連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第311回「ゲイムと歴史」
というわけで,今年最後のテーマは“歴史認識問題”について。……あ,ちょっと前も言ったと思うんだけど,私,この連載では面倒臭いことはなるべく避けて通りたい気持ちがあるからね。だから,国境を越えそうな話は決してしないわよ。ま,簡単に言うと政治と宗教,これらにはできる限り触れないわ。
別に政治に興味が無いわけじゃないの。先日の選挙でも投票には行ったし,世の中についてそれなりに思うところはある。でも,ここでは書かない。なぜなら,これはゲイムの連載だから。
というわけで,ここで私が語りたい“歴史認識問題”とは,ゲイムにおける話なの。だから,もし政治的な意味を見出すつもりで読もうとしているのであれば,何一つ得るものはないから気をつけてね。まあ,いつものことなんだけどね。
で,両タイトルともコーエーテクモゲームスから発売されたゲイム。そして両タイトルとも戦国時代を舞台にしたゲイム。イヤ,薄々は感付いていたのよ。でもね,同時にプレイすることはあまりないから,これまで気付かないフリをしていたのね。
アプローチが違うことくらいはもちろん気付いていたわよ。そもそもジャンルが違うし。逆に言うと,舞台は同じでジャンルが違うだけ。……そう思っていたわ。でもね,違うのよ。両ゲイムが持っている歴史認識が。今日はその話。というのも,コーエーテクモゲームスが発売している2タイトルが,同じ戦国時代を扱いながら,異なる世界観を打ち出してるのよ。
将軍殺し主君殺しとして名を馳せる松永久秀もね,戦国無双 Chronicle 3ではダークヒーローっぽいキャラ付けをされていて,信長の野望・創造 with パワーアップキットでは権力を手に入れるために策を巡らせる悪人として語られている。
そして,こうした違いこそが,エンターテイメントの面白さだと私は思うのよね。歴史という第三者が比較的いじりづらいテーマだろうがなんだろうが,面白がらせ方の違いによっては捻じ曲げられることだってあるんだな,と。
超簡単に分類すると,「戦国無双シリーズ」って,どれくらい自然かつ大胆に嘘をつくことができるかが面白味になっているのね。もちろん,キャラクターは歴史上の実在した人物がほとんど。でも,リアリティを必ずしも最優先していないのよ。それよりは,どうすればキャラクターが立つのか,どれだけ爽快に敵をなぎ倒せるか。言うなれば,そういう現実感のなさこそが戦国無双シリーズのだいご味なのよね。
一方で「信長の野望」シリーズは,なるべく実際の歴史に残っていることをリアルに表現する面白さを追求しているわよね。しかも,必ずしもノンフィクションである必要はない。あくまで「ゲイムの世界だからこそできる歴史のやり直し」を表現するためのリアリティなわけ。
要は,どこを演出するのかってことだと思うのよね。ゲイムである以上はプレイヤーを楽しませなきゃいけない。これがまったくのフィクションであれば,作り手が思うように都合良く設定すればいい。
でも,歴史というものをゲイムのテーマにした場合は,実際にあったことを下敷きに作らなきゃいけない。で,どこを残してどこをいじるのかっていう部分を,コーエーテクモゲームスは,ゲイムごとに変えてきているのよね。だから,同じ人物を描くにしても描き方は統一されていない。そういう違いが生まれているってわけ。
そしてこれが何より重要なんだけど,どっちも面白い。本来,歴史なんて過去にあった話だから変えようがないのよ。でも,逆に言うと現在の我々がどう定めるかで歴史なんていくらでも変わる。例えば,私なんかは鎌倉幕府が始まったのは1192年だと教育されてきたけど,最近では1185年という説が有力になっているのよね。そんなもんなのよ。今後もこういったケースがないとは限らない。
それにね。例えば武将の能力も,人によって評価は変わるでしょう。でも! ゲイムの場合は,歴史的に正確であることよりも,プレイヤーが楽しめることが何より大切なんだと思うの。なので,今回取り上げた二つのゲイムは,異なる形で歴史上の人物や出来事を描いているけれど,どっちも楽しいからこれでOK! っていう,最終的に非常に当たり前のケツ論にたどり着いたってお話でした。
これも私がことあるごとに言ってるけど,エンターテイメントとして面白く料理するには,どこかでデフォルメしなきゃいけないわ。ゲイムとして面白いことこそが,ゲイムの正義だからね。かといって,何でもかんでもデフォルメすればいいってもんでもなく,プレイヤーが消化できる形じゃないと,違和感が気になってゲイムに集中できなくなってしまう。そのさじ加減がうまいのよ,コーエーテクモゲームスの作品は。その結果が,今回の“歴史認識問題”につながってるんでしょう。
今さらですが,オススメですよ両方。アクション好きは戦国無双 Chronicle 3,シミュレーション好きは信長の野望・創造 with パワーアップキット。あるいは興味を持ってしまったのであれば,あえて両方。どちらもきっちり楽しめるとは思うわよ。年末年始にぜひ。
というわけで,終わりましたよ2014年! “歴史認識問題”なんてパっと見刺激的なテーマで語りながら,最終的には何の毒もない収束。こうやってこの連載を続けてるんだからしょうがない。
ま,こんなペースで2015年もゲイムのいいところを見つけていければいいなと思いつつ,今年の連載を締めくくりたいと思うわ。2015年もよろしくね! ……これはちゃんと思ってるってば! また来年!
今週のハマりゲイム
(文字通りゲイムスロットにハマっているゲイム)
PlayStation 4:「信長の野望・創造 with パワーアップキット」
PlayStation 3:「実況パワフルプロ野球2014」
PlayStation Vita:「戦国無双 Chronicle 3」
PSP:「サモンナイト5」
Wii U:「ゼルダ無双」
Wii:「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン」
ニンテンドー3DS:「ダービースタリオンGOLD」
Xbox 360:「剣の街の異邦人 〜白の王宮〜」
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- 関連タイトル:
信長の野望・創造 with パワーアップキット
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- 関連タイトル:
戦国無双 Chronicle 3
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