連載
男色ディーノのゲイムヒヒョー ゼロ:第625回「『ジャックジャンヌ』の正統派具合がすごい」
どうも。色物プロレスラーの男色ディーノです。今回は,なぜ私が色物になったかを説明したうえで,そこからゲイムの話につなげていきましょう。
なぜ私が色物のプロレスラーになったのか。それを語るうえでは,二つの分岐点に触れる必要があります。
まずは,始める瞬間。私は大学生のときに,サークル活動として学生プロレスを始めたの。で,学生プロレスの先輩に「お前は男色ディーノだ」と名付けられたのね。性癖がバレていたのかな? で,そこで私は考えます。「バレた以上,普通にプロレスをヤるだけでは面白くない」と。そこで,今のファイトスタイルにつながるゲイ殺法を編み出しました。結果的に,普通にプロレスをヤるよりは見ている人に楽しんでもらえたと思っております。これが一つめの分岐点。
そして,ここから二つめ。それは,アマチュアからプロに転向した瞬間なの。どうやってプロになったのかという話は説明が難しいので割愛するけども,ともかく大学を卒業してからプロになったのですよ。名前も男色ディーノのまま。そのときも同じ気持ちよね。「普通にプロレスをヤってもしょうがない。このままヤれるところまでヤったらどうなるのだろうか」と。要するに,“普通”から逃げたのですね。自分には普通にプロレスをヤるほどの才能はない。だから,普通はヤらないことを考えてそれを商品にしよう,と。
そういうわけで,いわゆる正統派に対しては常にコンプレックスがあるのです。普通にヤッてこなかったから。アマチュア時代を含めて25〜6年もヤッてりゃ,その時代ごとにさまざまな背景はあります。色物が受け入れられる環境だった,さまざまな価値観が見直される世の中だった的な。そこに運良く入り込めたから,ここまで生きながらえられた部分も大きい。
だからこそ,今思うのです。正統派ってすごいなって。私なんかの色物は,ごまかしながらヤっていかなきゃいけないんだけど,正統派はごまかしがきかないのですよ。ちゃんと正面からすごくなければならない。私にはできない。もっと言うと,多くの人が憧れるけど,正統派で生き残り続けられるのは一握りしかいない。
最近の若い人は知らないかもしれないけど,30代後半以上の世代のゲイマーであれば,ときメモが恋愛シミュレーションゲイムの王道であることに異論はないと思う。もちろん,好き嫌いは別なんだけど。で,ジャックジャンヌのプレイ感覚は,当時ときメモをプレイして覚えたそれに近い。
ゲイムのシチュエーションは,言っちゃえば宝塚の逆バージョンというか,要は男子校の歌劇団が舞台で,そこに女の子であることを隠して入学するっていう。そんな環境で巻き起こる青春群像劇を楽しむゲイムなの。
私としては「スズ君の純粋なところがいいわぁ」とか「コクトさんの危うい天才性から目が離せない」とか,そういう感想を語ることもできるんだけど,私の心に一番響いたのはそういう部分ではなく。しっかりと正面から面白いってところだったの。
ときメモをプレイしたときもそうだった。シチュエーションだけを聞いたら,「高校3年間で複数のヒロイン達のうちの誰かと両想いになる」とか,いかにもゲイム的じゃない。それで敬遠した人もいたはず。でもね。実際にプレイしたら,ゲイムとして面白いことに気付いて,ひたすらにプレイを続け,結果的にヒロインにハマる人が続出した。かつてのときメモ人気は,あくまでゲイムとして正統的に面白かったから生まれたものだと,私は解釈しているわ。
ジャックジャンヌもそう。女の子であることを隠して男子校に入学という,シチュエーションだけ見たら興味が湧かない人も多いかもしれない。興味が湧く人ももちろんいるだろうけど。少なくとも「ああ,フィクションではよくある話ね」って思ってしまう人もいるでしょう。私のように。ただ。これは断言しておきます。実際プレイしたら,超えてきます。その思い込みを。
というのもね。ちゃんと引き込まれるような作りなのですよ。テキストも,音楽も,ゲイム性も。ベタだと分かったうえで,それでも面白い。私はこのゲイムをプレイして思い知ったね。ああ,これが正統派の戦い方か,と。思えばマリオもそう,ドラクエもそう。正統派と評価されるゲイムは,ジャンルを問わず正面から面白いのですよ。姫を助ける,世界を救う。シチュエーションはシンプルなのに,プレイしたら面白いでしょ。
ジャックジャンヌもまさにそう。これはテキストベースのシミュレーションゲイムだから,面白いと思える要素はストーリーが主なんだけど。ただ,恋愛要素はさほど濃くなく,むしろ青春の要素のほうが色濃い点は述べておかなければならないかもね。だからこそ私でも面白いと感じられたとも言えるし。
なので,もしシチュエーションを見ただけでスルーを決め込んでいるのであれば,それはもったいないと思う。ちゃんと,ゲイムとして面白いし,青春群像劇としても面白い。おまけの感想だけど,声優さんってすごいんだなとも思う。命の吹き込み方が半端じゃない。というわけで,広い範囲のゲイムファンにオススメです。とくに,昔ときメモにハマった記憶がある人には,ぜひ触れてみてほしいわね。全然違うストーリーだけど,なぜだか思い出せます。
ちゃんと正面から面白いって,やっぱりすごい。私は,正面からはすごくなれない。でも,生きているし,生きていきたい。だから,普通はしないことを探して生きていく。そして,やはり正統派のすごさを見せつけられて凹む。その繰り返し。
そして私はゲイムをプレイする。なぜなら,正統派じゃなくても面白いゲイムはあるから。トリッキーなゲイムに勇気付けられ,正統派のゲイムに打ちひしがれ。騒がしく楽しい人生だよまったく。そんな感じでまた来週。
今週のハマりゲイム
PlayStation 4:「eFootball ウイニングイレブン 2021 SEASON UPDATE」
Nintendo Switch:「ジャックジャンヌ」
iOS:「龍が如く ONLINE」
iOS:「ハンドレッドソウル」
iOS:「ウイニングイレブン カードコレクション」
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ジャックジャンヌ
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