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[COMPUTEX]会場で見かけた立体視技術いろいろ。空中結像ディスプレイ,2万円台の立体フォトフレーム,2D液晶パネルの強制3D化キット?
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印刷2010/06/07 20:21

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[COMPUTEX]会場で見かけた立体視技術いろいろ。空中結像ディスプレイ,2万円台の立体フォトフレーム,2D液晶パネルの強制3D化キット?

 2010年は空前の立体視ブーム。そのため,COMPUTEXにおいても立体視関連の展示が目立っていた。本稿では,COMPUTEX会場で見かけた立体視関連の展示についてレポートしてみたい。


リアルの物体に映像を空中結像させるディスプレイ


仕組みを解説したパネル
画像集#001のサムネイル/[COMPUTEX]会場で見かけた立体視技術いろいろ。空中結像ディスプレイ,2万円台の立体フォトフレーム,2D液晶パネルの強制3D化キット?
 台湾InnoVision Labs(NVIDIA陣営のグラフィックスカードベンダーとしても知られる香港InnoVISION Multimediaとは関係ないらしい)のブースでは,ガラスで覆われたケースの中に展示された実体物に動画を空中合成する不思議なディスプレイデバイスを展示していた。
 これはデジタルサイネージ(デジタル看板)用の製品で,主に広告用途に用いられるテクノロジーになる。

 ブースでは,このデバイスを使って,実体物の金魚鉢の中にCG動画の魚を泳がせたり,iPhoneの画面が液晶画面から起き上がって見えたり……といった演出のデモが行われていた。

 いったいどういう仕組みになっているのだろうか? それは,この装置を下から見上げるように見れば「ああ,なるほど」と分かるはず。

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 実は,外装ケースを構成しているガラス板はハーフミラーになっており,観客は,天板側の液晶パネルから映し出された投影像を見ているだけにすぎない。ただし,ハーフミラーに映し出された鏡像は,うまくガラスケース内の実体物に合成されて見えることになるため,まるでCGが実体物と共存しているかのように見えてしまう。

 天板側の液晶パネルは1027×768ドット。ここに3視点分の映像が表示されるので,各視点からの映像は640×480ドット程度になるという。オペレーションはPCベースで行われており,システムにはキャリブレーションソフトが付属する。ショーケースの大きさにもよるが,1セットあたり2500ドル(米ドル)程度を想定しているとのこと。

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実体物のiPhoneの画面が起き上がって回転するデモと,天板側の液晶画面の表示内容(以下同)
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実体物の金魚鉢の中にCGの魚が泳ぎ回るデモ

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実体物の化粧箱の中からトランスフォーマーが飛び出るデモ
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キャリブレーション画面


立体視テレビよりも手軽な立体視フォトフレームはいかが?


ニューサイトジャパン「3D Photo Frame」。2万9800円前後で発売になる見込み
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 業務用裸眼立体視ビジネスにフォーカスする日本企業のニューサイトジャパンだが,COPMUTEX TAIPEI 2010においては,珍しく民生向けの新商品を展示していた。
 それは立体写真のフォトフレーム「3D Photo Frame」だ。

 富士フイルムが「FinePix REAL 3D W1」を発売して以降,テレビだけでなく,写真の世界でも3D化の波が押し寄せている。最近では,ソニーがCybershot NEXシリーズを立体写真撮影に対応させることを発表し,これに呼応する形でCOMPUTEX TAIPEI 2010では,NVIDIAがソニーのNEXシリーズの写真を同社の「3D Vision」で見られるようにサポートすることを発表した。ただ,写真の場合,映像(動画)よりもカジュアルに楽しみたいというニーズが高く,眼鏡をかける立体視よりも,裸眼で楽しみたいという要望のほうが強いのだという。
 この声に応える形で開発されたのが,ニューサイトジャパンの3D Photo Frameというわけだ(注:昨年のSIGGRAPH Asiaではプリンタ出力によるソリューションを発表していた)。

