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最新の技術で描かれる,シリーズ最古の物語。3Dアクションならではのバトルが可能になった「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ」インプレッション
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印刷2010/12/18 10:58

プレイレポート

最新の技術で描かれる,シリーズ最古の物語。3Dアクションならではのバトルが可能になった「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ」インプレッション

 KONAMIより12月16日に発売された「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ」PlayStation 3 / Xbox 360)は,1986年に発売されたファミリーコンピュータ ディスクシステム用アクションゲーム「悪魔城ドラキュラ」から20年以上も続くシリーズの最新作であり,PlayStation 3とXbox 360でマルチ展開される初めての作品となる。

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 また本作は,シリーズとしては初めて,海外スタジオによる開発が行われている。スペインのMercurySteamが開発を手掛け,その監修と国内ローカライズを小島プロダクションが行うという,新しい体制での制作スタイルがとられているのだ。
 果たして最新の“悪魔城ドラキュラ”は,どのようなゲームに仕上がっているのか。本稿では,「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ」のゲーム概要を,実際にプレイした印象を交えて紹介していこう。ちなみに,筆者がプレイしたのはPlayStation 3版だ。

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「キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ」公式サイト



あの“悪魔城ドラキュラ”が大きく進化

3Dアクションならではの立体的なバトルが可能に


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 ゲームの舞台は1047年のヨーロッパ。“燈光教団”の修道会に派遣される形で,呪われた地へとやってきた主人公ガブリエル・ベルモンドは,自身の妻が殺害された真実を知るために,古き森の奥へと足を踏み入れていく。そんなプロローグの時点では,ドラキュラの名前や具体的な存在は提示されず,プレイヤーは物語を進めていく過程で,徐々に真実を知っていくことになる。

 “悪魔城ドラキュラ”というと,2Dの横スクロールアクションの印象が強いかもしれないが,本作は三人称視点の3Dアクションだ。
 主人公のガブリエルは,鎖の鞭「バトルクロス」を武器に敵と戦う。バトルクロスはリーチがあり広範囲に攻撃可能で,通常のカメラアングルが若干引き気味に設定されていることもあり,周囲から襲いかかってくる敵をバトルクロスでまとめて攻撃するのがとにかく気持ちいい。一撃では倒せないタフな敵もいるが,そんなヤツらにはボタンの組み合わせで繰り出せるコンビネーションを叩き込み,より派手なアクションで,より大きなダメージを狙っていくのだ。

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 コンビネーションは,前方へ攻撃する□ボタンと,振り回して周囲を攻撃する△ボタンを押す順番や,長押しなどの組み合わせで繰り出すことができる。また,×ボタンでのジャンプから空中コンボを出すことも可能だ。コンビネーションも,ただ攻撃するだけでなく,敵にスキを生じさせたり,空中へ打ち上げたりと,次のアクションへとつなげられるものがあるので,うまく使い分ければ,さらに華麗で強力な,自分だけのコンビネーションを構築できるだろう。

 攻撃だけでなく,防御の要素が重要なのも,本作の特徴の一つだ。ガブリエルはL2ボタンでガードのアクションを取ることもできるのだが,このときに左スティックを動かすと回避アクションとなり,さらに敵の攻撃に合わせてL2ボタンを押すと“シンクロ防御”が発動する。とくに後者は,成功させると相手に大きな隙が生じるので,積極的に活用していきたい。中ボスとの戦闘時や多くの敵に囲まれたときなどは,このシンクロ防御によるカウンターが反撃の基点となることも多かった。
 ちなみに敵の攻撃には,防御できないものもある。そういった攻撃には閃光のエフェクトが表示されるので,敵の動きをよく見つつ,回避アクションと防御を使い分けるのがポイントだ。ゲーム序盤〜中盤をプレイした印象では,コンビネーションよりも,むしろこれらの防御アクションをうまく使いこなすことこそが,本作を楽しむためのカギになるのではないか,とも思えた。

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 もうひとつ面白いのは,この手の“魅せる”3Dアクションには欠かせないQTE(クイックタイムイベント)が,ボタンを押すタイミングでのみで対応できること。本作のQTEは,画面に表示されたボタンを指示通りに押していくタイプではなく,画面に現れた円が縮まってきたところでタイミングよくボタンを押すというものだ。瞬間的に判断する必要はあるが,ボタンの種類に意識を取られないので,一般的なQTEよりも取っつきやすい印象を受けた。弱った敵をR2ボタンで引き寄せてQTEアクションを成功させると,ド派手な演出と共に敵にとどめを刺したり,敵を操って袋小路を突破したりなど,さまざまな特殊アクションが見られる。

