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印刷2010/04/05 17:15

連載

海外ゲーム四天王 / 第39回:「Aliens vs. Predator」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第39回:今週の三つ巴の大騒ぎ:「Aliens vs. Predator」
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 キングコング対ゴジラ,フレディ対ジェイソンなど,有名人(モンスター)同士を激突させて雌雄を決しようという企画はいくつもあるが,今回の「海外ゲーム四天王」は,そんな中でも最も成功した一つ,エイリアンとプレデターの戦いを描く「Aliens vs. Predator」を紹介しよう。
 タイトルに出てこなくて気の毒だが,2種類の凶悪異星人に植民地海兵隊を加えた3勢力が,それぞれの個性/特技を生かして激しく戦うところが魅力となる本作を,「オレはやっぱりプレデター派」というライターのKobs氏が紹介する。

あなたはエイリアン派? プレデター派? それともマリーン派? 個性あふれる3勢力が激突する夢の顔合わせ

 

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 「エイリアン」,そして「プレデター」といえば,1980年代のハリウッド製映画の中でも,存在感と凶悪さで一,二を争うキャラクターとして人気が高い。エイリアンの二段構えの口からネバネバの唾液が滴って頭にポタリ! と落ちる夢を見た人も多いことだろうし,プレデターに生皮を剥がされて木に吊るされる夢を見たことのある人も多いだろう。は,私だけ? まあ,最近のお若い方はリアルタイムで映画を観ていないということもあるかもしれない。

 

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 そんな,十分すぎるインパクトを持ったこの二人,というか二種族を戦わせてみよう的な試みは,コミックスを皮切りにさまざまなメディアで行われ,ついには映画作品まで制作されるほど成功した。
 当然のように,ゲームでもこの流れに乗ったタイトルは数多く,例えばカプコンのアーケードゲーム「エイリアンVSプレデター」(1994年)を思い出す人も多いはず。
 そんな中,イギリスのRebellion Developmentsが1994年にリリースした「Alien vs Predator」は,対応機種がATARIのJaguarという微妙すぎるハードだったものの,メディアやプレイヤーからそれなりの評価を獲得し,続編が次々に制作されることになった。今回紹介する「Aliens vs. Predator」は,Rebellionが1999年にリリースした「Aliens versus Predator」(現在も「Aliens versus Predator Classic 2000」として「Steam」などから入手可能)のリメイクという位置づけだが,まさにこのシリーズの完成形ともいえる内容になっている。余談ながら,Rebellionが作るこのシリーズ,タイトルがどれも同じような気がするが,よくよく見ると“Alien”が“Aliens”になっていたり,“vs.”が“vs”だったり“versus”だったりして差別化が図られており,非常に紛らわしい。

 

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 Aliens vs. Predator(以下,AvP)は,Coronel Marines(マリーン:植民地海兵隊),エイリアン(あるいはゼノモーフ),そしてプレデターという勢力が繰り広げる三つ巴の争いをテーマにしている。シングルプレイキャンペーンは種族ごとに用意されているので,それぞれの特徴とともに,プレイフィールを紹介しておこう。

 

マリーン

 

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基本的に人類なので,一般のFPSに近いプレイ感覚。シリーズを初めてプレイするなら,最初はここで慣れておくといいかもしれない。ほかに比べて身体的能力が劣るぶん,豊富な火器を駆使できるのが特徴。とはいえ,エイリアンの機敏で複雑な動きにはなかなかついていけず,さらにフェイスハガーは小さくて当てづらいということもあり,結果として常に弾薬不足に悩まされる印象。うーん,よく考えたらビギナー向きじゃないかも

 

プレデター

 

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宇宙をめるぐハンターで,卓越したテクノロジーと身体能力を備えている。欧米人がイメージする“ニンジャ”に近い存在で,忍術さながらに光学迷彩で身を隠し,圧倒的なジャンプ力を使ってマップを飛び回る。さらに,サーモグラフィーで敵の姿を捕らえ,豊富な武器で攻撃を仕掛けるなど,反則的な強さを見せる。文句なしに,最も強い種族だ

 

エイリアン

 

