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印刷2023/01/05 17:49

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世界最速リフレッシュレートのeスポーツディスプレイや驚くほど鮮明な裸眼立体視対応ノートPCまで,注目すべきASUSの2023年新製品はこれだ

CES 2023のASUSブース
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 ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,1月5日に米国・ラスベガスで開幕する大規模展示会「CES 2023」に先立ち,同社ブースを報道関係者向けに公開した。本稿では,ASUSブースで披露されていたゲーマー向け製品の見どころを,簡単に紹介したい。
 なお,製品発表に関する記事は掲載済みなので,未見の方はそちらも合わせて参照してほしい。

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[2023/01/04 12:39]


Dellから世界最速の座を奪った540Hzディスプレイ

ROG Swift Pro PG248QP


 ASUSブースのゲーマー向け製品エリアに入ってすぐのところには,垂直最大リフレッシュレート540Hzを誇るeスポーツゲーマー向けTN方式液晶ディスプレイ「ROG Swift Pro PG248QP」(以下,PG248QP)の展示があった。

「WORLD'S FASTEST ESPORTS DISPLAY」と誇らしげに掲げたPG248QPの展示。左がPG248QPで,右は比較用の144Hz表示ディスプレイだ
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 ちなみにPG248QPが発表となる2時間前には,Dellがリフレッシュレート世界最速を謳って,垂直最大500HzのIPS方式液晶ディスプレイ「Alienware 500Hz Gaming Monitor」を発表していた。ASUSも狙ったわけではないだろうが,わずか2時間でDellが世界最速の座を奪われたいうのは,なんとも面白い話だ。

 展示は,PG248QPを,リフレッシュレート144Hz表示の液晶ディスプレイと並べて,映像の見え方にどのような違いがあるかをデモで見せていた。デモは,頭上に名前を表示したキャラクターが,左から右に流れていくので,その残像感やブレの違いを見るという至ってシンプルなものだ。

 実際に目で見ると違いはまさに一目瞭然で,PG248QPの滑らかな動きを見たあとに144Hzを見ると,キャラクターや文字が横にブレたように見えるのだ。これだけ差があると,たしかにeスポーツのプロプレイヤーであれば,戦績に差が出てくるかもしれない。
 デモの様子を動画で撮影してみた。動画のフレームレートが60fpsでしか撮影できなかったので,あまり違いは分からないかもしれないが,雰囲気だけでもつかめれば幸いだ。


 リフレッシュレートの速さに特化した製品なので,画面サイズは24.1インチ,解像度は1920×1080ドットのフルHDと,映像美を堪能する用途に適した製品ではない。
 そのほかの特徴としては,NVIDIA独自のシステム遅延計測技術「NVIDIA Reflex Analyzer」に対応しており,同技術に対応するマウスと組み合わせると,マウスボタンを押してから,画面に映像として反映されるまでのシステム遅延全体を計測する用途にも利用できる点が挙げられる。
 また,NVIDIA独自のディスプレイ同期技術「G-SYNC」にも対応するが,リフレッシュレートが高くなるとG-SYNCの効果はあまり体感できなくなるので,大きな利点……というほどではない。サウンド技術の企業であるESS Technology製のDAC(サウンドチップ)を内蔵しているのも特徴で,音声出力の遅延を短縮しているほか,銃声や足音といった音声を聞き取りやすくする機能も備えるそうだ。

 価格は明らかになっていないが,2023年第2四半期の発売を目標としているそうだ。eスポーツの競技シーンで戦うゲーマーなら,注目しておく価値がある製品だろう。


これで練習するとエイムがうまくなる?

ROG Harpe Ace Aim Lab Edition


 eスポーツ向けの周辺機器としては,エイム練習サービスの「Aim Lab」と共同開発したというゲーマー向けワイヤレス&ワイヤードマウス「ROG Harpe Ace Aim Lab Edition Gaming Mouse」(以下,Harpe Ace)と,布製マウスパッド「ROG Hone Ace Aim Lab Edition」(以下,Hone Ace)という面白そうな製品の展示もあった。

マウスパッドのHone Aceと,その上に置かれたHarpe Ace。マウスパッドの手前に書かれた目盛りの線も,Aim Labでの練習に使うものだ
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 Aim Labとは,とくにFPSやTPSにおけるエイムの精度や速さを軸に,プレイの正確さと速さを訓練するソフトウェアと関連サービスをまとめたソリューションで,State Space Labという企業が提供している(関連記事1関連記事2)。
 簡単に言えば,eスポーツプレイヤー向けのトレーニングソフトである。

