［TGS 2008＃113］台湾パビリオンで見つけたタイトルをまとめて紹介

　東京ゲームショウ会場の一角に設置されている「台湾パビリオン」。オランダ，カナダなども出展している「海外パビリオン」の中では最大の規模を誇り，ゲームそのものの展示が最も多いのも台湾だ。
　ここでは毎年何社もの台湾ゲーム企業が自社製品を展示しており，日本国内におけるビジネス展開の可能性を探っている。それらのアプローチが具体的な形に実を結ぶこともしばしばであり，展示されている作品の中には，後に日本国内で正式な運営が行われることになる作品も少なくない。だから台湾パビリオンは，新しもの好きのオンラインゲーマーにとってはチェックしていて面白いブースである。
　今年このブースでデモが行われていた作品のうち，ブラウザで動くMMORPG「Canaan」はすでに紹介しているが，それ以外にもさまざまな作品が持ち込まれていたので，ここでいくつか紹介していこう。

■Winking Entertainment Corporation

「ファイティングサッカーオンライン」

　サッカーをテーマとしたカジュアルなスポーツ系オンラインゲーム。リアルであることよりもゲームっぽさを重視したデザインで，頭身の低いポップなキャラクターによる，映画「少林サッカー」のようなスーパープレイが楽しめる。試合は3対3の少人数での対戦が基本。ゲーム内では日本，アメリカ，スペイン，フランス，中国，韓国の六か国が用意されており，それぞれをモチーフとしたステージやキャラクターが登場する。アバター着せ替えの要素やレベルアップによる成長の要素もあり。ビジネスモデルはアイテム課金タイプ。中国では今冬にも正式サービスが始まる予定だという。


「天関戦記」

　2Dグラフィックスを使用した横スクロールタイプのアクションMMORPG。軽快なアクションで敵を倒す爽快感を重視して作られている。ライバルは「アラド戦記」とのことで，クライアントサイズの小ささや要求されるマシンスペックの低さでは，すでに勝っているという（うーむ視点によっては勝っていると言っていいのか疑問ではある）。クエストの数は600以上用意されており，アラドがやや暗めでハードな画面を特徴とするのに対し，こちらは明るくライトな雰囲気を大切にして作られているという。
　アジア系の作品に出てくるアニメ調キャラクターは，日本人の目から見るとなにかちょっと違和感を感じてしまうものが少なくないが，「天関戦記」の立ち絵はそれらに比べるとなかなか“いい線をいっている”気がする。それについて聞いてみると「グラフィックはすべて自社で作っているが，開発チームの中に以前日本のアーケードゲームの開発を行っていた者が多数いるため，そのためではないか」とのことだった。



■INSREA Game Center Corporation

「神剣Online」

　武侠もののMMORPG。画面は3Dグラフィックスで作られた回転可能な背景に，描き割りタイプのキャラクターを乗せた「ラグナロクオンライン」型の描画スタイル。武侠らしく建物を飛び越えるような大ジャンプが行えるほか，剣の上に乗って空を飛べる。最大100人のNPCを部下として連れ歩くことが可能で，その状態で大規模なPvPも行えるとのことで，画面が大変なことになりそうだ。また「戦闘機甲人」というロボットのようなものへの搭乗も可能だという。



■M-etal

「魔影Online」

　2Dグラフィックス＆横スクロール型のMMORPG。最大の特徴はプレイヤーキャラクターが“変身”すること。プレイヤーキャラクターの基本型としては戦士型，癒し手型，魔法使い型の3タイプがあり，それぞれが人型から，より強力な姿へと変身できる。



■Lager Network Technologies

「King of Kings III」

　フル3DのMMORPG。指定したNPCの場所までキャラクターが自動的に歩いていってくれる機能など，ゲームプレイを楽にする機能が多数搭載されている。特徴的なのは大規模なPvPの仕組みが用意されていることで，ゲーム内には七つの“界”があり，各界のプレイヤー／ギルドはまずその界の覇権を内部で争うことになる。そうして界のトップが決まったら，今度は七つの界の間で争いが起こり，最終的な勝者は神様になれるという。
　よくよく聞いてみたら，これは以前の東京ゲームショウで見た「King of Kings: Gods of Seven Realms」と同じ作品だとのこと。台湾では2008年末，中国では2009年のサービススタートが決定済み。



■MEGA NET＆TECH

「パラセ・ロルンペ 〜空舞魔導陣〜 プレリュード」

　2007年のTGSにも出展されていたアーケードゲーム。ホウキ型のコントローラにまたがって，魔法使い同士が空中戦を行う内容。魔法をチャージするには画面に触れて指で直接マークを描き込まないといけないところがユニークだ。
　去年展示していたのはプロトタイプで，今年のものは日本語版の90％完成バージョンであるとのこと。イメージイラストは日本人イラストレーター まだらさい氏の手による新しいものに差し変わり，声優にも日本人が起用され，このバージョンではキャラクターが日本語でしゃべっていた。
　筐体も完成に近づいているようで，去年のいかにも試作機風なものから，今回はそれらしい形のものへと変わっていた。ホウキもより乗りやすく，安全なものになったそうだ。それ以外にも，タッチパネル画面の認識精度が上がっていたり，魔法が増えていたり，ゲームのスピード感が上がっていたりと，改良点は少なくないという。
　台湾では1週間前からアーケードで稼働開始しており，日本語バージョンは年内にも日本国内でロケテストを行いたいとのことだ。