連載
インディーズゲームの小部屋:Room#686「RONIN: Two Souls」
イベント報酬の通常ガチャチケットで確率0.750%の☆3キャラを1発で引き当てた(自慢)筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第686回は,M11 Studioの「RONIN: Two Souls」を紹介する。本作は,侍になることを目指す主人公の放浪の旅を描いた,トルコ生まれのサムライRPGだ。今なら宝くじも当たりそうな気がする!
本作の舞台は,架空の中世日本の片隅にある小さな島,トシ島。ここで暮らす22歳の青年ケンジは,育ての親であるオザキから,幼少の頃より読み書きや剣の手ほどきを受けてきた。そして,オザキが72歳でこの世を去ったことをきっかけに,人生の目標である侍になるため,旅に出る決意をする……。
しかしこの主人公,ケンジという近代的な名前にも違和感があるが,元はオザキの家の前に捨てられていた捨て子で,侍になるどころか浪人ですらない。一応,オザキは元侍らしいが,こんな調子でこの先,立派な侍になれるのか,早くも雲行きが怪しい。そんなケンジの最初の仕事は,スエノという女性に頼まれて,彼女の父親を探すこと。このスエノは19歳のときにゾッコと結婚して島を去り,その後,離婚して島に戻ってきたらしいが,一体どこの誰と結婚したんだ……。
本作はアーリーアクセス扱いではないものの,まだ開発中で未実装の要素も多く,現時点でプレイできるのはチャプター1のみ。サブタイトルにある“Two Souls”は,1つの肉体に2つの魂があるという意味で,チャプター1のラストでその理由が明かされる。本格的な冒険が始まるのはここからになりそうで,チャプター1では島を探索しながら村人の頼みごとを聞いたり,島に隠された財宝を探す海賊と対峙したりといった,ゲームの基本部分を遊ぶことができる。
ゲームの特徴は,村人やそのほかのNPCとの会話における選択肢によって,その後の展開が変化すること。親切なことに,善い行いであれば選択肢の隣に「善」,悪い行いなら「悪」と漢字で書かれているので,自分のロールプレイに応じて選べばいいだろう。会話の結果,戦闘になると,刀を使った1対1の決闘が発生する。
これは簡単なアクションパートとなっており,上段,下段,八双の3つの構えがある。最初は1撃受けるだけで死亡してしまうことにびっくりするが,何度かやればすぐに,とりあえず八双に構えてタイミングよく突きを繰り出すだけで,どんな敵にもあっさりと勝てることに気づくだろう。見よ,これがサムライの力だ! と言いたいところだが,ゲームとしては大味すぎるので,このあたりのバランス調整は今後のアップデートに期待したい。
そして,本作最大の魅力と言えるのが,美しい日本の風景だ。紅葉が真っ赤に染まっている横で,竹が青々と茂っていたりと季節感は皆無だが,この程度のことは「Ghost of Tsushima」で経験済みなので,今さらツッコむに値しない。確かに現実にはありえない光景ではあるが,外国人が思い描いた理想の日本の姿は色鮮やかで,筆者の目から見ても,思わずため息がこぼれるほどだ。それよりもむしろ,軒先の行灯や門柱など,至るところに「不屈」の文字が書かれていることにツッコミを入れておきたい。
細かく見ていくと,ほかにもいろいろと面白いツッコミどころがあり,まだまだ粗削りな部分が目立つゲームではあるが,トルコの小規模な開発チームが手がけるサムライものという点からも応援したくなる本作。多少の粗には目をつぶって,今後の発展を広い心で見守っていきたいという人は,ぜひ一度プレイしてみてほしい。そんな本作はSteamにて,1520円で発売中だ。
■「RONIN: Two Souls」公式サイト
https://m11studiogames.com/- この記事のURL:
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