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「BitSummit 2015」で行われたValveの講演をレポート。プレイヤーとデベロッパ,それぞれの立場に向けたSteamの機能が語られた
ゲーマーなら,その名前を知らないという人はまずいないというくらい,世界最大級のゲーム配信プラットフォームとして名を馳せているSteamだが,単にゲームの販売・配信を行うだけでなく,さまざまなコンテンツの提供や開発者へのサポートを行っている。その詳細が語られた講演の模様をレポートしよう。
講演の冒頭で提示されたのは「Steamというプラットフォームの定義」。Steamは「クライアント側のアプリケーションとバックグラウンドサービスを持つ,ゲームとその他メディアに対応した顧客とコンテンツ作成者向けのエンターテインメントプラットフォーム」と表現できるとのことだが,これはあくまで一般的な機能の概要を言い表したに過ぎないという。Steamには,プレイヤーやデベロッパなどに向けて,もっと深い機能が用意されているのだ。
Steamを構成する要素についての説明が「ゲーマー向けのSteam」という観点から行われた。
Steamのストアには,そのプレイヤーとの関連性が高いタイトルをピックアップする機能や,ジャンルを細かく定義できるタグなど,ゲームの検索や購入を容易にするさまざまな機能が実装されているが,ウーイー氏は「氷山に喩えるならば,ストアはほんの先端部分でしかない」と語る。
氷山の水面下にあたる部分とは,追加アイテムを入手・投稿できるワークショップや,実績,トレーディングカード,今年初頭に実装されたブロードキャストなど,ゲームプレイの幅を広げる機能のこと。Steamを介してゲームをプレイすれば,ゲームを超えた体験も楽しめるというわけだ。
ゲーマーの次は「デベロッパー向けのSteam」という観点だ。Steamにはさまざまな販売ツールやデータ解析ツールが備わっており,パブリッシングをサポートしてくれる。中でもインディーズデベロッパと関係が深いのは,ユーザーの反響によって販売の合否が決定されるSteam Greenlightだろう。「Steam Greenlightに受かった」ということは,それだけで一定のステータスをタイトルに与えてくれる。
Steamは昨年,日本円決済やWebMoney支払いなどに対応した。この反響は大きく,日本における収益額が86%も増加したという。加えて,Steamのドキュメントやカスタマーサポートなどの日本語ローカライズも進んでおり,日本人にとってのSteamの利便性は大きく向上している。
さらに,今後追加される新要素についても紹介が行われた。Valveは,テレビに接続してゲームをプレイすることを想定した新型ハードウェア「Steam Machine」や,そのコントローラとなるデュアルトラックパッド採用の「Steam Controller」,技術提供を行ったHTC製VR HMD「Vive」のリリースを控えており,大きな注目を集めている。音楽やビデオの提供も,さらに本格化する予定だ。
以上を踏まえて,最後に「Steamというプラットフォームの再定義」が語られた。「Steamで可能なこと」は極めて多岐にわたり,その姿は不定形的かつ拡散的で,まさに“蒸気”のイメージだという。このプラットフォームをどのように使うかは利用者の手に委ねられており,それぞれのプレイヤーやデベロッパ,パブリッシャに「独自のSteamがある」と説明されたのち,最後に投げかけられたメッセージは,「一緒にSteamの形をつくりませんか」というものだった。常に進化を続けるSteamだが,その行く末を決めるのはユーザー一人一人になるのだろう。
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