3D Photo Frame用の立体視フォーマットにはソフトウェアで変換する
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 フォトフレーム自体のスペックは,解像度800×600ドットで,レンチキュラーレンズ型の裸眼立体視方式になる。対応視点数は五つで,画面サイズは8インチ。
 ニューサイトジャパンは,これまで視差バリア方式を強力に推進してきた企業だが,今回は,「フォトフレーム」という素性に配慮して,輝度優先のレンチキュラーレンズ型を採用したのだとか。実際に展示製品を見ると,たしかにかなり明るく見える。明るいために,立体視で得られる立体感以上にパリっとした見栄えとなっている。

 対応する写真は,FinePix REAL 3D W1で採用されている左右の目用の2枚のJPGのコンテナ形式であるMPOのほか,一般的な2Dデジカメで撮影した写真についても疑似的に立体写真に変換することもできる。
 現状,立体写真フォーマットの標準仕様が定まっていないこともあり,多様な3D写真,あるいは2D写真の3D変換については,3D Photo Frame側ではなく,商品に付属する専用PCソフトで対応することになるという。

 3D Photo Frame側の内蔵フラッシュメモリ容量は4GBを予定。バリエーション展開でアニメキャラクターブランドとのコラボも計画されており,そうしたコラボモデルには,リードオンリー記憶領域にキャラクターものの立体写真がプリインストールされる予定なのだとか。
 店頭価格は2万9800円前後を想定しており,7月には発売の予定。「日本製にこだわりたい」と,組み立て製造は島根県で行うことが決まっているという。


あなたの液晶ディスプレイを裸眼立体視化します


安価なフルHD液晶モニタとして秋葉原等でも人気のBENQのE2420HDをPop Filmで裸眼立体視化したもの
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 台湾Daxon Technologyは,現存する2D液晶モニターを裸眼立体視に対応させる光学シート「Pop Film」の展示を行っていた。
 本来は業務用であったが,現在の空前の3Dブームで沸騰する市場動向を見極めて,民生向け市場に参入する計画があるのだという。

 Pop Filmは要するにレンチキュラーレンズをあしらった光学フィルムシートだ。
 既存の2D液晶パネルに貼り合わせることで,その液晶パネルを裸眼立体視対応液晶に変身させるというわけだ。

 レンチキュラーレンズは各方向からの視線を,別々の液晶画素へ導くような光学系であり,液晶画素の解像度やドットピッチがマッチしていないと,まったく機能を果たせない。担当者は「各社の液晶モニター製品は,それほど多くはないメーカーの液晶パネルを共通的に使っているので,一つのPop Film製品でかなりの多くの製品をカバーできるから問題ない」とのこと。

E2420HDのロゴ。確かに元は2D液晶ディスプレイ製品だ。また,Pop Filmの貼り合わせ精度はこんな感じでOKらしい
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 実際に,裸眼立体視化されたデモ機を見たが,意外や意外,普通に映像が飛び出して見えるし,レンチキュラーレンズ型なのでかなり明るい。精巧に貼り合わせないとだめな気もするのだが,展示機を見ると,意外と貼り合わせは適当に行われている感じで,これでOKだというならば,確かにアフターマーケット製品としても成り立ちそうな気はする。
 現在は下図に示したように7インチから46インチまでの各サイズ,各解像度に対応した製品が用意されているという。ブースではBENQ製の「E2420HD」やメーカー名不明の46インチの液晶テレビがPop Filmによって裸眼立体視化されて展示されていた。

Pop Film概念図
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 とはいえ,問題点もある。
 それは,一度Pop Filmを取り付けてしまうと,その液晶モニターは裸眼立体視専用になってしまうという点だ(はがせば元に戻るが)。もちろん,すべての視線方向に対して同一画素を表示すれば,2D表示も可能だが,その場合の2D解像度は,液晶パネル解像度よりもずいぶんと低くなってしまう。
 その液晶モニタに「Pop Filmを貼るか貼らないか」はなかなかの究極の選択となりそうだ。

46インチのフルHD液晶テレビにPop Filmを貼り付けた例
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