プレイレポート
非常に遊びやすい“可愛い系”MMORPG,「ブライトシャドウ」のプレイレポートを掲載
ガマニアにとって初となる
“自社開発”のMMORPG
ガマニアといえば,今ではオンラインゲームの老舗パブリッシャの一つである。そのガマニアが初めて,台湾本社で自社開発を行っているのが,このブライトシャドウなのだ。本作は,開発当初から日本での展開が想定されており,台湾でのリリースからさほど間を空けず,日本サービスが決定した経緯がある。
はたして,長年の運営ノウハウをもとにガマニアが作り出すオンラインゲームとは,どのようなものなのだろうか。さっそく,その実力をチェックしていこう。
本作は,クリックタイプMMORPGの“王道”を目指して作られたタイトルのように思える。斬新なシステムはあえて導入せず,全体的なハードルを引き下げ,万人に受け入れられやすいゲームとして作られているような印象を受けた。
ゲーム中の操作は,マウスクリックで移動と攻撃を行い,ファンクションキーに割り当てたスキルを繰り出しながら戦うという定番スタイルだ。ちなみにW/A/S/Dキーやカーソルキーでの移動には対応していない。
キャラクターのパラメータに関しては,一般的なヒットポイント(HP)やマジックポイント(MP)のほかに,“スピリチュアルポイント”(SP)があるのが特徴的だ。
SPの用途は,大別すると二つ。一つは,新たなスキルの習得や,習得済みスキルをランクアップさせるときに消費するという用途。そしてもう一つは,スキルを発動させるとき,MPとともに消費するという用途だ。
一見すると,MPとSPは似ているように思えるが,回復/蓄積ルールが異なっている。MPは,非戦闘時に自動的に回復していくが,SPは回復しない。その代わりモンスターを倒すと,敵の強さに応じたSP(スピリチュアル=霊気)を吸収する,という仕組みだ。
このシステムがゲームプレイに及ぼす影響としては,強力なスキルを格下のモンスター相手に連発していると,じきにSPが底をついてしまうということが挙げられる。よって,スキルを使い続ける(あるいはスキルを強化する)ためには,自然と自分の実力に見合ったモンスターと戦わなければならなくなるわけだ。これはMMORPGでありがちな,ハイレベルキャラクターによる低レベルモンスターの乱獲を,抑制する効果がありそうだ。
キャラクターがレベルアップすると,ステータスポイントとスキルポイントが得られる。ステータスポイントを,STR/CON/AGI/DEX/INT/WISという六つのステータスに割り振っていくことで,キャラクターの各能力を強化していくのだ。
ちなみに,本作ではステータスが一定値に達すると,キャラクターの“潜在能力”が覚醒する。潜在能力の効果は,例えば“物理防御力アップ”や“MP最大値アップ”といったもので,それによってさらなるパワーアップが見込めるというわけだ。
ただし,潜在能力を覚醒させるためのステータス条件や,どういった能力を得られるのかは,事前には分からないようになっている。また,現時点ではステータスポイントの再割り振りが行えないため,実際にポイントを割り振るときは不安半分,期待半分といった心境である。これはなかなか面白い。
なお,スキルポイントを消費して覚えるタイプのスキルは,任意で発動させる“アクティブ系”のものが大半を占めている。潜在能力は,それに対する“パッシブ系”スキルという見方もできるだろう。
また本作には,モンスターを倒すと時折“カード”が得られる,という要素も盛り込まれている。カードにはモンスターの情報が封印されており,それを集めてNPCに渡すと,特別な武具などとトレードできるのだ。加えて,獲得したカードは自分の“封魔全書”に記録され,いつでもその情報を参照できる。モンスターの弱点や戦術の追求はもちろん,コレクション目的でも楽しめる要素である。
レベル10になれば転職が可能に
レベルが10になると,4種類の中から職業を選ぶことになる。このNPCは,最初の拠点エリアを出てすぐの場所にいる |
序盤から中盤にかけてのクエスト内容は,指定されたモンスターのドロップ品を届けたり,ちょっとしたお使いをしたりといったシンプルなものが多い。クエストで得られる経験値が多いので,クエストを積極的にクリアしていけば,キャラクターのレベルはサクサクと上がっていく。
