プレイレポート
夏休みも満足に取れなかった“ボクくん”に,今からでもプレイしてほしい「ぼくのなつやすみ4」を紹介
なぜか仕事が増えてしまった件についはひとまず置いておくとして,本作は,ソニー・コンピュータエンタテインメントの人気シリーズ「ぼくのなつやすみ」の最新作。プレイヤーは主人公「ボク」となって,瀬戸内地方の田舎で,夏休みの1か月を自由気ままに過ごすことになる。
■ストーリー
1980年代。
夏休みの一ヶ月間,おじの家にあずけられることになったボク。
ひとり新幹線でたどり着いたのは,
5つの島と3つの海からなる。
瀬戸内の小さな町でした。
港に面した田舎道では,今日も子供たちが元気に走り回り,
打ち寄せる波のリズムが静かに夏を奏でています。
造船所に勤めるおじちゃんと,アイスキャンディ大好きなやさしいおばちゃん。
ボクの(シリーズ至上)最強のライバルの太陽くん,
漫画やアニメをこよなく愛する個性的な漫画姉ちゃん。
暖かくて元気いっぱいな家族と過ごす時間は,
きっと素敵な思い出を,あなたに残すことでしょう。
本作を一言で表現すると,夏休みをテーマとした3D アクションアドベンチャー,ということになるだろうか。虫取りに勤しむもよし,魚釣りに興じるもよし,宝探しの冒険に出かけるのもよし。「○○してはダメ」「××しなければならない」なんていう細かいことは気にせず,(瀬戸内の小さな町で過ごす夏休みという枠組みの中で)すべてのスケジュールを自分で決められる自由度の高さが特徴だ。
また,主にフリーダムなプレイ感がピックアップされがちの本作だが,瀬戸内の田舎で一夏を過ごす過程でさまざまな人と出会い,いろいろな体験をしていく中での,ボクの心の成長物語も,大きな見どころの一つである。
ちなみに本作は,ナンバリングタイトルとしては初のPSP用ソフトとなっており,(1のリメイクはPSPへ移植済み)いつでもどこでも,場所を選ばず手軽に自分だけの夏休みを満喫できる。仕事が忙しくて夏休みも満足に取れなかったという人には,もってこいの作品なのだ。
また「ぼくなつ」シリーズのウリの一つとして挙げられるものの中に,懐かしさ漂う情緒的な世界観がある。朝のラジオ体操や,虫相撲,秘密基地遊びなど,(それなりの年齢に達している人ならば)誰もが一度は体験していたであろう遊びやイベントが,ふんだんにちりばめられている。
先述したように,本作は1980年代の瀬戸内の島を舞台に,1か月の夏休みを過ごすというアクションアドベンチャー。ラジオ体操や虫取り,魚釣りといったイベント/ミニゲーム的要素を,ときにはゆるく,ときには本気で楽しむことができる。
シリーズ作でおなじみの“絵日記”も,よりパワーアップして登場。絵日記とはその名のとおり,その日1日に起こった出来事を描きとめておくことのできる機能だ。今までのシリーズでは,寝る前にしか描けなかった絵日記だが,本作では,エピソードが起こった後ならばいつでも描けるようになっている。
また文章の種類を,かんたん,しっかり,ぽえむの3種類から選べるのも大きな特徴だ。とくにぽえむは,ボクくんのちょっぴりおしゃまな部分が垣間見えてなかなか面白い。
絵日記同様,ぼくなつ恒例の要素となっている虫取りでは,新たに水棲昆虫が飼えるようになっている。水棲昆虫は水槽がなければ飼えないので,“吉田商店”で売っている水槽を購入するのがオススメだ。値段は若干高めだが,水棲昆虫が飼えるようになれば,虫コレクションの幅もグッと広がるので,ぜひとも入手したいところ。
お金は,マップ内に(町中だけでなく,海の中にも)点在するビールびんやジュースびんなどを吉田商店で買い取ってもらったり,家のお手伝いをすることで稼げる。とくにすることがないときは,一日中おこづかい稼ぎに奮闘するのもいいかもしれない。それもぼくなつ4の立派な遊び方である。
また恒例といえばもう一つ,忘れてはならないのが魚釣りだ。本作の魚釣りは,従来作のそれとはひと味違っており,釣った魚をおばちゃんに頼んで魚料理にしてもらえるのが特徴だ。
