レビュー
堅実な作りのトラック運送会社経営シミュレーション
フレイト タイクーン 日本語版
さまざまなトラックを駆って会社と町を発展させよう
フレイト タイクーンには,キャンペーンとシングルシナリオの2種類のゲームモードが用意されている。キャンペーンはチュートリアルを含めて全部で21個あり,それぞれ定められた目標を達成することでクリアとなる。一方のシングルシナリオは10個あり,個性的なマップを舞台に1950〜2020年までプレイして,成績を競う。
まずは車庫を用意し,トラックを買うところからゲームが始まる。トラックには,「タンク車」「コンテナ」「オープン」「バン」「材木用」「装甲車」の6種類があり,それぞれ運搬できる荷物が違う。また,例えば同じタンク車でも何車種も用意されており,価格,最大積載量,平均速度が違っている。これらのトラックは,クライアントのニーズに応じて使い分けていかなくてはならない。
もちろん,最初から何台ものトラック購入はできない。少ないトラックをうまく回して仕事をこなしていこう |
トラックの台数をちまちま増やしていくか,お金を貯めて大型のトレーラーを買うか。このあたりも悩みどころ |
トラックは1台につき1人ずつドライバーを配置しないと動かせない。ただし,乗せたいトラックに対応した免許を持っていないと無意味だ。車庫には,トラックを整備・修理する技術者を配置しておく必要がある。管理者は必須ではないが,従業員全体の給料を抑えたり,仕事の効率を上げたりといった効果がある。
従業員は一人一人能力が違う。なるべくなら有能な従業員を選びたいが,顔の好き嫌いで決めるのもアリかも |
ドライバーの能力が上がると,トラックの平均速度は上がり,故障の確率は減少していく |
技術者は車庫に配置する。技術者が有能だと,整備時のタイムロスが減り,経年劣化も抑えられる |
これらの従業員は,雇い続けていると能力がどんどんレベルアップしていく。また,お金が貯まれば会社や車庫をグレードアップして,従業員を増やすことも可能だ。従業員の数が多く,レベルが高いほど,高い経営効率を上げられるのだが,その分サラリーとしての支出も多くなる。会社経営はバランスが大切なのだ。
リスクをどのように判断していくか
企業をクリックすると表示される仕事一覧には,必要なトラックの種類,必要積載量,必要最低速度,報酬などが記載されている。手持ちのトラックに応じて,請けられる運送業務を選んで,契約していこう。
特定企業からの格付けを上げたい場合は,その企業のニーズに合わせてトラックを増やしていくように |
格付けの値が一定に達すると,ブロンズ契約,シルバー契約といった割のいい仕事を請けられるようになる |
制限時間内に品物を運搬できれば契約達成となり,報酬がもらえ,クライアント企業のプレイヤーに対する格付けがアップする。格付けが上がれば上がるほど,より割のいい契約を結べるようになるため,序盤は取引先をいくつかの企業に絞り,そこの格付けを重点的に上げていくといいだろう。
できるだけトラックの性能ギリギリの仕事を請けたほうが報酬効率がいいのは当然だが,それだと何かあったときにすぐ契約違反になってしまう可能性が高い。そうかと言って,かなり余裕のある仕事ばかり請けていると,なかなか会社を成長させられないというわけだ。
同様のジレンマはほかにも存在する。トラックの容量いっぱいの仕事が見つかるまで待つか,荷台に空きはあってもどんどん仕事を入れていくか。こまめに整備を行い,事故の危険を最小限に抑えるか,多少危険はあってもフル回転で使っていくか。このあたりの見極めが本作の醍醐味だ。
契約通りに仕事をこなせなかった場合は,契約違反となり,格付けが下がってしまう。注意が必要だ |
トラックを長く使い続けていると,故障を起こしやすくなる。こまめに車庫で整備を行っていこう |
車庫の追加購入やグレードアップをすると,同時に整備を行えるトラックの台数も増えていく |
物流によって町は変化していく
また時代が進めば,スピードや積載量など性能的に優れた新型トラックが発売される。どのタイミングでトラックを増やすか,いつ経年劣化の進んだ古いトラックと入れ替えていくかなどということもプレイヤーの裁量次第だ。
時代が進むと,高性能のトラックがたくさん発売されるようになる。取引先のニーズに合わせて追加購入していこう |
もちろん,トラックは経年劣化する。台数を増やすだけでなく,古いトラックを買い換えることも必要だ |
ゲームの進行に合わせて環境がどんどん変化し,さらにそれに対応してゲームを進めていく。それがこういった会社運営シミュレーションの醍醐味だが,本作ではそれを運送会社の視点で楽しめる。
見た目とプレイ感覚は非常に地味で,公式サイトにもその旨しっかりと書かれていたりもするのだが,出来は実に堅実。ゲームバランスがよく,一度始めるといつの間にか引き込まれ,延々と遊び続けてしまう。全体的にオーソドックスで,あまり複雑なところもないので,経営シミュレーションゲーム初心者やライトなファンにおすすめしたい作品だ。
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