 マウスのHarpe Aceは,Aim Lab向けの専用設定ソフトと組み合わせることで,Aim Labでの練習に最適化した設定が行えるというもの。重量約54gと,ワイヤレスマウスとしては軽量な点も特徴だ。

Harpe Ace。つかみ持ちやつまみ持ちに適した形状と重量バランスをしているとのこと。スクロールホイールにはカラーLEDイルミネーションが組み込まれており,派手なデザインのバリエーション(写真奥)も用意するという。ちなみに,メインボタン表面には滑り止め加工が施されているそうだ
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Harpe Aceの底面側。メインの使用法は独自方式ワイヤレス接続であるが,USBによる有線接続や,Bluetooth接続にも対応する。また,トラッキング解像度(DPI)の切り替えボタンもある
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Aim Labによるトレーニング画面のひとつ
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打鍵感にこだわったワイヤレス10キーレス

ROG Azoth Gaming Keyboard


 キーボードにも,こだわりを感じさせる新製品が登場した。それが「ROG Azoth Gaming Keyboard」(エイゾスと発音していた。以下 Azoth)だ。

Azoth
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 Azothにはさまざまなこだわりのポイントがあるが,その1つが打鍵感の心地よさを追求した構造だ。Azothでは,キースイッチを並べた基板の下に,3層もの衝撃吸収用のシート状素材を重ねている。これにより,キーを叩いてもソフトに受け止めるので,良好な打鍵感を得られるというわけだ。

Azothを3枚に分解した状態。左から第三層がある底面側,第二層のシート,キーと基板の下にシートを貼り付けた第一層だ
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第二層(左)や第三層(右)には,ソフトな素材が使われていた
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 こだわりポイントの2つめは,カスタマイズ用の小道具が充実している点にある。付属品には,交換用キースイッチやキーキャップ引き抜き器,さらに清掃用具まで入っており,ユーザーによるキースイッチの交換と,それに合わせたクリーニングも行えるようになっているのだ。

 ギミック的に面白いのは,本体右奥にある小型の白黒有機ELディスプレイだ。右側面の奥側にあるダイヤル状のスイッチとボタンを使って,キーボードの設定やLEDの表示内容をカスタマイズできるというものだ。

小型ディスプレイを使って設定項目を確認している様子。音量調整(左)やLEDイルミネーションの輝度(右),メディアコントロールなども行える。ちょっとしたアニメーションを表示しておくことも可能だ
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 キーボードではもう1つ,いわゆる65%サイズのミニキーボード「ROG Falchion Ace」(以下, Falchion Ace)も面白い。

Falchion Aceのホワイトモデル。ブラックモデルとの2色展開だ
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 ASUS独自のメカニカルスイッチ「ROG NX Mechanical Switch」を採用する本製品は,キーボード左側面にタッチパネルを組み込んでおり,ここで指を前後に動かすと,PCの音量調整を行えるのだ。タッチパネルに割り当てる機能は,ユーザーがカスタマイズできるとのこと。

左側面に並ぶ小さなLEDの列がタッチパネルのある部分だ
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 さらに,2台のPCで1台のFalchion Aceを共有する機能もある。Falchion Aceは,キーボード背面に2つのUSB Type-Cポートを備えており,それぞれを異なるPCとUSB接続しておける。そして,背面にあるスライドスイッチを左右に切り替えることで,どちらにつないだPCで使用するかを切り替えられるのだ。

背面の左右端にUSB Type-Cポートが1つずつある。それぞれを異なるPCと接続して,中央にあるスライドスイッチで,どちらのPCで使うかを決められる仕組みだ
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 ギミックとしては単純であるが,2台のPCを使い分けている人なら,1台のキーボードで済ませられるこの機能は,なかなか便利に感じるのではないだろうか。


ESSのサウンドチップを搭載する多機能キーパッド

ROG Raikiri Pro


 「ROG Raikiri Pro」(アールオージー・ライキリ・プロ,以下 Raikiri Pro)は,PC向けのワイヤレス&ワイヤードゲームパッドである。PCとの接続は,低遅延の独自方式ワイヤレス接続と,Bluetooth接続,USB Type-Cケーブルによる有線接続の3方式を利用できる。

Raikiri Pro
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 最大の特徴は,Azothと同様に小型の有機ELディスプレイを搭載しており,本体奥側のボタンと組み合わせて,ゲームパッド単独で設定をカスタマイズできる点にある。ゲームをプレイ中でも,画面を設定ソフトに切り替えることなく,ゲームパッド上で設定を切り替えられるのは,なかなか便利そうだ。

