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追加シナリオ第2弾も高難度「ブリッツクリーグ2:リベレーション 日本語版」のレビューを掲載
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印刷2008/02/27 12:34

レビュー

ヨーロッパ戦線の後期を戦い抜け! 硬派RTSの追加パック第2弾

ブリッツクリーグ2:リベレーション
日本語版

スタンドアロン型の追加キャンペーンパック


橋を守るドイツ軍の頭上に,空挺部隊を載せた連合軍の輸送機が飛来する。橋を明け渡せばドイツ国内への侵攻を許すことに
画像集#001のサムネイル/追加シナリオ第2弾も高難度「ブリッツクリーグ2:リベレーション 日本語版」のレビューを掲載
 第二次世界大戦を取り扱う,ちまちま系ミリタリーRTS。お好きな人にはこのうえなく愛されるが,ダメな人にはとことんダメという,好き嫌いのハッキリ分かれるジャンルであろう。
 登場するのは,さまざまな種類の歩兵と,戦車をはじめとする装甲車両,そして輸送機から降下する空挺部隊。そういった部隊を率い,陣頭指揮を執ることを念頭に置いたゲームだ。資源収集や生産の概念などはなく,初期配備された部隊と援軍により供給されるユニット群を,いかに運用して敵を打ち負かすかというRTSである。
 もともと「クロースコンバット」シリーズによって拓かれたこの小さなジャンルは現在,「サドンストライク」(SS)シリーズと「ブリッツクリーグ」(BK)シリーズが双璧を成している。

 元来非常によく似たゲーム性を持つ両シリーズであったが,互いにブラッシュアップを繰り返すことで,少しずつ差別化がなされてきた印象がある。
 例えばBKシリーズは「2」になって3D化されたことで,以前ほどちまちました印象はなくなっている。また援軍に指揮官を任命することにより,指揮官の経験に応じて援軍ユニットがパワーアップしたりといった,援軍システムの充実度も増している。さらに最近のシリーズでは,ミッションの難度を極端なまでに引き上げることで,独自性をアピールしているようにも感じられる。

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ミリタリーRTSではお馴染みの空挺降下。WW2後期を扱うこの作品では,降下するのはもっぱら連合軍側である
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雪の舞う夜間の戦闘。砲弾の発射や,車両が壊れるときの爆発が,ひときわ派手なものになる

 そんなBKシリーズに新しく「ブリッツクリーグ2:リベレーション」(以下,リベレーション)が加わり,現在ズーから発売されているのでご紹介しよう。

 なおブリッツクリーグ2の過去シリーズについての詳細は,以下のレビューを参照願いたい。

「ブリッツクリーグ2」のレビュー記事


「ブリッツクリーグ2 〜フォール オブ ザ ライヒ〜」のレビュー記事


 リベレーションはBK2の追加パックにあたる。BKシリーズでは伝統的に,追加パックには単体で動作するスタンドアロン型を採用しており,リベレーションもBK2本体を持っていなくてもプレイが可能だ。
 リベレーションは追加パックとはいえ,ユニット類の追加などはなく,追加キャンペーンがメインコンテンツだ。それ以外では,マルチプレイ用に新しく28マップが追加されているほか,細かいところでは歴史情報ボタンが追加され,戦略マップや作戦内容,時代背景といったものを参照できるようになっている。このあたりは,本シリーズではお馴染みの「兵器事典」と同様,ミリタリーファン向けのサービスといったところだろうか。作戦やその背景を深く知ることで,キャンペーンがより面白さを増すことは間違いない。
 またチュートリアルももちろん用意されており,ユニットの移動といった基本的なことから,工兵を使った地雷設置や塹壕堀り,空挺部隊の降下といった高度なものまで,ひととおり習得できる。こういった部分に手抜かりがないのもBKシリーズの魅力だ。

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新しく追加された「歴史情報ボタン」を押すと,戦略マップが表示されて作戦の詳細などが確認できる
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援軍のアップグレード画面。新しい種類のユニットの獲得や,援軍ユニットのアップグレードなどが可能
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工場地帯での激しい戦闘。視界を確保する歩兵が先にやられると,一方的に撃たれるケースも少なくない
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BKシリーズではお馴染みの「兵器事典」。BK2に登場するあらゆる兵器の情報が満載で,資料としても便利


第二次世界大戦後半の魅力的な作戦が4本収録


街灯がぼんやりと光り,幻想的な風景を醸し出す。こんなところで血生臭い戦闘などしたくないのだが……
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 さてリベレーションでは第二次大戦後半における作戦が,連合軍と枢軸軍に各2本,合計で4本の追加キャンペーンとして用意されている。BKシリーズは,ゲーム性を追求するあまり歴史とかけ離れたミッション構成になっていたりせず,ありえないような設定は割と抑えられている印象がある。もちろんゲームなので完全な再現というわけにはいかないのだが,そうした面もBKシリーズの独自性をアピールするものである。

