非常に良くできたゲームでありながら,その評価に反して,PlayStation2版ではセールス面で今一つだった「大神」。しかし,この続編にあたる「
大神伝〜小さき太陽〜」は,TGS会場では開場と同時に整理券がなくなってしまうほどの注目度だった。さすがTGS会場にまで足を運んでいる濃いゲームファンだけあって,良いモノはしっかりチェックしているということだろう。会場でプレイできた内容をお伝えしつつ,「大神伝」の可能性を探っていきたい。
気になるタッチペンでの「筆しらべ」
会場でプレイできたバージョンでは,本作の特徴である「筆しらべ」などの基本操作を体験できるバージョンと,実際に洞窟に棲み着いたという魔物を退治しに行く「実践編」が用意されていた。
ニンテンドーDSでの続編発売にあたって,水墨画シェーディングとも呼べるPS2版から,日本昔話風というか絵本チックなグラフィックにテイストが変わっているが,それでも「大神」と一目で分かるようになっていることは,ゲーム画面を見ても一目瞭然。子犬のようにころころした主人公「チビテラス」の可愛さに魅力を感じる人も多いだろう。今回背中に乗っている相棒の「クニヌシ」には『クマ公』などと呼ばれていたりもする。えっ? 「隈取り」のクマ公だろうって? まあ,ほかにもいろいろな呼ばれ方をしているし……それはさておき,やはり気になるのはゲーム的な部分,とくにタッチペンで行う「筆しらべ」の部分ではないだろうか。
ここは,実は意外性はなく,直接画面に描けるだけに圧倒的に描きやすい。筆圧も関知していて,素早く筆を運ぶと“かすれ”などもきれいに出たりする。書き損じることはまずないといってよさそうだ。逆に,うまく書けた喜びとか,意外な線になってしまう可能性もなくなってしまったか? こういったところは,これからさらに調整がなされていくという。マップの作りや謎解き自体はテンポ良く配置されている印象で,プレイした印象では,大神の要素がきちんと入っており,ハードの違いから単純に比較は出来ないものの,携帯ゲーム機らしいサイズにうまく収めてある印象だった。
「大神」再評価なるか?
TGS版では,武器の交換などはできなかったのが少々残念。「大神」のような神器の使い分けなどもあるのかどうか,気になるところ。今回遊べた範囲では,当たり前だがどちらかというと「筆しらべ」に重点を置いたプレイになった。クニヌシのアクションについては,残念ながらそこまでは遊びきれず。アクション面での調整はまだこれからだろうし,キャラクターのアクション面では,ニンテンドーDSらしい,今回の「チビテラス」に合った,ぬいぐるみのような可愛らしい動きだといえる。携帯ゲームで遊ぶのであれば,間口を広げる意味でこれくらいがちょうど良いだろう。逆に辛口のアクションゲーマーには,今後のスタッフのお手並み拝見というところだろうか?
ニンテンドーDSという携帯ゲーム機で手軽に遊べるようになる「大神伝」。近日発売のWii版の「大神」で遊びながら待つも良し,来年の「大神伝」をプレイしてから,PS2版やWii版に戻っていくのも良いのではないだろうか。いずれにせよ再評価されてほしい名作であることは間違いない。