど,Wonderland ONLINEのクエストは非常に分かりやすくできている。
必要レベルにさえ達していれば,ソロでもらくらくクリアできてしまう難度や,前提クエストを遂行していないと展開しない物語など,一本道のシナリオは,自由度を求めるプレイヤーには物足りない面もあるかもしれない。しかし,ストーリーそのものを追いかけたいタイプのプレイヤーにとっては,難しすぎる謎かけやあいまいなヒント,物語を進めるためのハードなレベリングなどに翻弄されることもなく,気楽に楽しめるはずだ。
さらに,プレイヤーの密かな楽しみとして,特別なイベントシーンが見られるチャンスもある。一度しか発生しないものや,仲間になったNPCとの親密度が高くなければ見られないものなどもあり,イベント探しそのものが楽しめる仕組みだ。
例えば,あるダンジョンを抜けた頂上にある温泉につかると見られる入浴シーンでは,プレイヤーキャラクター自身の姿が見られる。もしあなたが一般的な男性で,男性キャラクターを選んでプレイしている場合は,いろんなことをそこで諦めてほしい。
なお,一度見たイベントシーンをあとからまとめて閲覧する機能などは実装されていないので,スクリーンショットの撮り忘れにはお気をつけを(筆者もである)。
さて,クエスト遂行でも経験値はもらえるが,基本的にキャラクターは,モンスターとの戦闘を通じて得られる経験値によって成長していく。戦闘はエンカウント制で,フィールド上を歩いているモンスターのシンボルに接触すると戦闘開始。公式サイトによれば「危険な地域では接触しなくても戦闘が発生する」となっているが,筆者個人の体感としては,プレイヤーより高レベルのモンスターが出現する地域では,遭遇率が高く,逆に低レベルのモンスターばかりのフィールドダンジョンでは,シンボルと接触してもほとんど戦闘が発生しなかった。歩くたびに弱いモンスターに絡まれるストレスを感じさせないようなバランス調整がなされているのかもしれない。
戦闘が始まったら,20秒以内にプレイヤーおよび仲間NPCの行動を,サークルコマンドから選択する。行動は敏捷性の高い順に決まるタイプのターン制なのだが,ここで重要になるのが,キャラクター作成時に選んだ属性である。
Wonderland ONLINEでは,属性によるダメージ補正がかなり大きいため,攻撃順と属性の関係をよく考えて行動する必要がある。このあたりは,コンシューマ機用のRPGに慣れている人ならば,比較的スムースにプレイできるだろう。
また,仲間として連れているNPCが行動不能に陥った場合,経験値だけでなくプレイヤーとの親密度が下がるペナルティがある点にも注意したい。NPCは,親密度が下がり過ぎるとプレイヤーの元を去ってしまうのだ。死亡するとHPが1の状態で復活するので,とりあえずその場をどうしても突破したい! という状況ならば,仲間を「休憩」状態にして戦闘に参加させず,プレイヤーだけが回復アイテムを大量に使いつつ走り抜けるという手段がおすすめだ。
いくつかの戦闘を重ねて経験値がたまるとレベルが上がり,ボーナスポイントが得られる。これを任意のステータスに割り振り,キャラクターを強化していく。
前衛タイプの場合,力や体力を集中して伸ばしがちだが,Wonderland ONLINEのキャラクター育成には,どちらかというとバランスのよい育て方が有益なようだ。というのも,本作のステータス値はスキルの習得条件とも関連している。どの属性を選んでも,スキルは必ず「物理(物理攻撃)」「魔法(魔法攻撃)」「補助(バフ/デバフ)」「生活」の4系統に分かれており,戦闘に直接関係しているのは生活をのぞく三つのスキルだ。
スキルの成長はポイント制度ではなく,使えば使うほどスキル経験値がたまり威力が上がるシステムなのだが,次の新しいスキルを覚えるためにはキャラクターレベル,スキルレベルなどの前提条件に加えて,一定以上のステータス値が要求される。魔法攻撃といえども知力や知恵だけでなく,中には敏捷性や体力が求められるものもあるため,事前に伸ばしたいスキル系統をじっくり考え,それに合わせたステータス調整が必要となる。
見た目が同じキャラクターを選んでも,属性,ステータス,強化したスキル系統によって,使い勝手が大きく異なるキャラクターが育成できるというわけだ。
左がアイテムとキャラクター情報,右がスキルツリー。スキルアイコンにカーソルを合わせると,習得に必要なステータス値が表示される。すべての系統を満遍なく習得するのは,ちょっと難しそうだ |
使うほどに熟練度が上がり,スキルレベルがアップ。やたらと派手なスキルエフェクトも本作の楽しみの一つなので,新しいスキルを覚えるのが楽しくなる |
作成可能なアイテム総数はいくつ……?