・連合軍キャンペーン

 連合軍キャンペーンには,1943年のイタリアを舞台とするサレルノ上陸作戦(アヴァランチ作戦)と,上陸作戦後のノルマンディ周辺での作戦を扱ったものが用意されている。

 アヴァランチ作戦は,英チャーチル首相が「ヨーロッパの下腹部」と呼んだイタリアへの上陸を果たした作戦だ。
 イタリアは細長い半島なので,西海岸にあるサレルノに上陸後,イタリアの中央付近を横断し,東海岸まで前線を延伸,イタリアに駐留するドイツ軍をイタリア南部へ封じ込めようとしたのである。だがいざ上陸してみると,そこまで柔らかいものではなく,ドイツ軍との激しい戦闘になるのであった……というシナリオ。

 ノルマンディについては,上陸作戦がもはや説明の必要もないほど有名なフランス北部の激戦地だが,このキャンペーンでは上陸後のノルマンディ周辺に残留するドイツ軍部隊との戦いが描かれている。

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時間の制限があるミッションでは,慎重に視界の確保を……などと言ってられない場合も。突撃あるのみ?
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連合軍の防衛線に迫り来る,多数のドイツ軍部隊。こういう場合は戦車よりも対戦車砲のほうが頼りになる

・枢軸軍キャンペーン

 一方の枢軸軍キャンペーンには,往年の名作映画「遠すぎた橋」で有名な,マーケット・ガーデン作戦を扱ったものと,ドイツ軍が1944年の冬に大反撃を試みるバルジの戦い(ラインの守り作戦)を扱ったものが取り上げられている。

 マーケット・ガーデン作戦はイギリスのモントゴメリー元帥の立案による,連合軍の大規模な作戦だ。オランダ解放とドイツ国内への進軍に向け,空挺部隊を大量に降下させてオランダ国内の数多くの橋を同時に奪取し,橋頭堡を築くというものだった。枢軸キャンペーンなので,これを迎え撃つドイツ軍側でのプレイとなる。
 連合軍は,この作戦を成功させて一気にドイツ国内へ侵攻を進める計画だったわけだが,作戦の失敗により大損害を被り,北方ルートからのドイツ国内への侵攻は膠着し,さらにこの後続くバルジの戦いのきっかけにもなった。南方ルートからドイツに駒を進めていた,パットン率いる部隊に先を越されまいとする焦りもあっての,無謀ともいえる作戦だったのだ。

 バルジの戦いは,マーケット・ガーデン作戦で疲弊した西部戦線北方の連合国軍を壊滅させ,戦局を好転させようという,ドイツ軍最後の大攻勢である。ドイツ軍はなけなしの約20個もの精鋭師団を編成し,ベルギーはアルデンヌの深い森を抜け,アントワープを奪還せんとした。いわばドイツ軍の最後の悪あがきだったわけだが,この作戦が失敗に終わったことにより,余力が尽きたドイツ軍の敗北が決定づけられたのは歴史が語るとおり。

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鉄壁の守りとはいえ,とにかく多数の敵が押し寄せてくる。橋頭保を明け渡すのも時間の問題なのだろうか
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指揮官として任命しておくと,そのユニットをアップグレードしたあともレベルや経験値を継承できる

 こうした作戦を扱った魅力的な4本のキャンペーンは,それぞれ四つのミッションから構成されており,計16のミッションが楽しめる。これは一つ前の追加パック「ブリッツクリーグ2 〜フォール オブ ザ ライヒ〜」と同じミッション数である。数だけを見ればやや少なめに感じるが,すぐにクリアしてしまった……ということにはたぶんならないだろう。

 どうやらBKシリーズは「2」になって以降,ミッション数を少なくする代わりに,難度を極端に高めるという手法にシフトしているようである。市街戦ならではの死角といい,砲台の配置といい,とにかく難しく一筋縄でいかないミッションばかりで,レビューのためにプレイする筆者も涙目なのである。
 パズルのように緻密にユニットを進めなければいけないミッションもあれば,時間制限があって慎重なプレイではどうにもクリアできなかったり(そんなときは援軍を呼びまくってゴリ押し)と,とにかくきつい。前述の「フォール オブ ザ ライヒ」でも難度について警鐘を鳴らしたが,今回もやはり「ミリタリーRTS上級者向け」なのである(とはいえ,前作よりはやや難度が低めと感じた)。

