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「HOMEFRONT」は日本語表現の攻めの姿勢に変わりなし。最新ビルドが公開されたメディア向けプレゼンテーションの模様をレポート
このイベントでは,スパイクから2011年4月14日発売予定のFPS「HOMEFRONT」(PS3 / Xbox 360)の日本語版ローカライズの開発状況についての説明や,日本語版の開発ROMによるシングルプレイ/マルチプレイのデモが行われた。ここでは,プレゼンの模様をレポートしていこう。
イベントでプレゼンテーションを行ったのは,「HOMEFRONT」のローカライズプロデューサーである赤石沢 賢氏。赤石沢氏は,まず日本版のスペックについての説明を行い,海外版と日本版でのトロフィーや実績は同じであり,オンラインマルチプレイモードでは,世界中のプレイヤーと遊べるよう仕様は世界共通になると述べる。
「HOMEFRONT」のローカライズでは,英語音声だったものは日本語のセリフに吹き替えられるが,敵兵士のセリフについては,英語版同様にハングル語の部分はそのまま収録されている。ただし,字幕設定をオンにすれば,劇中のセリフすべてが日本語字幕で表示される。なお,英語音声は収録されておらず,「英語/ハングル語音声+日本語字幕」という形でのプレイはできない。
赤石沢氏は日本語吹き替えについて,「FPSは展開が早く,常にさまざまな操作を要求されていく。新しい情報がどんどん入ってくるので,直感的に受け取れるよう吹き替えは必須だと考えた」と,その理由を話していた。
赤石沢氏は「独特の言い回しなどにもしっかり対応し,ゲームに極力影響のないように仕上げている」と,ローカライズについての自信をのぞかせた。
設定では,2012年に金正日(キム・ジョンイル)が死亡,息子の金正恩(キム・ジョンウン)が政権を引き継ぐ。翌年には韓国と平和条約を締結し,大朝鮮連邦が成立する。大朝鮮連邦はその後圧倒的な軍事力でアジア各国を併合し,2018年には日本も大朝鮮連邦に降伏。そして2025年にはアメリカに侵攻が開始されることになっている。
ゲームの舞台となる2027年には,アメリカの大半が大朝鮮連邦に制圧され,生き残った米軍の兵士やレジスタンスが大朝鮮連邦に立ち向かう,という流れとなる。
なお本作のシナリオは,「地獄の黙示録」などの脚本を手がけたジョン・ミリアス氏が担当している。
続いて赤石沢氏は,日本版を出すにあたって,一部変更せざるを得なかった箇所について説明した。
赤石沢氏によれば,CEROの規定では,「実在する人物や国を根拠もなく中傷したり,差別してはいけない」という決まりがあるため,「HOMEFRONT」の表現の一部がそれに抵触してしまったとのこと。そのため,どうしても日本語版では修正せざるを得ない部分がいくつか出てしまったそうだ。
まず,オープニングムービーでは,ゲーム内における2012年から2027年までの歴史を,実写映像をふんだんに取り込んで紹介している。この中で「金正日死亡」のシーンを実写映像で紹介している部分がNGとなり,実写映像を削除することで対応したとのこと。
また,ゲーム内には「新聞の切れ端」というコレクタブルアイテムがあり,これらを集めることで2027年までの時系列を追えるようになっている。その中の一部において,CEROの規定にひっかかる表現があったため,該当箇所では「アジアの某国」「指導者」といった表現に変更したそうだ。
赤石沢氏によると,こういった箇所での削除/修正は最小限に留めており,イベントやセリフがまるまる削除されたり変わったり,登場人物がいなくなっているといったことはなく,内容に影響するほど大幅な変更はないと話す。
ここでゲームのオープニングムービーが流された。先にも述べたように実写映像をふんだんに使った映像となっており,筆者は最初に,ヒラリー・クリントン氏が声明を発表しているシーンに度肝を抜かれてしまった。
ほかにもガソリン価格の高騰を伝えるニュース,デモ隊と警官隊の衝突,大朝鮮連邦によってハワイやロサンゼルスが掌握されるなど,かなり刺激の強い映像に仕上がっていた。先に説明を受けたものの,一部内容の修正/削除による影響は微塵も感じられないほどである。なお,オープニングムービーの英語部分は日本語吹き替えとなっており,ハングル語の部分には日本語字幕が表示されていた。
シングルプレイヤーモードの主人公は,ロバート・ジェイコブスという元米軍のパイロット。朝鮮人民軍(KPA)からの召集命令を無視し自宅にいたところを襲われ,拘束されるというシーンから始まった。
バスで連行されるシーンでは外の様子がうかがえるのだが,一般市民がKPAに捕まっていたり,子供の前でその子の両親と思われる男女が射殺されたりと,“戦場”を生々しく感じさせる描写はすさまじく,想像以上にインパクトの強いものだった。また,大朝鮮連邦の施設には金正日のポスターが貼ってあるなど,背景の“臨場感”も抜群である。
