連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第130回「『El Shaddai』はハッタリが効いている」
今はギリギリアラウンド30に踏みとどまっているけれど,34歳になったということは,当然ながら来年にはアラウンドでいうと40になってしまうということにほかならないわけで……。
ということは,この年齢になると人前で男性にキスしたり,半裸でくんずほぐれつし倒すのも,もはや笑えないのではないか? という考えに至り,なんとなくブルーになっているけれども,これで飯を食ってるから今さら方向転換もできない34歳ゲイレスラーですが,皆様いかがお過ごしでしょうか。
好きなセリフは昔から「へんじがないただのしかばねのようだ」。どれくらいこのセリフが好きかというと,自分が死んだときに葬式でみんなが泣く中「へんじがないただのしかばねのようだ」と言ってくれる女性ならば,結婚してもいいかなと思っているくらい。
でもね,34歳のゲイでプロレスラーでゲイム好きなおっさんですけれども,あまり世の中には迷惑をかけてないとは思いますよ? 税金も国民年金も払ってるし。そんな34歳になりたて男色ディーノです。
そんなこんなで,今週もプレイしたゲイムを紹介していくわけです。まずは遠慮なく,毎週恒例の「一応ゲイムについての連載なのにゲイムとは関係ない導入」からカチ込ませていただくとするわ。
というのも私,34歳にして悟ったことがあるのよ。エンターテイメント業に従事する人間の端くれとしてね。それは,エンターテイメントにはハッタリが重要だってこと。エンターテイメントっていうのは,不特定多数の人々に面白いと思わせることだと私は考えているのね。そしてその考え方は,細かくは個人差こそあれど,大まかにはみんながイメージする一般的なエンターテイメント像として間違ってないと思うの。
では,不特定多数を面白いと思わせるエンターテイメントに,なぜハッタリが重要なのか。答えは簡単で,ハッタリが面白いから。
例えば,スポーツ。人間,生きていたらだいたいは野球とかサッカーとか,シンプルにかけっことか,何かしらのスポーツに触れたり見たりするでしょ? だから,スポーツをやること自体は普通なのよ。でも,普通の人は150Km/hの球を投げたり打ったりできないし,球体を生き物のように足で扱えないし,100mを10秒で走れたりしない。普通じゃない人が集まってプロスポーツというものが成立しているのね。
……ここまでは理解できるでしょ? でも,よく考えてみて。逆に考えると,実はプロのスポーツ選手って,普通の人よりも人間的に優れているわけじゃなくて,スポーツが得意なだけなのよ。速い球を投げられたとして,それが一体なんなの? 速い球を棒で打てたとして,何が優れてるの? 速く走れたとして,どんな得があるの? 他人よりスポーツが得意だからといって,必ずしも人間としての価値が優れているわけではないのよ。
でも,人類の多くはスポーツで楽しんでいるわ。なぜか。それは,スポーツを得意とすること自体が凄いことだ,というハッタリが効いているから。そして,そのハッタリを人類が楽しんでいるから。自分にはできない,だから凄い。このハッタリがシンプルに伝わるのが,スポーツなんでしょうね。
ほかのエンターテイメントもそうよ。アイドルや歌手として人気を集めている人より,もっとルックスのいい人や歌の上手い人って世の中にはいるのよ,きっと。でも,彼らが歌やルックスでお金を得ているのは,普通の人よりもハッタリが効いてるから。
コンサートのときに歌だけでなく,振り付けがあったり,バックダンサーと一緒に踊ったり,衣装が派手だったりするのも,言ってしまえばハッタリなの。グラビアだってそう。撮影技術から印刷技術,その中間の技術などを駆使して,ハッタリを効かせているわけ。
世のエンターテイメントで,ハッタリが無いものなんて存在しないとすら言えると思うわ。人々がエンターテイメントに求めているものは,非日常だからね。
ゲイムって,本来はそれだけで非日常なのよ。あまりにも身近になり過ぎて,もはや日常と言えなくもないんだけど,それでもやっぱり架空の世界がモニターに表示されている時点で,現実のものではないわけ。
仮にいくらリアルなスポーツゲイムだって,ゲイムである以上はどこかで嘘をつかなきゃいけないわけだし,そもそもそれはゲイムであって現実ではない。だから,言い換えればゲイムはハッタリを楽しむものでもあると思うわけ。
で,そのゲイムが面白いと感じられるかどうかは,そのゲイムが発信するハッタリが,自分に合っているかどうかで決まるわけね。150Km/hのボールを投げることが凄いと思えれば野球は楽しいし,そう思えなければ野球はつまらない。それと一緒。
