連載
インディーズゲームの小部屋:Room#575「Baba Is You」
季節はそろそろ春の陽気に近づいて,花粉の飛び始めに用心している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第575回は,Hempuli Oyの「Baba Is You」を紹介する。本作は,ブロックを並べ替えてゲームのルールそのものを変更し,ゴールを目指すというパズルゲームだ。ポケットティッシュが無くなると大惨事に……。
本作は一見すると「倉庫番」風のシンプルなパズルゲームのようだが,さにあらず。最大の特徴は,あちこちにある英単語が書かれたブロックを並べ替えて文章にすることで,ステージ全体のルールを変更できるという点にある。例えば,「ROCK」「IS」「PUSH」という順にブロックを並べると,ステージにある岩を押して動かせるようになるという仕組みだ。
なかでも重要なのは「WIN」という単語で,これがゴールを示している。例えば,「FLAG」「IS」「WIN」という順にブロックを配置すると,旗がゴールになるというわけだ。タイトルの“Baba Is You”は「Babaという白い生き物があなたですよ」という意味で,多くのステージでは,この謎の生き物を操作してゴールを目指すことになる。
そして,さらに面白いことに,これらのブロックは押して動かして(引くことはできない)自由に組み合わせたり,順番を崩したりできる。例えば,「WALL」「IS」「STOP」という順にブロックが並んだステージでは,壁を通り抜けることができない。そこで,「STOP」と書かれたブロックをどかし,「WALL」「IS」のように意味を成さない並びにしてしまえば,壁はもはや色の付いたタイルに過ぎず,自由に通れるようになるのだ。
変更できるのは,周囲のオブジェクトだけではない。「WALL」「IS」「YOU」という風にブロックを並べ替えれば,ステージにある壁すべてがプレイヤーキャラになり,操作もできる。ステージ中の壁が主人公(?)として一斉にゴソッと動くさまは,実にシュールだ。当然ながら,この状態でゴールすることもでき,何だったらゴールすら別のものに指定することだってできてしまう。
単語の並べ方には一定の決まりがあるものの自由度は非常に高く,次々と突拍子もないルールをでっち上げながら障害をクリアしていくのが何よりも面白い。うっかり変な組み合わせを作ると主人公が動けなくなって詰んでしまったり,予想外のものが邪魔者になったりと,かなり頭を使うパズルゲームに仕上がっている。文法的にはおかしい,ヘンテコな英語を駆使して,全ステージクリアを目指してほしい。そんな本作はSteamにて1520円で発売中なので,パズルゲームファンはぜひどうぞ。
■「Baba Is You」公式サイト
http://www.hempuli.com/baba/- 関連タイトル:
Baba Is You
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