 BK1時代の追加パックは,ドイツのロンメル将軍やアメリカのパットン将軍といった名将の辿った軌跡を追ったものが多く,非常にドラマチックな展開を楽しませてくれた。しかしBK2の追加パックはというと,やたら難度を引き上げて,少ないミッション数の間を持たせるといった感がぬぐえない。
 実際のところ16のミッションすべてをクリアするには,それなりの時間を要することになるはずだ。もっとも,ユニット数さえ揃えれば勝てるという種類のゲームではないため,さまざまな戦術を練って楽しむということに関しては,これ以上のゲームはないだろう。攻略ルートを変えてみたり,援軍のユニットを変えてみたり,ユニットの布陣を変えてみたりと,リプレイ性は総じて高いといえる。

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このようなごちゃごちゃした場所に戦車隊を持っていくと,かなりイライラする状況が待ち構えている
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有効な榴弾砲を持っていない場合,塹壕に籠もった敵は非常にやっかいである。対戦車砲の配置もいやらしい


今回もやはり上級者向け。硬派RTSここに極まれり


偵察機で索敵し,野砲による集中砲火を加える。もちろん,こんなふうにうまくいくことは稀である
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 上級者をも唸らす硬派なBK2シリーズではあるが,どうしても筆者が受け入れ難い部分がある。それはミリタリーRTSではよくあることだが,装甲車両の挙動が納得のいくものではないのである。例えば街中で戦車を前進させれば,建物の陰に潜んでいた敵の歩兵がうじゃうじゃと迫ってくる。こりゃまずいと思って後退させようにも,そのままバックしてくれればいいものを,車体をその場で旋回させて後方へ下がろうとするため,その間に歩兵の手榴弾で破壊されてしまうのだ。
 複数の車体をグループ化して移動させたり,交戦になったりした場合も,先頭車両が攻撃のため停止すれば,後続の車両はまたもモッサリと旋回して,敵に装甲の弱い部分を晒してしまい,貴重な戦車を失うといった具合で,かなりストレスが溜まる。
 つまり,大したミスをしなくとも装甲ユニットの消費が激しくなるわけで,結果的には悪い意味でゲームの難度を引き上げる要因にもなっている。フィールド戦ならまだしも,今回の追加パックのように市街戦が多くなると,これは大きな問題だ。このあたりはAIのさらなる改善に期待したい。

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ブリーフィングでは章マップと簡単な説明が表示される。使用できる援軍の種類や数はミッションごとに異なっている
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橋の支配権を奪取せんと,怒涛のごとく押し寄せる連合軍兵士。食い止める方法があるのだろうか……?

 とはいえ,ゲームシステム自体はすでに成熟した感のあるジャンルにおける代表作の一つであり,上述した以外に大きな不満点はない。強いていえば一度大砲に配備した兵士は元に戻せないとか,その程度のことである。異なったタイプのユニットをグループ化(例えば歩兵と戦車など)すれば,最も移動の遅いユニットにスピードが合わせられる点も評価が高い。援軍に司令官を任命してパワーアップできるなど,援軍システムも充実している。
 グラフィックス面では,3D描画になってもヨーロッパの美しい街並みは2Dの頃のように緻密だ。最新の3D RTSのような派手さはないものの,戦場を表現するに十分な描写がなされている。またサウンドも文句なく,爆発音や砲弾の砲声など,戦場の臨場感を十分に感じさせてくれる。ただ歩兵のセリフがやや単調である点は指摘しておきたい。

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敵を待ち伏せしたにもかかわらず,援軍の到着が間に合わず危機的な状況へ。援軍を惜しみなく使うことも重要だ
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雪の積もった木をなぎ倒しながら進む戦車隊。地味ながら「ばふっ」という感じの雪のエフェクトが見ものなのだ

 リベレーションは基本的に,BK2本体とキャンペーン内容が入れ替えられ,マルチプレイ用マップが追加され,「歴史情報ボタン」を付けたものと思って差し支えない。チュートリアルや兵器事典などはBK2本体のものをそのまま流用したものだ。
 BK2本体を持っている人にとっては,追加キャンペーンのみを目的として購入することになるが,やはり割高感を拭うことはできないだろう。これがBKシリーズの伝統とはいえ,開発元のCDVやNival Interactiveには販売戦略の改善を望みたい。

 若干不満な点はあるものの,攻略しがいのあるミッションの揃った追加キャンペーンパックであり,ミリタリーRTS上級者にぜひプレイしてもらいたい作品である。ミリタリーRTSの入門用としては,リベレーションよりもBK2本体(これだけで68ものミッションが盛り込まれている)をまずお勧めしたい。

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戦績に応じて,さまざまな勲章が授与される。これを集めるのもBKシリーズの楽しみ方の一つだ
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距離のある敵を攻撃できる野砲は,敵防衛線を崩す極めて有効な攻撃手段だが,発射すればこちらの位置が推定されてしまう
  • 関連タイトル:

    ブリッツクリーグ2:リベレーション 日本語版

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