で,そんなハッタリ論の観点でいくと,このEl Shaddaiはまさにハッタリを前面に押し出したゲイム。この後,人によってはネガティブに聞こえるかもしれない意見を連呼するので,先に誤解のないように説明しておくけど,このゲイムは本当に良くできたアクションゲイムよ。
敵と戦っていてストレスはないし,操作もシンプル。アクションゲイムはボタンを押したときの画面のリアクションが面白さの大部分を占めると思うんだけど,その点で気になる部分は一切ないわ。あ,もちろん詰まるのがイヤだから難度は「イージー」でプレイしてるんだけどね。
画面が切り替わる際のロード時間もほとんどないし,アクションゲイムとして見た場合,El Shaddaiの出来はもの凄くレベルの高いものだと思う。これ,大前提ね。
で,ですよ。ハッタリの部分なんだけど。もうね,訳が分からない。昔,大阪のゲイムショップ「おじゃま館」でバイトしていたとき,おっさんが「マッカーサー元帥は日本にとって是だったのか非だったのか!?」とレジで聞いてきたくらい訳が分からない。一応「マッカーサー元帥を含めて,今の日本です!」と答えといたけど。おっさん「ウム」と言って引き下がったけど。暖かくなると,どうしても,ね。
ともかく! クリアしてないからストーリーの詳細は説明できないんだけど,El Shaddaiをスタートした直後,私(主人公)は何者なのかが分からない。なのに戦わなきゃいけない。何のために? 分からない。ほどなく主人公の目的は明らかにはなるし,プレイしていくうちに色々なことが明らかになっていくんだとは思うの。まだ私には分かっていないだけで。
問題はそこ。目的がイマイチ分からないまま,厳密にいうと目的を達成しないとどうなってしまうのか,主人公が頑張らないとその世界がどうなってしまうのかが分からないまま,プレイを続けられるかどうか。ま,それを言い出したら「ドルアーガの塔」はなぜ主人公が塔の60階を目指さなきゃいけないのか分かんないままプレイしてたけどね。
でも,作った人の狙いとしては,説明不足な点は絶対わざとだと思うのよ。そしてそれこそが,制作者からプレイヤーに向けたハッタリだと思うの。わざと説明しないで,雰囲気で壮大なストーリーを想像させるというハッタリ。これを愛せるかどうか。
そういう意味では各プレイヤーにとって,このゲイムの評価は最初に決まるんじゃないかしら。決してシットゲイムではないわ。ただ,好き嫌いはハッキリ分かれると思う。そして,好き嫌いが分かれる作りにしたのも,きっとハッタリ。
ゲイムから伝わってくる雰囲気や世界観は確固たる作り手の決意を感じるし,前述の通りアクション部分も決して新しいわけではないけれども,凄く丁寧に作られている。ただ,説明が不足している。これを良しとするかどうか。
個人的には,こういう姿勢のゲイムって好きなのよ。挑戦しよう,新しいモノを創ろうとしている感じが。万人にはオススメしづらいんだけど,私はクリアしてみようと思うわ。
というわけで,今週はEl Shaddaiをプレイしたわ。全然関係ない話だけど,El Shaddaiというタイトルを見て,「ウイニングポスト」シリーズをプレイしたくなった私の気持ちを,どれくらいの人が共感してくれるかしら。競馬に興味がない人がここだけ読んでも,意味なんて分からないんだろうけど。
あえて意味は説明しないわよ。だってEl Shaddaiが説明しないゲイムなんだもん。だからEl Shaddaiが何を意味するかなんて,私も説明しない。あ,このEl Shaddaiは今回のEl Shaddaiではなく,ウイニングポストをプレイしたくなった理由の話で……。
ウン,いよいよ訳が分からなくなってきたので,この辺で今週はお開き。また来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 3:「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」
ニンテンドー3DS:「名探偵コナン 蒼き宝石の輪舞曲」(DS用)
PSP:「パタポン 3」
Wii:「WiiFit」
360:……
■■男色ディーノ(プロレスラー)■■
ディーノ選手は5月21日(土),DDTの新木場1st.Ring大会「King of DDT TOKYO」に出場します。この興行の目玉はトーナメント戦なんですが,ディーノ選手はそれには出場せず「息もつかせぬ試合の合間に,息をつかせる試合をする」そうです。翌5月22日(日)は,秋田県の大館市民体育館で開催される「レスリングマスターファイナルカウントダウン〜ディック東郷最後の地元凱旋〜」に出場予定です。こちらも頑張るみたいです。
- 関連タイトル:
El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON
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