左右バンパーの間,USB Type-Cポートの左右にある小さなボタン(左)で,内蔵する設定にアクセスできる(右)
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 Raikiri Proは,底面にも特徴が2つある。まず,ユーザーが機能割り当てをカスタマイズ可能なパドル型ボタンを,左右2つずつの計4つ備えていることだ。
 さらに,左右トリガーボタンの根元にあるスライドスイッチを切り替えることで,トリガーボタンの押し込み範囲を,浅い/深いの2段階で切り替えられる。FPSでは浅めにしてすばやく射撃できるようにしたり,ドライブゲームでは深くして細かいスピード調整を行ったりできるわけだ。

Raikiri Proの底面。4つのパドル型ボタンが目を引く。トリガーの根元にある溝と突起が,押し込み範囲を切り替えるスイッチだ
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ヘッドセット接続用の3.5mmミニピン端子を装備
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 そのほかにも,ESS Technology製のサウンドチップを内蔵しており,ゲームパッド手前側のヘッドセット端子に接続したヘッドセットやヘッドフォンを使って,バーチャルサラウンドサウンド再生を行える点も特徴の1つである。
 ゲームパッド側に高音質かつ高機能なサウンドチップを内蔵するのは,なかなか珍しい特徴だ。


鮮明な立体映像を裸眼で見られるクリエイター向けノートPCが登場


 もう1つ,ゲーマー向け製品ではないが,非常に魅力的な機能を備えたノートPCがあったので紹介しておこう。
 それは,ASUSのコンテンツクリエイター向けブランド「ProArt」から登場した「ProArt Studiobook 16 3D OLED」である。名前でピンときた人もいるだろうが,本製品は16インチサイズで解像度3200×2000ドット,最大リフレッシュレート120Hzの有機ELディスプレイを用いた裸眼立体視を行えるのが特徴だ。

ProArt Studiobook 16 3D OLED
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 なにより素晴らしいのは,極めて自然で精細感のある立体映像を表示できること。いっとき流行った3D映像などに比べて,画質や立体感が桁違いである。ディスプレイのベゼル上側に内蔵した視線追跡用カメラと組み合わせて,PCの前にいるユーザーに向けて,自然な立体映像を映し出す。
 デモでは,他社製の空中で操作できるスタイラス(ペン)を使い,立体映像内のものをつかんで動かしたり,見やすい向きに変えたりできたのだが,奥行き感の表現は実に素晴らしい。高精細なので,立体映像の細部まで鮮明に見られる。
 これまでの裸眼立体視に失望したことのある人ほど,ProArt Studiobook 16 3D OLEDの立体映像には驚かされるのではないだろうか。

写真右に見えるペンを使って,映像内のロボットハンドを動かしている様子。部品をつかんで手前に持ってくれば,自然に拡大して見られるし,奥に放り投げれば,そのとおりに奥へと飛んでいく
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 CPUに「Core i9-13980HX」を,GPUには「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を採用しているので,ゲームにも十分対応可能なスペックを有するが,本機はあくまでもコンテンツクリエイターや,クリエイターと共同作業を行うビジネスユーザー向けの製品だ。そこで,本製品の説明員に,ゲーマー向けに展開する可能性はあるかと聞いてみたが,残念ながら,今のところその予定はないとのことだった。
 ただ,SteamVRに対応することは可能なので,VRゲームを裸眼立体視ディスプレイ上でプレイすることはできるということだった。

 裸眼立体視の場合,立体映像の処理にかなりのGPU性能が必要であること,表示遅延が多少存在することもあって,ゲーマー向けに用いるのは難しい面があるだろう(※当然ながら製品価格も高い)。しかし,Acerが2022年から裸眼立体視に対応するディスプレイやゲーマー向けノートPCを展開していることもあり,ゲーマー向けのニッチな製品で,裸眼立体視が盛り上がってくる可能性はあるかもしれない。

 そのほかにもASUSブースには,興味深い製品があったので,いくつか写真で紹介しておこう。

持ち運びに適した重量2kg未満の14インチゲーマー向けノートPC「ROG Zephyrus G14」の2023年モデル。2kg未満のボディに,ノートPC向けでは最高性能のGPU「GeForce RTX 4090 Laptop GPU」まで搭載しているのが特徴で,初めに見たときは,「資料が間違っているのではないか?」と思ったほどの小さなモンスターマシンだ。ただし,発熱はかなりのもので,排気孔付近はかなり熱くなる
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Intelの第13世代Coreプロセッサに対応する「Intel H770」チップセットを搭載するマザーボード「TUF GAMING H770-PRO WiFi
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同じく,「Intel B760」チップセット搭載マザーボードの「TUF GAMING B760-PLUS WIFI D4」。2023年には,Intel 700シリーズのマザーボードも一挙に増えそうで,自作PCを検討しているゲーマーにとっては,選択肢が増えるのはありがたいことだ
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