連載
【ヒャダイン】地理は「桃鉄」で覚えました
ヒャダイン/前山田健一 / 歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー
ヒャダインの「あの時俺は若かった」 |
第13回「地理は『桃鉄』で覚えました」
えー,年末年始は何をしていたかと言いますと,何もしませんでした。少し長いお休みをいただいたので,ひたすら何もせず,ぼーっとしていました。だって,2012年ってぼーっとできる時間が全然なかったんですもの。ヒャダイン家には盆と正月に実家へ帰るという文化もなく,東京の部屋でTVを見て食っちゃ寝の繰り返し。少し太りましたよ。えっへん。
そうだ。紅白。もちろん観ましたよ。だってももクロちゃんが出てるから。NHKホールまで応援に行こうかな? なんて思っていたのですが,紅白のときのNHKホールは出演者がものすごい数だから裏側はカオス状態と聞いていたので,邪魔になるものアレだしなと,TVの前で見守りました。
いやー,素晴らしいステージでしたね。デビューした頃には考えられないくらいの,堂々としたものでした。凛としていました。そして,夢って叶うものなのだなあ,というのを実感しました。
ついこの間ですよ。年端もいかない小娘たちが石丸電気のステージで「紅白歌合戦に出たいでーす」って世迷言を言っていたと思ったら,時が経つにつれてどんどん人気が出てきて,その「世迷言」すら現実味を帯びてきて,ついには叶えちゃったんですからねえ。素晴らしい。夢は大きく。大声で叫んだもの勝ち。それを体現してくれたと思います。あらためて大きな拍手を送りたいです。
さてさて。ゲームの話でもしましょうか。うん? 露骨にがっかりしないでくださいよ。ここは4Gamer。日本最大級のゲーム情報サイトですよ!
ってなことで,お正月はWiiで遊んでもいたんですよ,「桃太郎電鉄2010 戦国・維新のヒーロー大集合!の巻」を! もちろん対CPUでね……。くそぅ。
いやーしかし,2009年に発売された作品とはいえ,ここ最近の桃鉄ってのは凄いもんですね。カードの量が多いし,キングボンビーなんかにも色々なバリエーションがあるし,物件も魅力的。4人で遊んだら面白いんだろうなあ……。盛り上がるんだろうなあ……。おっと。戻って来ました。ただいま。にしても桃鉄って,本当に素晴らしいゲームだと僕は思っているんです。
僕が初めて桃鉄で遊んだのは小学生の頃。ファミコン版の初代「桃太郎電鉄」です。カードもなければ,貧乏神もいない。スリの銀次はいたけどね。なのでゲームとしては地味っちゃ地味で,大逆転はなかなか難しく,所持金の多い人が良物件をどんどん買い占め,それによりどんどん利益を上げて格差社会を作っていく,っていう感じでした。でも当時,どハマりしたんですよねー。桃鉄。音楽もPOPだったし。
弱っちいCPUを相手に,ガンガンパワープレイをしていくんですが,まあ,途中から物件コンプの作業ゲーに化けるわけです。自分,作業ゲーが好きなんですよ,昔から。ドラクエもクリアしてから延々レベルを上げまくるタイプ。頭の中では分かっているんですよ。「あーあ。俺,何やってんだろ」って。
だけどやめられない止まらない作業ゲー。そんな感じで初代桃鉄をやりこんでいたのですが。いいこともあったんですよ,てか,人生を変えてくれました。何かと言うと。
社会の成績が良くなった!
はい。受験生の皆さん,注目! とくに中学受験や高校受験を控えている人!