奥深すぎる生産システム
壁紙を貼りかえて窓をつけると,殺風景だったテント内がだいぶ明るくなる。材料さえそろえば床板も張り替えられるので,戦闘よりも素材集めに熱中してしまう |
生産活動のほとんどは,ゲーム序盤にもらえる「テント」内部で行える。入手したばかりのテントに入ると,中には簡素な「作業台」と,ゴミ箱らしき物がぽつーんと置いてあるだけ。作業台をクリックすると生産可能なアイテムと必要な素材が表示されるが,最初のうちはほとんど何も作れない。
まずはビーチで手に入れたヤシの実から「ヤシのボール」を作ると,このヤシのボールを使って「低温窯」が作成可能になる。低温窯からは「加熱炉」や「かまど」といった器具が作れるようになり,こうしたことを繰り返すことで序々に生産品のバリエーションが広がっていくのだ。
気球やカヌーといった乗り物だけは「設計図」がないと作成できない。設計図はダンジョン内部の宝箱やクエストを通じて入手する。燃料が必要な乗り物もあるが,燃料もまた自給自足だ |
台北ゲームショウで話を聞いた際には「島で生き抜くためのサバイバル術として生産システムが用意されている」という説明であったが,Wonderland ONLINEの生産システムは実に奥が深く,そこで生産可能なアイテムは,米TVドラマ「LOST」も真っ青の豊富さと複雑さだ。
また,生産には「レトロな浴槽」「ハンモック」「壁紙」など,テント内部に設置できる家具,装飾品なども用意されている。お風呂にはHP/SPの回復率アップ,ハンモックには連れ歩かない仲間のNPCを寝かせておけるなど,一つ一つにそれらしい効果が設定されており,面白い。テント内にはほかのプレイヤーも出入り可能なので,その効果うんぬんよりも人に見られても恥ずかしくない「オシャレな部屋作り」に熱中してしまうプレイヤーも,かなり多かったようだ。
「芝生」を作ればモンスターからのドロップ品である種を植えてガーデニングも楽しめるなど,「ウルティマ オンライン」におけるハウジングの自由度にはさすがにかなわないものの,やれることはそれなりに多い。クエスト攻略や戦いに飽きたとき,テント内で一人あれこれと家具を作るのも楽しいだろう。
生産に熱中し始めると,やがてノースアイランドだけでは入手できない素材が必要になってくる。このアイテムを作りたい! という欲求が,次のエリアへ突き進むモチベーションとなり,プレイヤーはいつの間にかWonderland ONLINEの世界に引き込まれていくのではないだろうか。
生産関連ではもう一つ,場所も道具も問わない「合成」というシステムが用意されている。これは所持しているアイテムを複数個かけ合わせ,新しいアイテムを作り出すものだ。
キウイとリンゴでスイカジュースが作れたり,ねぎ+しらす+小石でしいたけが作れたりするのはちょっと疑問だが,同じアイテムを合成しても違う結果が得られることがあり,何ができるか分からないワクワク感が味わえるだろう。
また,サブクエストの一つを通じて「錬金術」という生活スキルを覚えると,より高価なアイテムを合成できるようになる。プレイヤーにとっては,実に研究しがいのある要素といえよう。
高度なアイテムを生産しようとすると,当然それにかかる労力も大きくなる。アイテムによっては,加工品一つに20分近く待たされることもあるので,このあたりのバランス調整には期待したいところ |
何ができるか分からない,くじ引き感覚で楽しめる「合成システム」。楽しいけれど,しいたけ+水茸で「黒タピオカ」ができたりすると,やはりどうにも納得いかないなぁ…… |
使い方次第ではこの上なく便利な自動操縦システム
リモコンは,簡単に言えば自動戦闘を可能にするアイテムなのだが,設定できる項目がやたらと細かい。その場を歩き回って敵との遭遇率をあげる「自動巡回」,HPが一定値を下回ったらアイテムで回復する「戦闘終了後自動回復」,使用スキルの優先順位を決める「スキル指定」,ターンごとに使うスキルを変えられる「設定レベル」などが調整できる。さらに壊れた装備品を自動的にはずしたり,不要なドロップ品を拾わない設定などが出来たりと,かゆいところに手が届きすぎるほどだ。
一方の掃除機は,これを装備した状態でダンジョンやフィールド上にある資源採掘場をクリックすると,3分ごとに1個のアイテムを自動的に採集してくれるもの。大量の粘土や鉱石が欲しいときなどに,かなり有用な機能だ。
掃除機はまだしも,リモコンは「まるでBOTのようだ」と好まないプレイヤーもいるだろう。しかしWonderland ONLINEは前述の通りエンカウント方式の戦闘のため,リモコン使用中のプレイヤーによって特定マップのモンスターが狩りつくされたり,妨害を受けるという心配はない。ちょっと離席する場合などに活用できる便利アイテムと考えればいいだろう。
まだまだ先の読めないストーリー
今後の展開に大期待
新しい家具やそのための素材を,ほかのプレイヤーから購入すれば話は早いが,プレイを続けていれば,いつか自分でも必ず作れるようになる。だから冒険を急ぐ必要もない。NPCとの会話や展開などをゆっくり味わいながらプレイしたい人には,ぜひともおすすめしたいタイトルだ。
ちなみに,台湾での対象ユーザー層は13歳〜18歳とやや低めだが,実際にプレイしてみると,20〜30台の大人でも十分楽しめるだけの内容が備わっていると感じた。
1点だけ気になるのは,キャラクターの成長バランスに関してだ。今回のクローズドβテストでは,有料アイテムの購入に必要なGSコインが惜しげもなく配布されたため,さまざまなアイテムを気軽に試用できたが,有料アイテムなしの育成はやや辛いとも感じられた。有料アイテムはあれば便利だが,なくても時間と労力を割けばなんとかなる,というバランスが理想的だろう。そのあたりは,オープンβテストを通じて微調整されるのかもしれない。
個人的にはレイチェルのその後,不思議少女ニースの正体,これから仲間になるかもしれない新規NPCの登場なども気になるところ。彼女達のウフフなイベントシーンを見たいという不純(?)な動機のプレイヤーも,オープンβテストの開始と今後の展開にぜひとも期待してほしい。
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