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インディーズゲームの小部屋:Room#569「Wargroove」
このところ,ゾンビだらけの警察署内で右往左往している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第569回は,Chucklefishの「Wargroove」を紹介する。本作は,ファンタジー世界を舞台にしたストラテジーゲームだ。とりあえず,インクリボンが無くてもタイプライターを使えるようになったのがありがたい……。
本作の舞台となるのは,人とモンスターが共存するオーラニアと呼ばれる大陸。あるとき,平和なチェリーストーン王国に隣国フェルハイムのアンデッド軍団が侵攻し,その圧倒的な戦力の前に,若き女王マーシアは撤退を余儀なくされる。そして,救援を求めるため東方のヘヴンソング帝国を目指すが,途中の森は植物のような外見のフローラ族が支配しており……。
というわけで,プレイヤーはマーシア率いるチェリーストーン軍を指揮して,はるか東を目指して旅を続けながら,途中に立ちはだかるさまざまな敵勢力と戦っていく。ファンタジー世界を舞台にしたストラテジーゲームということで「ファイアーエムブレム」のようなゲームを想像しがちだが,本作はどちらかと言えば「ファミコンウォーズ」に近い。母ちゃん達には内緒だぞ。
本作には,剣士や弓兵を始めとする陸上ユニットから,ハーピーなどの飛行ユニット,さらには軍艦といった水上ユニットまで,多彩なユニットが登場する。これらのユニットは兵舎で生産可能だが,敵を倒しても経験値を得て成長したりはしない。マップ上に点在する村は歩兵ユニットで占拠でき,敵に支配された村を攻撃して奪い返すこともできる。占拠している村の数に応じて,毎ターン軍資金が入り,これを使ってユニットを生産するのだ。
各ユニットは,それぞれ特定の条件でクリティカル攻撃が繰り出せるほか,この手のゲームではお約束とも言えるユニット同士の相性やボーナスも存在する。例えば,槍兵は騎兵に強く,ほかの槍兵と隣接しているとクリティカル攻撃が発生するといった具合だ。敵と味方のユニットの強さは互角なので,こうした相性や特徴をしっかり把握して布陣することが勝利への近道となる。
また,マーシアを始めとする一部のユニットは,単独で敵を蹴散らせるほど強力な指揮官ユニットとなっており,戦闘中に上昇していくゲージが満タンになると,「グルーヴ」という特別なスキルを使用できる。例えば,マーシアのグルーヴは一定範囲内の味方の体力を回復させるというもの。どの指揮官ユニットも非常に頼りがいがあるが,倒されると即座に敗北となるので,強さを過信して敵陣に突っ込みすぎないように注意しよう。
本作は,ストーリーモードのほかにも多彩なモードが用意されているのが特徴で,中でも面白いのは,プレイヤーがオリジナルのマップやシナリオを作れるクリエイトモードの存在だ。作成したマップはオンラインで公開可能で,ほかのプレイヤーが作ったマップをダウンロードして遊ぶこともできる。さらに,オンラインやオフラインでの対戦プレイも用意されているなど,遊び応えは十分だ。
ゲームとしての完成度の高さは文句なしで,よく動く可愛らしいドット絵と素晴らしい音楽も魅力的な本作。おまけにしっかりと日本語化もされているので,ストラテジーゲーム好きなら遊ばない手はないだろう。そんな本作はSteamにて2050円で発売中なので,興味を持った人はぜひどうぞ。犬が大活躍するゲームが好きな人にもオススメです。
■「Wargroove」公式サイト
https://wargroove.com/- この記事のURL:
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