「プロから学ぶ，e-スポーツセミナー＆ワークショップ」をレポート。韓国の女性eスポーツプロチーム「ROX Caracal」が，近年のeスポーツ事情を語った

　Yes! E-Sports Asia Holdings Limitedは2019年6月28日，現役のeスポーツ選手とコーチを招待しての「プロから学ぶ，e-スポーツセミナー＆ワークショップ」を，東京大学の伊藤国際学術研究センターにて開催した。


　当日は韓国のROX Gamingに所属する「リーグ・オブ・レジェンド」（以下，LoL）の女性プロeスポーツチーム「ROX Caracal」とそのコーチLee Hyeon-beom氏を招き，eスポーツにまつわるトークを行った。本稿ではその模様をレポートする。

左からROX CaracalのJUDY選手，YORDLE選手，KYRA選手，SOL選手，WONY選手

ROX Caracalコーチの“MIRACLE”ことLee Hyeon-beom氏

　JUDY選手，YORDLE選手，KYRA選手，SOL選手，WONY選手の5人のメンバーと，コーチのLee氏で構成されるROX Caracal。韓国では唯一の女性プロチームだ。
　メンバーは全員が合宿所で生活をしていて，食事と睡眠時以外はゲームプレイの練習漬けの毎日を送っている。休みは週末に設けられていて，大会中などはその時間も個人練習にあてることが多いそうだが，一方でeスポーツを続けていくためには，しっかりと休みを取ることも大事だと述べている。


　また普段の生活ではチームワークを高めるために，Lee氏も含め対話をすることを大事にしているとKYRA選手。自分たちが出場しない大会なども，メンバーが揃って会話をしながら観戦しているとのことだ。
　現在韓国にプロとして存在する女性チームはROX Caracalのみだが，大会などにはプロになっていないチームも多く参戦していて，その数は30チーム前後にも及ぶという。自分たちの存在によって，もっと女性のプロチームが出てきてほしいとも述べている。

ROX Caracalの活動の様子を撮影した動画も披露された

　プロゲーマーという職業を目指すことについて尋ねられると，必要なのは「優れた実力」と「強いメンタルやストレスに対する耐性」だと選手達は返答した。これらは鍛えることで身に付くものではあるが，多少なりとも生まれ持ったものが必要なのではないかとも語っていた。

　またROX Caracalから見た現在の日本のプロリーグについては，「近年日本のリーグはかなりレベルが高くなっている」とLee氏。これまではDetonatioN Gamingの強さが目立っていたが，最近はV3 Esportsなどをはじめとする他のチームも力を付けていて，次の世界レベルの大会でもそれらのチームが実力を見せるのではないかと話した。

　自分たちが挑むLoLという作品については，「とにかく完成度の高いゲーム」であり，とくに対戦が好きな人にはうってつけのタイトルだと選手達は述べる。100人以上のチャンピオンが存在しているので飽きずにプレイができ，チームで勝利したときの達成感は格別だと答えている。
　ちなみに選手それぞれの思い入れのあるチャンピオンはJUDY選手はティーモ，YORDLE選手はケネン，KYRA選手はスレッシュ，SOL選手はルル，WONY選手はガレン，Lee氏はシヴァーナとのことだが，これはあくまで最初に使った思い入れのあるチャンピオンであり，もし初めてLoLをプレイするのであればアッシュやガレン，ヤスオ，ルシアンなどを勧めている。


　最後に選手達に向けて，今心に抱いている夢についての質問が上がった。直近の夢としては，今年9月に行われる「GIRLGAMER Seoul Festival」で優勝することだが，将来的にはROX Caracalが韓国の Challengers Koreaに合流して，男性のチームと一緒に対戦をすることが目標だと答えた。またLoLのチーム，あるいは各ポジションの最高の選手となり，顔を見ただけでLoLの選手だと気づいてもらえるような存在に成長することが全員の夢だそうだ。

　Leeコーチは，ここ数年にかけて日本のeスポーツの市場の拡大を地元の韓国でも感じていて，次に来日するときはさらに多くのeスポーツを目指す人やeスポーツファンとの交流を楽しみにしているとメッセージを贈り，トークを締めくくった。

「Yes! E-sports Asia Holdings（YEAH）」公式サイト