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 ゲームの難易度は,「見習戦士」「戦士」「騎士」「聖騎士」の4段階が確認できた。最高難度の「聖騎士」以外は最初から自由に選択でき,ゲーム中でも変更可能だ。ノーマルに相当する「戦士」の場合,3Dアクションゲームのプレイに慣れている人ならば,さほど手こずることなく攻略できるとは思うが,前述のコンビネーションやシンクロ防御をうまく使いこなせないと,中盤以降に苦戦することになるだろう。本作は,ステージ中に用意されている回復ポイントが少なめで,ステージクリア時にも体力が回復しないからだ。
 ……そう聞くととんでもなく難しいゲームのように思えるかもしれないが,心配は無用。本作には,それをカバーするための「魔力」システムが導入されている。L1ボタンで「光の魔力」を発動させた状態で敵に攻撃を当てると,自身の体力が少しずつ回復していくのだ。消費した魔力は,魔力を発動していないときに敵を倒すと出現するエナジーを吸収すれば回復するので,どこで魔力を使えば効果的なのか,そしてどの敵をどう倒せばエナジーを多く回収できるかという工夫は必要になるが,回復に気を使ってゲームの進行が滞るといったことは起こらないだろう。なお魔力には,発動中に自身の攻撃力を上げる「影の魔力」(習得後にR2ボタンで発動)も存在し,プレイヤーの腕前や好みで使い分けられるのもうれしい。

 そのほかにも,シリーズおなじみの短剣や聖水といったサブウエポンの存在や,経験値によるコンビネーションの強化,敵からダメージを受けずに攻撃していくとどんどん有利になる“バトル・フォーカス”など,さまざまな要素が盛り込まれており,プレイが進んで行くにつれ,選択肢の多いアクションが楽しめるようになる。

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ゴシックホラーの定番だけでなく神話級のキャラクターも登場

「悪魔城ドラキュラ」の今後の展開が非常に楽しみ


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 “キャッスルヴァニア”という冠がつけられているだけあり,本作には随所にゴシックホラーテイストが盛り込まれているが,出現する敵のラインナップなどを見ると,これまでのシリーズとは若干毛色が異なっているようにも思える。ゲーム序盤では,シリーズおなじみのゾンビやスケルトンではなく,ライカンスロープ(獣人)やゴブリン,トロールといった,中世ファンタジー寄りのモンスターが多数出現するのだ。
 また,ガブリエルをいざなうパンや,巨像タイタンなど,ギリシャ神話由来のキャラクターが登場するなど,作品自体を包む雰囲気はかなり異なっている。これに関しては,新生(リ・ボーン)をうたった新たな開発体制はもちろんのこと,シリーズ最古(西暦1047年)という舞台設定も関係しているのかもしれない。ここから始まる「キャッスルヴァニア」の物語が,今後どのように展開していくのかというところも,本作の見どころのひとつと言えるだろう。

 小島プロダクションによる日本版ローカライズ監修については,「さすが」の一言。とくに吹き替えのキャスティングとシナリオの翻訳には,かなり力が入っている。藤原啓治さんや大塚明夫さん,井上喜久子さんなど「メタルギア」シリーズでお馴染みの声優陣が起用されている点だけでなく,たとえば燈光教団の戦士ゾベックは,北米版では「スタートレック」や「X-MEN」で知られるパトリック・スチュワートが演じているが,日本版ではパトリック・スチュワートの吹き替えを演じた麦人さんを起用するなど,コジプロらしいこだわりが好印象だ。
 ちなみに,これら日本語版のアフレコ監督は,「ANUBIS」の監督として知られる村田周陽氏が務めている。また小島監督自身も,チュパカブラ役で声優出演しているとのことだ。実際にプレイするときには,そういった点にも注目してほしい。

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 ちなみに今回,インプレッション記事の執筆のために10時間程度のプレイ時間を設けたのだが,進められたのはステージ3の途中まで。これは,同じところでずっと詰まっていたたためでも,長いムービーを見せられたためでもない。純粋にゲームを楽しんでいた結果だ。本作には全部で12のステージがあるようで,それを考えるとかなりボリューミーな内容に仕上がっていると言える。プレイの止めどきがなかなか見つからず,原稿を書かなくていいなら間違いなく延々とプレイしていた……というくらい純粋に楽しめたことも,追記しておこう。

 海外製3Dアクションゲームではお馴染みの「ド派手な演出」は,序盤を見るかぎりはやや控えめだった印象。しかし,しっかりと作り込まれたレベルデザインとアクションの手触り,そしてボリューム面では,大いに満足できる内容に仕上がっていることが感じられた。さらにコジプロの監修が入ったことで,丁寧な日本語吹き替えによる物語への没入度は,非常に高かった。悪魔城ドラキュラやキャッスルヴァニアのファンならば,“リ・ボーン”したシリーズが,具体的にどのように生まれ変わったのか,また,その紀元となる物語が一体どう展開していくのか,ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

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