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「Steam Greenlight」の廃止が決定。2017年春には新サービス「Steam Direct」がスタート
Greenlightとは,Steamを使っての配信を予定するデベロッパやパブリッシャが,ゲームの情報やデモ映像などをSteam Greenlightに投稿し,そのゲームが実際にリリースするだけの価値があるかどうかを,ユーザーの投票によって決めるというものだ。
今回,「進化する Steam」というタイトルでSteam Blogにポストされた内容によると,Greenlightでの取り組み自体はうまく行っており,Greenlightを通過して100万ドル以上を売り上げた作品は100を越えるという。ただ,Greenlightには大きな課題が残されていることも確かなようで,そのうちの1つが「Steamに新しいコンテンツを送るパイプラインの改善」だという。
以前4Gamerでは,「ポケットモンスター」の開発元として知られるゲームフリークが,Steamに「GIGA WRECKER」という新作タイトルをリリースしたときにインタビューを行い,その中で開発メンバーの1人である伊藤博人氏にGreenlightの話題を振ったことがある。そのときのやり取りは以下のとおりだ。
4Gamer:
ずっと気になっていたのですが,ゲームフリークさん自身にはValveとのパイプはあったのでしょうか。
伊藤氏:
「TEMBO」はSteamでも出したんですけど,そのときはセガゲームスさんがパブリッシングをしていたので,ゲームフリークにパイプはありませんでした。
4Gamer:
そうなると,まずはGreenlightからという流れになるかと思うのですが。
伊藤氏:
Greenlightだと最悪プロジェクト化できないという懸念があって,すでに予算は確保できていて,ゲームもほぼ作れている状態だったので,これはValveさんに相談だなって。
4Gamer:
実際にどうやってValveと連絡を取ったのでしょうか。
伊藤氏:
最初は翻訳サービスを使いながら文面を書いて,「ポケモンやTEMBOを作ってるゲームフリークの伊藤と申します」みたいな,まともに読めるかどうかも分からない英文のメールを送りました。
4Gamer:
メールというのは,デベロッパ専用の窓口ですか。
伊藤氏:
いえ。その窓口も分からなかったので,カスタマーサポートみたいなところに送ったんです(笑)。
「GIGA WRECKER」の場合はその後,パブリッシュに詳しいValve内部の人とコンタクトが取れ,Greenlightを通さずにSteamストアへとリリースすることに成功している。しかしこれは裏を返せば,デベロッパがValveとコンタクトを取るのに正式なルートが用意されていないということもである。
したがって,独立開発系のデベロッパの場合は,Valveにパイプのあるパブリッシャと手を組まない限りは,たとえプロジェクトの予算の確保していたとしても,一度はGreenlightを通さなければならないことが多いのだ。
もちろん,Greenlightに出すことがデメリットになるというわけではない。当然ながら正当な評価をもらえればGreenlightは通過でき,ユーザーからの期待のコメントが開発者の励ましにもなるだろう。
しかし,Greenlightは1日に10タイトル以上が登録されることもあってか,ユーザーの目に付く前にプロジェクトページが埋もれてしまうこともある。そうなると,“ユーザーの投票によって決める”というところにすらたどり着けないまま,プロジェクトが座礁してしまうわけだ。伊藤氏が言った「Greenlightだと最悪プロジェクト化できない」というのは,おそらくそういった面も含めてのことだろう。
もっとも,この問題はValve側も把握しているようで,Greenlightが“直通経路を確保するにあたって最大の障害”であると認めている。そこでValveは,開発者がSteamでゲームを配信するための新たな経路として,「Steam Direct」を2017年春に公開する予定だという。
これは,Steamにゲームを出したい開発者が,税務書類,個人または企業の確認情報,デジタル書類の一式をValveに提出して,その後に配信したいタイトルごとに申請料を払うという仕組みになっている。その名の通り,より直接的にValveとパイプをつなげられるというわけだ。
申請料については現在100ドルから5000ドルの範囲で検討中とのことで,現在もさまざまなデベロッパにヒアリング中とのこと。まだ全貌が見えてこないが,Steamストアがより活性化するのであればゲーマーとして嬉しい限りである。今後の動向にも注目していきたい。
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