連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第210回「ん? 間違ったかな?」
今にして思うと,その教育方針の意図がよく分からないんだけど,小学生にとって担任の決めたルールは絶対じゃない? 守るべきものではなくて破っちゃいけないものとして。そうすると,クラスのみんなが足を引っ張り合うわけ。もうね,告発に次ぐ告発。「あ! 今使った! 先生○○くんがビートたけしのモノマネしました」「先生! 今○○くんがパイのパイの体操の歌を小さい声で歌ってました!」って具合にね。
こうした足の引っ張り合いのほうが,教育上マイナスなんじゃないかという気がしなくもないけど,最大限,この教育方針を理解しようとするならば,規制されていたものの多くは,下ネタだったりバイオレンス的なものであったからなのかな? とは思う。それでも,規制するほどのもんか? と思っちゃうんだけど。
なので,当然「北斗の拳」ごっこも私のクラス内では禁止されていたわけ。北斗の拳は,当時の小学生の心をつかんで離さなかったマンガ&アニメの一つで,世界観やらヒーローの在り方やらがそれまでの数多くの作品とは,一味も二味も違っていたの。
だって主人公が「貴様らの首領の居場所を言え。言わなければ死ぬぞ」って脅迫するのよ? で,敵が居場所を言ったところで結局は殺すしね。挙げ句,言い訳というか自らの行いを正当化するセリフが,「一度でも命乞いをしている人間を助けたことがあるのか?」なわけですよ。ほかにも有名なセリフだと「貴様らに今を生きる資格はない!」とか。
もう,めちゃくちゃですわ。理不尽極まりないし,立場を変えたらケンシロウのほうがよっぽどの悪党なわけよ。だが,それがいい。ちょっと原 哲夫漫画が混ざってもうたけども,要するに今までのヒーロー像とはえらく違ったもんだから,子供の心をガッチリと掴んだのね。
で,そんな感じのアニメだから,規制派の担任にとっては,これをクラスではやらせるわけにはいかない。かくして北斗の拳は,クラス内で禁止となるんだけど,主人公だけではなく下っ端の敵も名言を吐くわけですよ,この作品は。「ひでぶ」「あべし」「うわらば」なんて,死の間際に放つ言葉としてはキャッチー過ぎる。気を抜いたらすぐに口に出してしまうから,よく同級生から告発されたわよ。
最終的には,クラス全体が告発するために他人の会話を監視するような,そんな間違い探しのような雰囲気になってしまったの。結局,その担任の先生が授業中に「ん? 間違ったかな?」と言ってしまったもんだから,クラスのほとんどが先生を指さして,先生が漢字書き取りをやるハメになり,やがて北斗の拳禁止令は解除されることになったんだけれども。
北斗の拳は,当時それほどの影響力を持つ作品だった,ということが言いたいわけですね。
いやはや,そんなわけで北斗の拳が私の世代にとって,どれほど大きなインパクトを与えたかって話なんだけど,そういう原作ありきの作品ってゲイム化するにあたって,「原作の再現度」もゲイム内容の一つとして問われてくると思うのよ。北斗の拳ほど癖のある作品ならなおのこと。
で,前作の「北斗無双」(PlayStation 3 / Xbox 360)は,原作の再現度が抜群だった。制作者の北斗の拳に対する愛が感じられた。ただ,北斗の拳の要素が強すぎて,コーエーテクモゲームスのブランドである「無双」の要素が弱くなっていた感は否めないわ。まあ,それも真・北斗無双をプレイしたあとだから,そう思うわけであって,北斗無双に関してはこれはこれで十分面白かったんだけどね。
もう,簡ケツに言ってしまえば,真・北斗無双は北斗無双とはプレイ感覚が違うけど,これまた面白いってことなのよ。世界観とか北斗の拳的なリアリティの再現度でいうと,ぶっちゃけ前作のほうが上かもしれない。ただ,演出面であったりニヤリとできる度は,今作のほうが上だと個人的には思う。具体的には,漫画風にストーリーを展開していく見せ方や,奥義が出たときの爽快感が,今回は突き詰められている印象ね。
要は,プレイしていてスッキリするのよ。だから,前作よりもついついダラダラとプレイしてしまうのね。あえて言ってしまうと,このゲイムをプレイするにあたって,ストレスはないほうがいいと思うから,今からプレイする人には断然,難度「やさしい」をおススメするわ。ただ敵を倒しているだけで楽しい。そんなゲイムになっているわよ。
プレイしたら分かると思うんだけど,原作である北斗の拳の面白さって,結局こういうことなんだってことが実感できるわよ。漫画を読んでいる面白さやアニメを見る面白さと,ゲイムをプレイしているときに感じる面白さって本来は別物だと思うんだけど,真・北斗無双に関しては,別物のはずの面白さが“スッキリ感”によって統一されているの。
北斗の拳の面白さは何か? そして,それをゲイム化するにあたっての共通項はどこにしようか? ゲイムならではの,そして無双ならではの要素は何か? そういった問いに対する答えとして,“スッキリ感”を重視したんじゃないかと思う。結果,とてもいいゲイムになったんだと私は感じたわ。
原作が好きな人はもちろんのこと,単純にストレスを解消できるので,担当しているゲイレスラーがWii Uの代金を支払わないことでストレスを抱えている編集さんにも向いていると思う。間違いなく,年末年始のおススメゲイムの一つだわ。
とまあ,こんな感じで2012年も終わりに差しかかってまいりましたが。この一年皆さんはどのような年でしたか? 聞いておいてアレだけど,ぶっちゃけさしたる興味はないんだがね。でも,効き目と優しさの半々でできているこの連載を読んでくれている人のことを,私は勝手に戦友だと思っているわ。これはホント。
ゲイムが好きで読んでいるのか,なんとなく惰性で読んでいるのか,プロレスが好きだから読んでいるのか,むしろ私が嫌いだから読んでいるのか,色々なケースがあると思うの。ただ,いずれの場合でも,いちゲイマーである私の思うところをテキトーに発信して,それを受信してもらうことができているこの環境っていうのは,すごく貴重なものだと私は実感してる。
ゲイムが好きでプロレスが好きでエンターテイメントが好き。これだけですよ,私のこの連載の成分なんて。なので,それを読んでる時点であんたらも同じ穴のムジナ。私のことを好きだろうが嫌いだろうが,結局は同じ穴を愛している,同じ穴を共有している,同じ穴を掘っている戦友なわけです。
お前らもまさしく強敵(とも)だった。戦友(とも)達の2013年に幸多からんことを。また来年!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 3:「真・北斗無双」
PlayStation Vita:「地球防衛軍3 PORTABLE」
PSP:「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」
Wii U:未挿入
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「レイトン教授VS逆転裁判」
Xbox 360:「トロピコ4 日本語版」
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(C)武論尊・原哲夫/NSP 1983 版権許諾証 KOI-021 (C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
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