作成直後のキャラクタークラスは一律“ビギナー”だが,レベルが10になると,クエストを通じてファイター/シューター/魔術士/霊術師のいずれかのクラスに転職できる。またレベルが30になると,さらに上位クラスへの転職も可能になる。ここでは,ビギナーおよび1次転職クラスの特徴を,簡単に紹介していこう。
●ビギナー
キャラクターを作成した直後のクラス。レベル10になって転職するまでは,誰もがこのクラスだが,実はこのビギナーの段階でも,重要なスキルを幾つも習得できる。中でも,敵単体にダメージを与える“スマッシュ”,自分自身のHPを回復する“体力変換”,防御力が大幅にアップする“ゴーレム変身”は,しっかり使いこなせるようにしておこう。
●ファイター
レベル10で選択できる中では唯一の,近接攻撃タイプのクラス。常に敵と隣接して戦うため,攻撃を受ける頻度がほかのクラスよりも高いが,防御力に秀でているのでそう簡単にはやられない。ゆくゆくは,モンスターの攻撃を引き付ける“挑発”スキルを習得できるため,高い防御力を存分に生かせるようになる。パーティプレイ時に一人いると,安心できるクラスだ。
ファイターの習得するスキルには,複数の敵にダメージを与える“スラッシュ”,単体の敵にダメージを与える“パワーアタック”,一定時間防御力はダウンするが,攻撃力がアップする“突撃の構え”などといったものがある。
●シューター
遠距離攻撃に特化したアタッカー。科学の要素も取り込んでいる本作では,いずれは弓だけでなく銃器類も扱えるようになる。これらを利用して遠距離から攻撃できるのが強みだが,発射時に矢/弾を消費してしまうので,弾切れには注意したい。
また,モンスターからのドロップ品を利用して,武具を製造できるというのも,シューターの特徴の一つ。シューター用のみならず,ほかのクラス用の武具も製造できるため,いわゆるクラフトが好きなプレイヤーにとっても,オススメのクラスである。
シューターの習得するスキルには,矢弾を消費せずに強烈な矢を放つ“マジカルアロー”“アローレイン”や,各クラス用の武具を作り出す“製造”などがある。
●魔術士
単体,あるいは複数のモンスターを対象とする攻撃魔法に特化したクラス。攻撃系以外のスキルはほとんど習得できず,かなり打たれ弱い。しかし,モンスターと距離を置いて戦えれば,その戦闘力は全クラス中でもトップクラスだ。魔法の射程距離ギリギリから攻撃を仕掛ければ,敵が近づいてくる前に倒すことも可能。そのため,挑発を使えるファイターとコンビを組むと,お互いの長所を存分に引き出せるだろう。
魔術士の習得するスキルには,敵にダメージを与える“ファイア”,狙った地点を中心とする範囲内にいる敵にダメージを与える“フレイム”,敵に継続的にダメージを与える“ポイズン”などがある。
●霊術師
霊術師というと若干想像がつきにくいが,英語名では“Cleric”と表記されているので,ヒーラー的な活躍が期待できるクラスだということが分かるだろう。回復魔法のほか,攻撃的なスキルや,一時的にモンスターの姿に変身するスキルなども習得できる。今回紹介するクラスの中では,バランスタイプのポジションといっていいだろう。パーティープレイ時には,回復役を軸として,臨機応変に動き方を変えていくといいかもしれない。
霊術師の習得するスキルには,対象者のHPを大幅に回復する“ヒール”,敵にダメージを与える“エアスラッシュ”,戦闘不能になった仲間を復活させる“復活術”などがある。
上位ランクのスキルは,効果は強力だが消費するSP量が多い。モンスターのHP残量が少ないときは,下位ランクのスキルを使うとSPを節約できる |
全体的に,スキルの攻撃力がかなり高めにデザインされている。ビギナーの頃から,スキルを使いこなした戦闘に慣れておこう |
これはゴーレム変身を行ったところだが,モンスターからのダメージを1しか受けていない。逃げるときに重宝するだろう |
こちらはファイターのキャラクター。ほかのクラスに比べて攻撃を受ける機会が多く,これをどうやって補うかがポイントとなる |