料理にしてもらうには,魚の数や大きさなど,一定の条件を満たす必要があるので,多少骨が折れる作業かもしれない。だが魚料理を食べれば,ボクメーターが回復するうえ,食べたことが絵日記に記録されるので,まさに一石二鳥。コレクション目的だけでなく,翌日ボクが元気いっぱいに遊べるようにするためにも,魚釣りはこまめに行ったほうがいいだろう。
ちなみにボクメーターとは体力ゲージのようなもので,時間が経過するたび少しづつ減っていく。これがなくなると,ボクは夏バテで倒れ,家に戻されてしまうので,ボクメーターには常に注目しておきたい。
ほかにも,毎日朝,昼,晩,計3回のハミガキを記録できるハミガキカレンダーや,朝のラジオ体操,賞味期限切れの食べ物をあえて食べてみる食べ物研究,50円ゲーム(ミニゲーム)など,ぼくなつならではの,懐かしさあふれる要素がたくさんある。
中でも,各種イベントをやりこむことで獲得できるメダルは,エンディングにも影響を及ぼす。エンディングの数はシリーズ中最多となっており,どのイベントでどの色のメダルを獲得したかによって,エンディングが変わってくるという仕組みだ。
また本作では,秘密基地での遊びが充実している部分も見逃せない。秘密基地では,虫相撲大会や,モン消し相撲大会といった子供達ならではの催しが開かれる。捕まえた虫を鍛えて強くして,優勝を目指してみるのもいいだろう。
ちなみに今回から新たに追加されたモン消し相撲とは,ゲーム内のいたるところに落ちているモンスター消しゴムを集めて,相手のモン消しと相撲勝負をするというもの。勝つと相手のモン消しがもらえたりもする。モン消しは全部で30種類存在し,一つ一つのモン消しにバックストーリーが用意されている。すべてのストーリーを見るためにコンプリートを目指してみるのも一興だ。
なお,秘密基地に入るためには合言葉が必要なのだが,その内容が80年代の子供文化や一般常識を取り入れたものばかり。中には懐かしさのあまり,思わずニヤっとしてしまう合い言葉もあるので,1980年代にボクくん世代だったプレイヤーは,そこにも注目してほしい。
本気で遊んでいたあの頃のボクを思い出させてくれる
地味に熱く,どこか切ない“大人ためのゲーム”?
ぼくなつ4は,意外とコレクション要素が充実したやり込み系のアクションアドベンチャーでもあるのだが,1980年代に“ボクくん”だった大人にとっては,オープニング曲(“ギンギラギンにさりげなく”)や空き瓶探し,50円ゲーム,モンケシ集め,親戚の家での生活などなど,至るところ仕掛けられている“懐かしさ”が心地よい。少年時代に戻り,実際に田舎で遊んでいるような感覚を楽しむ,まさに夏休みシミュレータと呼べる作品だ。
ちなみに本作には,メニュー画面やイベントシーン,オープニングなどを除いてBGMが存在せず,流れてくるのは蝉の鳴き声,川のせせらぎ,風音といった自然の環境音だ(場所によっては,これまた懐かしい感じのラジオ番組なども流れている)。この点も,作品の雰囲気をうまく盛り上げる一つの好演出といえるだろう。
ぼくなつシリーズは本作で4作目となり,ゲーム内の時代も10年ほど進んでいるが,どんなにシリーズを重ねていっても,ぼくなつはぼくなつのままだったというのが,一シリーズファンである筆者の素直な感想だ。大きく変わった部分はないし,強烈なサプライズもないのだが,良い意味で変わっていないところが嬉しいところである。
結局休みらしい休みは取れず,TGS 2009関連の作業が終了した直後に仕事をしている筆者だが,“ボクくん”だった頃と変わらずゲームが大好きなのだから,全然辛くはない。ただ,もうしばらくは,次の仕事のことを考えずに,瀬戸内の田舎での“なつやすみ”を満喫していたいとも思う。
- 関連タイトル:
ぼくのなつやすみ4 瀬戸内少年探偵団「ボクと秘密の地図」
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(C)Sony Computer Entertainment Inc.
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- ビデオゲーム
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