連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第291回「棲み分け」
でもね,大人になって思うの。何でもできるって,別にうらやましがるようなことでもないんだなって。もちろん,できないよりできたほうがいいに決まってるわよ。ただ,子供の頃の「何でもできる」って,将来に対する選択肢が増えてるだけなのよね。
分かりやすく言うと,勉強ができてスポーツができない子。これは,もう勉強するしかない。逆に,スポーツができて勉強ができない子は,スポーツに重きを置く進路を選ぶでしょ。あ,好き嫌いは抜きにして考えた場合ね。スポーツは得意じゃなくても,ただ好きだという理由でスポーツに重きを置く場合だってあるし,勉強でなかなか結果が出せなくても,進学校を志す子だっている。いろんなケースがあるわ。
ただし,子供に限らず人間って,ヤったことに対する結果が出やすいものを好きになる傾向があるじゃない。そういう意味では,得意なものを進路の第一候補に考えるわよね。ここまではシンプル。
でも,問題は何でもできる場合。これは難しい。勉強もスポーツもどちらも可能性があるんだから,どちらを選べばいいのか,選ぶ力が必要となってくる。
私の場合,勉強もスポーツもまあまあだったから,結局はまあまあの高校に進学して,当時,勉強をそこまで頑張らなくても入れる大学を選んで入学して,結果プロレスラーになったわ。もし私に学力があったり運動神経があったり,もっと言うと興味のあるなしに関わらず努力ができる能力があったならば,今のこんな感じにはなってないんでしょうね。
今いる私のポジションがいいところなのかそうでもないのかは分からないけど,好きなことをして飯を食えて,趣味のゲイムでも連載を持てて,そういう意味では果報者なのかもしれないわね。
と言いつつも,人生は比べることができない。だから,幸せかどうかは自分が判断するしかない。インディーのプロレスラーという先の見えない,しかもそれほどお金は貯まっていない,さらに言えばゲイレスラーというイロモノで,人並みの幸せは手に入ってないけど,それでも私は幸せなんだっていう悲痛な叫びを受け取っていただけますと幸いです。
適度に脇道にそれたから話を戻すわ。要するに,子供の頃は進学についてぐらいしか選択の幅はなかったけど,大人になるにつれて選択をより細かくしなければならなくなってくるってことが言いたかったのね。で,実は子供の頃にうらやんでいた「何でもできる」ということそのものは重要なファクターではなく,最終的には自分に合った進路を選択する力というのが何より重要だという話がしたかったわけです。
子供の頃ならいざ知らず,大人になれば気付くことなんだけど,この世の中って何でも完璧にできる人なんて存在しないのよね。でも,だからこそ世の中には棲み分けというものがあるの。自分で何でもできるなんて思っちゃダメなのよ。自分にできることとできないこと。それを見極めて身の振り方を考える力こそが,一番重要なんじゃないかしら。
一方で,自分には見えてない自分の力ってものもあるから面白いんだけどね。自分が世の中のどの部分を担っているのか。若いうちって,「社会の歯車にはなりたくない」なんて,個性をはき違えた系のことを思いがちなんだけど。歯車ですからね,どの人も。どの歯車が欠けても替えは効かないし,逆に欠けたところで世の中にそこまで影響があるわけじゃない。歯車になるならないってことではなく,どんな歯車になるかってことが重要なのですよ。これがすなわち「棲み分け」だと思うのね。
私の中で,ゲイムって使い分けてる部分があるの。遊び分けていると表現したほうがいいのかしら。RPGやシミュレーションゲイムのように,しっかりとヤり込むためのゲイムと,スポーツゲイムのように気分転換のためにヤるゲイム。そして,この連載のためにちょっとでも気になったらヤってみるというゲイム。基本的にはこの3種類の遊び分けをしているのね。
でももう1種類,現実逃避のためにヤるゲイムもごくたまに生まれる場合があるわ。それは,忙しくなってきたり,大舞台が待っていたりするタイミングで生まれがちなんだけどね。
ただひたすら迫りくる敵を斬り倒す。もう何も考えたくない。深く考えることなく,ボーっと斬り続ける。そのためのゲイム。楽しいという感覚ですらないのかもしれない。本来なら,去年の秋に発売されたPlayStation 3版やPlayStation Vita版とどこが違うのか,それをPlayStation 4で遊ぶとどんな感じなのかを言葉にしなきゃいけないんだろうけど,今の私にとってそういうゲイムではないので説明できない。
ただ,これだけは言えるわね。何も考えずボーっとプレイし続けられるくらい,ストレスなく遊べるゲイムではある,と。もちろんヤられてしまった場合はストレスになることもあるけど,それ以外のストレスは感じないのよ。これ,無双系のゲイムではけっこう重要なポイントだと思う。
シリーズものの作品としてではなく,ゲイムの本質として話をする場合,無双系の最大の長所は爽快感だと思うのね。それこそ,簡単に一騎当千感を味わえるかどうか。そういう意味では,何も考えなくても5000人斬りも平気でこなしてしまえたんで,爽快感は抜群なんでしょうね。このあたりって,PlayStation 4版でより多くの敵が画面に描かれるようになったことが,プラスに作用してるのかもしれないわね。
ストーリーとかのテキストは,正直真剣に読んでいないんだけど,ひたすら無心で敵を斬り続けていられるのよ。この,一種の作業感がトランス状態を引き起こしてくれるというか。ホント,今の私にとってこのトランスタイムは本当に大切な時間なの。クリアせずに死ぬまで斬る毎日。この病んだ日々は,しばらく続きそう。
余裕のあるときに遊べば,オススメポイントをもっといろいろと探せるんだろうけど,とりあえず今の私に言えるのは,何となくボーっとしたい人に向いているということ。いろんなゲイムがある中で,こんなにもストレスなく作業を続けられるゲイムはあまりないわ。
なんだかんだで自分にとっての棲み分け,ゲイムの遊び分けができるのは,やはりゲイムとしての個性があるからなんでしょうね。個性って,結局そういうことなんだと思うわ。こういう局面にはこういう歯車がいいよねっていう,長所がハッキリした使い分けしやすい歯車。
一方で,これといった短所もなくどんな歯車にも合わせられるような歯車。世の中のどの場所でどのようにでも働ける歯車は無個性かというと,そうではない。それはそれで一つの個性だからね。
あなたは自分がどういう歯車なのか,ちゃんと把握して説明できますか? どういう歯車になりたいですか? とりあえず私は,人並みの幸せが欲しい歯車です。……それでも今,幸せだけどな!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「無双OROCHI2 Ultimate」
PlayStation 3:「魔都紅色幽撃隊」
PlayStation Vita:「俺の屍を越えてゆけ2」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「The Wonderful 101」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「妖怪ウォッチ2 本家」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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無双OROCHI2 Ultimate
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- 無双OROCHI 2 Ultimate (初回封入特典かぐや&太公望&女カ“討鬼伝"コラボコスチュームダウンロードシリアルコード同梱)
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