魔術士は,遠距離から強烈な魔法を叩き込める。MPとSPのマネージメントさえ気をつければ,とても扱いやすいクラスだ |
インスタンス形式の“塔”を攻略しよう
これが封霊の塔の外観だが,北側と南側とで雰囲気が大きく違う。本作のストーリーは,この塔を軸に展開していくのだろうか? |
封霊の塔とは,簡単に言うとインスタンスダンジョンのロビーエリアである。一人あるいはパーティを編成して塔の受付NPCに話しかけると,実力に応じたインスタンスエリアが選べる。そしてインスタンスエリアで冒険を行い,目的を達成できれば,報酬が得られるというわけだ。
インスタンスエリアでの主な目的は,マップ内のモンスターを殲滅するというシンプルなもの。しかしエリア内部の地形は,細い通路や小部屋で仕切られており,スイッチ式の扉や,特定のモンスターを倒さないと開かない扉などのギミックもある。また,制限時間が1時間に定められているので,なかなか挑戦しがいのあるコンテンツだ。
本作では,モンスター同士がリンクする(モンスターを攻撃すると,近くのモンスターが反応して襲いかかってくる)ことがあるため,狭い場所で複数のモンスターと戦うことの多いこのプライベートダンジョンは,どちらかというとパーティで挑戦したほうがよさそうだ。実際,封霊の塔エリアは,テスト中もっとも賑わっていたエリアである。
封霊の塔の場所は,転職クエストを行う前後に訪れる拠点“セントメテオ”と“フォレスタル”の,ちょうど中間にある。周囲に出現するモンスターの強さから見て,大体レベル17〜20のキャラクターであれば,一人で挑戦することも可能だろう。
ちなみにこの封霊の塔だが,今後,より重要な意味を担うようになるかもしれない。というのも,塔の色が白と黒で“ブライトシャドウ”のタイトル名(=光と影)と一致しており,さらにログイン画面の背景には,この塔が描かれているのである。このあたりについても,今後注目しておくといいだろう。
キャラクターの良さをどう生かすかが今後の焦点
本作のアピールポイントは,なんといってもキャラクターのデザインではないだろうか。画面を最大までズームアップさせてもあまり違和感がない |
本作と同系列の,いわゆる可愛い系のMMORPGは数多くリリースされているが,中には日本人にとって微妙な違和感を覚えるものもある。しかしブライトシャドウのグラフィックスは,少なくとも個人的には,年末年始にリリースされる可愛い系MMORPGタイトルの中でも,かなりクオリティが高いと思う。
その一方で,ゲームシステム面で突出した要素がないため,コアゲーマーにとって物足りなさを感じさせてしまうだろう。例えば,一回の戦闘に要する時間が非常に短い(スキルを1〜2度発動させれば倒せる)のでテンポはいいが,戦闘の手応えが若干弱い。また装備品が,キャラクターのレベル帯ごとにほぼ決められており,選択の余地があまりないところも気になる。
そのあたりは,人によって好みが分かれる部分だろう。少なくともライトゲーマーにとっては,極端に難しいゲームシステムは高いハードルとなってしまう。それに,キャラクターに愛着がわけば,ついついプレイしたくなるわけで,とくに日本のゲーマーは,その傾向が強いように思える。総じていえることは,日本のライトゲーマーに向けたタイトルとしては,非常に堅実な造りだということだ。
あとは,この土台にどのようなコンテンツを積み重ねていくかがポイントとなりそうだ。以前掲載したインタビューによると,今後の方向性については,意外にもまだ固まっていない部分があるようである。しかし裏を返すと,それは日本のプレイヤーの意見を聞いてくれる余地がある,ということでもある。
もし,読者の中に「ブライトシャドウでこういった遊び方をしたい!」という強い要望を持つ人がいるなら,フィードバックしてみてはどうだろうか。
現在ブライトシャドウは,オープンβテストが始まったばかりの段階である。正式サービスに関するアナウンスはまだ行われていないが,現時点では誰でも参加できるので,本作のグラフィックスに興味を持った読者は,この機会にプレイしてみるといいだろう。
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