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堅牢なボディを持ち,強靭な爪や尻尾での攻撃を加え,強力な二段式の口で敵の頭部を串刺しにすることも可能。壁や天井も関係なく高速で動き回り,襲い掛かる。体液が強酸性であるため,敵にとっては死んだ後も厄介だ。天地無用で駆け回るので,プレイフィールはほかとは大きく異なり,人によってはかなりの3D酔いを起こすかもしれない。ちなみに,筆者は30分でダウン

 

 以上,3種族のキャンペーンは独立しているが,とある惑星で起きる一連の事件をそれぞれの視点でプレイするというスタイルになっている。一つの目標に向かうのは同じなのだが,そこに至る道のりが種族ごとに異なり,同じことをやっている感じはまったくない。むしろ問題となるのは,種族ごとにプレイ感覚が異なるため操作法に慣れるまで時間がかかるという点だろうか。

 

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 マリーンでプレイした場合,薄暗い中でやたら動きの速いエイリアンには弾がなかなか当たらず,不意打ちを食らってばかり。フェイスハガーには本能的な気持ち悪さを感じるし,プレデターに至ってはまるで見えないときている。
 しかも,マリーンにとっては,とにかくゲーム画面が暗いことが問題だ。ここまで暗いFPSは最近珍しいのではないかというほどで,そんな暗所だと,エイリアンはほぼ見えず,もちろん「暗闇でドッキリ」的な恐怖感を狙っているのだろうけど,個人的にはマリーン編のキャンペーンは少なからずストレスの溜まるものだった。

 

 一方のエイリアン編は,天地無用にどこでも高速で走り回れる爽快感はあるものの,画面がぐるぐる回転することで激しい3D酔いを覚える。自在に操作するためにはコツを掴む必要があり,こちらも上級者向けといった印象だ。

 

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 そんなわけで,個人的に最も楽しめたのはプレデター編だ。奇抜すぎない操作性と,豊富に揃った攻撃手段。そのため使用すべきキーは多いが,すぐに慣れて快適かつ爽快にプレイできた。
 しかし,このゴア表現はどうだろう。映画「エイリアン」はSFホラーだったし,プレデターにとっては人間は狩りの獲物にすぎないので,AVPを語るにはそうしたバックグラウンドを考慮する必要はあるだろうけど,それにしてもすごすぎ。
 とくにプレデターは人間の頭部を掴んで,脊髄ごと引っこ抜くなんて,「モータルコンバット」のフェイタリティーみたいなことをやり,これには筆者も「なんですって!」と叫んでしまった。描画がリアルなだけに,その禍々しさもハンパないのである。というわけで,この手の表現が苦手な人は,プレイを回避したほうが無難だ。ご家族みんなで楽しめるゲームではないのである。

 

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 映画のファンなら,細部まで忠実に再現されたエイリアンやプレデターのモデリングや,ゲームの全体の雰囲気は納得いくものだろう。マップのディテールはもちろん,サウンドにいたるまで完璧な出来映えだ。モーショントラッカーの音に心臓をバクバクいわせながら進んだり,死角から不意に襲われたりする,あの理不尽な恐怖が見事に再現されている。夜中にプレイすると,ギャー! という叫び声で家族を驚かせ,非難を浴びること間違いなしだ。少なくとも,筆者はそうだった。

 2010年夏には「プレデター」のリメイクとなる映画,「プレデターズ」(Predators)も公開予定となっており,20世紀フォックスはまだまだこの凶悪異星人どもに賭けているようだ。若い世代は映画の予習もかねて,本作をプレイしてはいかが?

 

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■■Kobs(ライター/四天王)■■
 小学校5年生のときに,映画「エイリアン」を劇場で観たというKobs氏。第1作では不覚にも主人公のリプリーに恋をして,何度も劇場に足を運び,貯めていたこづかいをあっという間に使い果たしたという。第2作を観にいったときには,用心のため靴下に入れておいた5000円札を歩いているうちに落としてしまったという。どうやら彼は,エイリアンを観ると散財する性質があるらしい。まさに,スペースホラーだ。
  • 関連タイトル:

    Aliens vs. Predator

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