インディーズゲームの小部屋：Room＃652「Going Under」

　最近はテレワークをすることが増えているので，自宅用に新しいキーボードが欲しい筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第652回は，Aggro Crabが開発した「Going Under」を紹介する。本作は，事業に失敗したITベンチャー企業の廃墟でモンスターと化した従業員と戦うローグライクゲームだ。せっかくだから，次はキートップが7色に光るやつにしてみようかな。


　本作の主人公は，大きなポニーテールが可愛らしいジャクリーンという女性。ベンチャー企業として成功を収めた飲料メーカー「Fizzle」の無償インターンに採用された彼女だったが，募集にはマーケティングと書かれていたのに，出社早々，上司から与えられた仕事はオフィスの地下にある廃墟でモンスターを退治すること。えっ，今なんて言ったの……？


　舞台となるネオ・カスカディアの街は，巨大IT企業「Cubicle」によって支えられており，ジャクリーンが採用されたFizzleも無数にあるCubicleのグループ会社の1つ。ここでは，事業に失敗した企業は地中深くに沈み込み，その従業員達は呪われ，モンスターとして徘徊することになるという。なんと恐ろしい……。ジャクリーンの仕事は，そんなオフィスのなれの果てを探索し，最深部に隠された「レリック」と呼ばれる代物を回収することだ。


　本作は，足を踏み入れるたびに構造が変化するダンジョンを攻略していくローグライクゲームだ。Fizzleの地下には，かつては人材派遣や出会い系アプリ，仮想通貨などを手がけていたベンチャー企業の廃墟が広がっており，モンスターと化した元従業員がうろついている。ジャクリーンは，それらの元オフィスにあるノートパソコンやキーボードといったオフィス用品や，抱き枕やホウキなどのさまざまなガラクタを武器にしてモンスターに立ち向かっていく。


　ただし，どの道具も使用回数に制限があり，何度か使っていると壊れてしまうので要注意。道具によって攻撃力やモーションが異なるので，使いやすい道具をいかに確保できるかが攻略のカギを握っている。ジャクリーンの能力は，ダンジョンで見つけたスキルを身に付けたり，アプリをスマホにインストールしたりすることで強化する仕組みだ。スマホアプリは一種の魔法のようなもので，周囲の敵を感電させたり，一時的に攻撃力を高めたりといった効果がある。


　ブラックユーモア満載の世界観も大きな魅力で，皮肉たっぷりな先輩社員達とのやり取りも面白い。彼らの頼みごとを聞いて仲良くなると，メンターとしてダンジョン探索を手助けしてもらえるようになるので，できるだけ協力してあげよう。ぱっと見は明るくやりがいのある職場を装っているFizzleだが，すでにお分かりのとおり，かなりのブラック企業で，給料も出ないのに一生懸命がんばるジャクリーンがいじらしい。


　可愛らしいグラフィックスながら，気を抜くとすぐに倒されてしまうローグライクゲームとしての歯ごたえは十分で，Fizzleや親会社のCubicleに隠された秘密も気になる「Going Under」。Steamでは，PC向けのデモ版が配信されているほか，製品版が2050円で発売中だ。また，PlayStation 4，Nintendo Switch，Xbox One版もそれぞれのオンラインストアで販売されているので，お好きなプラットフォームでぜひどうぞ。

■「Going Under」Steamストアページ

https://store.steampowered.com/app/1154810/Going_Under/