そして,輸送中のバスにトレーラーが突っ込みバスは大破。この出来事は大朝鮮連邦に抵抗するレジスタンスのメンバーにより仕組まれたもので,コナーとリアンナに助けられた主人公は,彼らの導きで戦いに身を投じることとなる。
ゲームのシステム面では,最近のFPSのトレンドに沿った作りという印象だ。ダメージを受けると画面が赤くなり,ピンチになると点滅する。このとき身を隠してしばらくすれば体力は自動的に回復する。また,画面には右下に弾薬とグレネードの所持数,上部にコンパスが表示されるというシンプルなものとなっていた。
そして,オンラインマルチプレイモードのデモプレイが行われた。
本作のオンラインマルチプレイでは,最大で32人対戦が行える。今回デモが行われたのは「バトルコマンダー」というルールだけだったが,赤石沢氏によれば,「HOMEFRONT」では,Call of DutyシリーズやBattlefieldシリーズといった,ほかのFPSに慣れたユーザーでも遊びやすいよう,さまざまなルールや独自要素が用意されているとのこと。
オンラインで対戦すると経験値を獲得でき,それを使って武器や装備をアンロックできる。レベルが上がればより性能のいい銃を使えるようになる。ちなみに,海外版では一部店舗の予約購入特典である「870 Express ショットガン」のダウンロードコードが,日本版ではパッケージの初回生産特典として封入されるとのこと。
オンライン対戦のプレイ中にはBPというポイントを獲得可能で,BPを使うと,戦場に新しい兵器を投入できる。対戦車ロケットランチャーなど戦況を左右するものを即座にポイントと交換できるほか,戦車やヘリコプターに乗って敵軍を蹂躙できたり,ドローンという無人偵察機のような近未来兵器,爆撃機への支援要請なども行える。
また,例えば「リロード速度を上げる」「腰だめ射撃時の照準を安定させる」「ナイフの攻撃範囲を広くする」といった歩兵スキルというものが存在する。これらはレベルを上げるとアンロックされ,プレイスタイルに合わせたカスタマイズができるようである。
そのほか,武器のカスタマイズも可能で,各種スコープやサプレッサー(減音器),グレネードランチャーなどのアタッチメントを取り付けられるほか,銃の色を変えることも可能。こちらは,連続して敵を倒したり,特定の人数を倒すなどといった条件を満たすとアンロックされるそうだ。
「HOMEFRONT」のマルチプレイにおいて,基本となるのは「グラウンドコントロール」,つまりは陣取り合戦である。デモでは「バトルコマンダー」というルールで8人対8人の対戦が行われた。これは,交戦しつつ3か所ある拠点を奪い合い,自チーム側のスコアメーターをいっぱいにしたほうが勝利というルールだ。
対戦はラウンド制となっており,今回は2本先取したほうが勝ちという形式だった。広大なマップの区切られたエリアが各ラウンドの舞台となり,勝敗が付くごとに,そのまま次のラウンドの舞台となるマップに移動することになる。戦場となるマップがシームレスに変わるという点は,新鮮に感じられた。
また,本ルールでは活躍したプレイヤーが「優先脅威」というターゲットになる。「優先脅威」を活躍させ続けるとどんどん脅威レベルが上がり,攻撃力や防御力がアップしたり,常に敵の位置がマップに表示されるなど,倒されにくくなるのだという。脅威レベルが上昇すると,敵チームに対する通知が最初の2人から4人/8人/16人と増え,より厳しい敵の攻撃にさらされることになるようだ。なお,優先脅威のプレイヤーを倒せば,通常より多くのBPを獲得できるといったメリットも存在する。
今回のプレゼンテーションに参加した率直な感想としては,スパイクは限りなく英語版に忠実なローカライズを目指しているという印象で,ローカライズにより魅力が損なわれることはほとんどないだろう,と思えたほどである。
日本語版の発売は2011年4月14日と,北米版の発売日から約1か月後となるが,短期間で日本語への完全ローカライズ版が登場するということを,素直に期待したいところだ。
「HOMEFRONT」公式サイト
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(C) 2011 THQ Inc.Developed by KaosStudios.THQ, KaosStudios, Homefrontand their respective logos are trademarks and/or registered trademarks of THQ Inc.All rights reserved.All other trademarks, copyrights and logos are property of their respective owners. Marketed and distributed in Japan by Spike.
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