連載
インディーズゲームの小部屋:Room#618「The White Door」
RUSHのドラマー,ニール・パートの冥福を祈りつつお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第618回は,Rusty Lakeが開発した「The White Door」を紹介する。本作は,記憶喪失で精神病院に収容された主人公となり,記憶を取り戻すべく夢の世界を探っていくという,ポイント&クリック型のアドベンチャーゲームだ。享年67歳という,名プレイヤーのあまりにも早すぎる死に心から哀悼の意を表します。
本作の開発元であるRusty Lakeといえば,本連載の第515回で取り上げた「Rusty Lake Paradise」や,脱出ゲーム「Cube Escape」シリーズなどで知られるオランダのデベロッパだ。“Rusty Lakeユニバース”と呼ばれる共通の世界観を下敷きに,独特のビジュアルと,不気味で謎めいた雰囲気のゲームを数多く制作しており,ファンのあいだでカルト的な人気を誇っている。
その最新作となる本作の舞台は精神病院。主人公のロバート・ヒルは重度の記憶喪失で苦しんでおり,厳格にスケジュールが決められた病院の一室で生活している。プレイヤーの目的は,ロバートを操作してパズルなどの謎解きをしながら,記憶を取り戻すこと。何も覚えていないことを象徴するかのような,色のない真っ白な病室が目を引くが,何よりも特徴的なのが左右に分割された独特のゲーム画面だ。
基本的なシステムはおなじみのポイント&クリック形式で,画面左側には病室の全体が表示され,画面右側にはクリックしたオブジェクトの拡大図や,会話メッセージなどが表示されるという仕組みになっている。ロバートの生活は,朝7時に起床,8時に朝食,9時に身だしなみといった具合にスケジュールが決められており,これらを順番どおりにこなしてゲームを進めていく。
毎日必ず行われる診察と記憶トレーニングはちょっとしたクイズかパズルのようなもので,これによってロバートの記憶の回復を図る……ということになっているようだが,どうにも奇妙な内容のものが多く,Rusty Lake作品らしい,怪しい雰囲気がぷんぷん漂っている。そして1日のスケジュールを終えてベッドで眠ると,色がついた記憶の世界が蘇り,ロバートの過去が少しずつ判明していく。
しかし,このまますんなりと事が運ぶはずもなく……といった感じで,最後まで不安を感じさせたまま展開していくストーリーは見事。謎解きがどうしても分からない人のために恒例のヒント機能もあり,最後まで一気にプレイせずにいられない,止めどきの見つからないゲームに仕上がっている。
そんな本作はSteamにて,410円で発売中。本作の主人公ロバートを始め,Rusty Lakeユニバースは各作品の設定や登場人物が互いに少しずつ関連しているので,本作を気に入った人は過去作品もプレイしてみよう。
「The White Door」公式サイト
http://www.rustylake.com/adventure-games/the-white-door.html- この記事のURL:
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