レビュー
爽快な“スウィング”が病み付きになるアクションゲーム,「バイオニック コマンドー」のレビューを掲載
なお,海外ではPC版も発売されているが,日本での発売は現在のところ未定となっている。
本稿ではXbox 360版を実際にプレイした感想を交えつつ,ゲームの概要と魅力を紹介していこう。
大量破壊兵器により廃墟と化した都市を舞台に
再びバイオニック コマンドーの戦いが始まる!
しかしスペンサーの処刑当日,テロ組織が“アセンション・シティ”で大量破壊兵器を使用。その爆発によって大地震が発生し,住民は全滅。街は廃墟と化した。
街の防空システムもテロ組織の手に落ち,アメリカ連邦国(アメリカ合衆国崩壊後に樹立された連邦国家)に残された選択肢はもはや一つ。廃墟と化した街に潜入し,テロ組織に対し内部から攻撃を仕掛けること。
そしてそれは,バイオニック技術によって身体を強化された“バイオニック コマンドー”にしかできない任務だった……。
以上のように,本作は「ヒットラーの復活」の続編ということで,ストーリーが繋がっている。前作のファンはもちろんだが,イベントムービーや登場人物達の会話によって大体の流れは把握できるので,前作をプレイしていない人でも問題なく楽しめるだろう。
バイオニック・アームを駆使した豪快なアクションが本作の特徴で,至るところに存在する“フックポイント”へワイヤーを射出することによって,ビルからビルへと飛び移ったり,凄まじいパワーで敵や車を投げ飛ばしたりと,さまざまな活用法が存在する。
基本的にはTPS(サードパーソンシューティング)で,戦闘での攻撃手段は格闘と銃撃がメインになるのだが,多数の敵に囲まれたり,銃弾の効きにくい機械式格闘スーツ“バイオメック”を装備した敵が出てきたりと,バイオニック・アームをうまく活用しなければ攻略の難しい場面も多々あるのだ。
ゲーム中では連続でスウィングを成功させなければならない難関も多く,とにかく死ぬ。プレイヤーは数多の失敗を重ねることにより,体でタイミングを覚えていくのである。もしも初プレイで完璧にスウィングアクションを使いこなせる人がいたら,それこそターザン並の野生児かエスパーだ。ゲームで遊んでいるより,その力を役立てる場所を探すのが世のためかもしれない。
まぁ冗談はさておき,確かにアクの強い操作感ではあるが,慣れてしまえばフィールドを縦横無尽に飛びまわれるその感覚が病みつきになるはず。ワイヤーアクションで空を舞う快感とスリルは,本作でしか味わえない魅力といってもいいだろう。
そのほかにも,特定のオブジェクトや敵を引き寄せる“リップ”や,ワイヤーの反動を利用して強烈な飛び蹴りを食らわせる“ジップキック”,遠くへぶん投げる“スロー・スマッシュ”,空中に放り上げる“カイティング”,岩や車を打ち上げて殴り飛ばす“パンチアップ”など,バイオニック・アームを使ったアクションはかなり多彩。
しかしゲーム開始直後のスペンサーは,長年バイオニック・アームを取り外されていたせいか使い方をほとんど忘れており,大半のアクションはストーリーが進行することで次第に思い出していく。敵を倒すことで溜まっていく“アドレナリン”を消費して発動する特殊攻撃なども,序盤では使用できないようになっている。
また,攻撃してくる敵の存在以外にも,廃墟と化した街には危険が溢れている。大量破壊兵器の影響で随所に放射能が残っており,汚染エリアに長く留まるとスペンサーは死んでしまうのだ。さらに,バイオニック・アームが非常に重いため,スペンサーは泳ぐことができず,水に落ちた場合,素早くフックポイントを見つけて脱出しなければ溺死してしまう。
体を機械化されたバイオニック コマンドーだって,人間には変わりない。意外と弱点も多いのである。
もう一つ本作で特徴的な要素として,“チャレンジ”が挙げられる。本筋のミッションや目標には直接関係しない任務で,その内容は「スウィングを3回連続で成功させる」「ヘッドショットで歩兵を50人倒す」などさまざま。達成するとまた新たなチャレンジが出現するほか,武器の命中率や装弾数がアップするといった報酬が得られることもある。
普通にプレイしているだけで自然と達成してしまうチャレンジから,意識して挑まないと難しいものまで,かなり豊富に用意されているのでやり込み要素として非常に面白い。
大味ながらも気軽に楽しめるネットワーク対戦
バイオニック コマンドー同士の戦いは白熱必至!
ネットワーク対戦も本作の魅力の一つだ。最大8人まで参加可能で,バトルロイヤル形式の「デスマッチ」,チームで戦う「チーム・デスマッチ」,敵のフラッグを奪って拠点に運ぶ「キャプチャー・ザ・フラッグ」という,FPS/TPSではお馴染みのゲームモードを楽しむことができる。
もちろんここで使用キャラクターになるのもバイオニックコマンドーであり,バイオニック・アームを使ったさまざまなアクションを駆使して戦うことができる。
しかし,原色バリバリの量産型デザインからして一般兵(?)らしく,“パンチアップ”“リップ”“スロー・スマッシュ”“カイティング”の四つは使用できない。本編のスペンサーはやはり特別優秀なバイオニック コマンドーだったということだろう。
お互いにスウィングアクションを駆使しての戦いとなるので,一般的なTPSとはまた違ったプレイ感覚が楽しめるというところが,最大の魅力であり特徴でもある。ワイヤーでぶら下がったまま狙い撃ちしたり,相手を掴んで奇襲を仕掛けたりと多彩な戦法がとれるわけだ。
武器やアーマー,回復アイテムは各フィールドの決まった場所に配置されているので,いかに素早く強力な装備を獲得するかが勝負の分かれ目になるだろう。スウィングテクニックの見せ所である。
スナイパーライフルによる攻撃はヘッドショットが決まらなくても一撃死だったり,対戦でアンロックされる要素がなかったりと,細やかな趣に欠けるところもあるのだが,それはそれで,初心者でも気軽に楽しめるバランスと言えなくもない。
問題点を挙げるとするならば,対戦人口の少なさだろう。時間帯によっては,1時間以上待っても8人集まらないことが多々ある。また,ときどきラグでスウィング中のキャラクターがカクつくのも気になった。
快適にネットワーク対戦を楽しみたいのならば,比較的人の多い夜を狙うか,ソフトを持っているフレンドに声をかけたほうがいいかもしれない。
見た目は地味だがしっかりした良作
骨太なアクションが好きならオススメ
しかし,ローディングが少々長めでストレスを感じることがたまにあること,敵のリアクションが希薄で倒したときの爽快感が足りないことなどが若干気になった。
ビジュアル的にはどうしても地味な雰囲気が否めない作品で,実際にプレイしてみないことにはその魅力を実感できないかもしれない。とはいえ,出来の良い正統派アクションであることは間違いないので,ぜひとも一度はバイオニック・アームによる豪快なアクションを体験してみてほしい。
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(c) CAPCOM CO., LTD. 2009 ALL RIGHTS RESERVED.
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