私は桃鉄のおかげで京都大学に入学できました!(K.Mさん 32歳 東京都 男性)
小学生の頃に桃鉄をやりまくってたから,まずは地名,そして物件を通じて各地の特徴などがインプリンティングされていったんですね。しかも初代はカードとか貧乏神とかもいないため,所持金がドバーッと変わることもなく,凄く堅実な鉄道会社経営ゲームでした。なので,最近のシリーズのゲーム後半にありがちな,物件名を見ることなくお金に任せて「全部買う」といったどんぶり勘定をすることもなく,「今度はあれ買おう」とか「これはあと3年後に買えるかな」とか,計画的な物件購入をすることになるんですよね。
それが功を奏して,じっくり覚えちゃいましたもん,特産物。あと地名も覚えられるので,県庁所在地もラクラククリアー。おかげで地理に強くなりました。結果,大阪星光学院という進学校に入学できましたし,その後,京都大学にも入れたわけです。さらに,最近では「Qさま!!」などのクイズ番組に出させていただくときにも,あの頃,自然と記憶していった知識は大いに役立っています。
桃鉄,ありがとう!!!!!
さらには戦国・維新のヒーローが助っ人として出てきてくれます。これによって歴史ヒーローの功績や出身地まで勉強できるようになったという。なんとまあ,今まで地理だけだった守備範囲が歴史まで網羅しはじめたというマルチぶり!
で,桃鉄のすごいところは,お勉強ができるのに,勉強臭さがゼロってところなんですよね。僕は家庭教師をやって食いつないでいた時期が長いので,子供達にどうやって勉強に興味を持ってもらえるか,ゲームと同じくらいに楽しい感覚で勉強に取り組んでもらうには,どうすればいいのか? ということを必死に考えていました。
教育ビジネスにおいても色々と試行錯誤していますが,やはり勉強は勉強。子供は嫌がるんですよね。しかしこの桃鉄に関しては今まで見てきた生徒の中で,嫌いな子は一人もいませんでした。これってノーベル賞に値するくらい,素晴らしい発明だと思うのは僕だけでしょうか。
子供達に「地理」という教科への嫌悪感を無くすという魔法のようなゲーム,桃鉄。ほかの「お勉強ゲーム」と,何が違うのかなあ,と考えたところ,やはり押し付けがましさのなさが一番じゃ? という仮説にたどり着きました。
ゲームとして「目的地を目指しながら物件数を増やしていく」という大筋はあるものの,どの物件を買うか,さらには目的地を目指すかどうかまでも自由意志。プレイヤーに委ねられてるんですよね。ここでお勉強ゲームにありがちな「この問題を全問正解しなきゃ次のステージに進めない」という押し付けがあったら,きっと子供は心のドアを閉店ガラガラですよ。ここらへんのバランス感覚が,ゲームライターのさくまあきら氏のすごいところだなあと思っています。
日本の未来のために,桃鉄を公認ゲームとして選出していただきたい。そして毎年作っていただき,すべての小学生に教材として渡してほしいものです。
あ,もし歴史が苦手なキッズがいたら,NHK Eテレで放送中の「歴史にドキリ」という10分番組,オススメですよ。中村獅童さんが歴史ヒーローに扮装してひたすら歌って踊って歴史を解説してくれています。
ホームページで全部のパフォーマンスを見られますよ。振り付けはポッキーダンスでもおなじみ振付稼業air:manのみなさん,そして楽しくて笑えてドキドキしてかっこいい音楽をすべて担当しているのが……ヒャダイン!!
宣伝です。ぎゃふん。
あ,陸奥宗光役で僕もカメオ出演しております。中村獅童さんと二人でちょっと古めのヒップホップを歌って踊っておりますよ。頑張ってダンスを覚えたので,ぜひぜひチェックしてね。治外法権と関税自主権についてたくさん勉強できるよ。
■■ヒャダイン/前山田健一(歌手・作詞家・作曲家・編曲家・プロデューサー)■■ ヒャダイン氏の2013年最初のシングル,「23時40分」が昨日(1月30日)に発売されました。TVアニメ「バクマン。」のオープニング主題歌でもあるこの曲は,Base Ball Bearが編曲を担当。これまでのヒャダインサウンドとはひと味違うバンドサウンドは,必聴です。PVも公開中ですので,ぜひご覧ください。 |
- 関連タイトル:
桃太郎電鉄2010 戦国・維新のヒーロー大集合!の巻
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