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[E3 2010]シリーズ最新作「Deus Ex: Human Revolution」は,伝説的な一作目にかなり近い。プレイデモ&開発者インタビューでこんなことが分かった
開発を手がけるのは,Eidos Montreal。Eidosといえば,現在はスクウェア・エニックスの傘下にあるデベロッパだが,当のスクウェア・エニックスから本作が発売されるかどうかは,しばらくの間不明のままだった。そんなスクウェア・エニックスから,日本語バージョンの発売が発表されたのがつい先日(6月15日),同時にティザーサイトがオープンしたことをお伝えしたばかりである。
「デウスエクス」ティザーサイト
日本語版のタイトルは「デウスエクス」とのことで,英語タイトルにあるHuman Revolutionはどうやら省かれる様子。シリーズの始祖である「Deus Ex」がレジェンダリーな名作なために混同してしまいそうだが,日本での知名度が高いのかと言われれば,正直今ひとつ。そのためこのような形がベストということになったのかもしれない。
なおティザーサイトには日本語字幕のついたムービーも公開されている。これはGDC 2010のタイミングで公開されていたものと同じだが,字幕がついたことで日本人にとっては格段に見やすくなっているので,この記事を読んだあとにでも見てみるといいだろう。
今回E3 2010のスクウェア・エニックスブースでは,残念ながら「Deus Ex: Human Revolution」の展示は行われていなかったが,ブース中央の予約者のみが入れるスペースにおいて,プレイデモと開発者インタビューが行われたので,その模様をお伝えしよう。
プレイデモの解説は同作のリードライターMary Demarle氏によって行われた。
氏によれば,アクションRPGである「Deus Ex: Human Revolution」のベースとなっているのは,「コンバット」「ステルス」「ソーシャル」「ハッキング」という四つのスタイルのゲームプレイであるという。それらの中からどのスタイルをチョイスするかで,ゲームの内容は変化していくのだという。
本作では一つの目標に対して,さまざまなソリューションが用意されており,なるほどこのあたりは,どのようなプレイスタイルでも目標を達成できるようになっていた「Deus Ex」の特徴を引き継いでいるようだ。
ゲームの舞台となるのは2027年。主人公Adam Jensenは身体にオーギュメンテーション(強化)を施された人物で,バイオテクノロジー関連企業に勤めている。物語は,この会社がなぜか攻撃を受けるところから始まり,Jensenはその理由を解き明かすため,世界各地を飛び回ることになるという筋書きだ。
今回見せてもらったデモは,大体プレイ開始から6時間ほどたったころに訪れることになるステージとのこと。場所は上海の近くの島。デモの前半では主にソーシャル要素が紹介され,後半はコンバット部分を見ることができた。
ステージに到着したJensenはピストルを構えて町中に降りていく。最初に見かけた町のNPCにピストルを向けると,そのNPCは「撃たないでくれ」といったようなそぶりを見せる。
もちろんNPCには普通に話しかけることも可能だ。説明によれば,本作では登場するすべてのNPCに話しかけることができ,情報を収集したり,サイドクエストを見つけたりできるという。また,そのほかにもさまざまなインタラクトが用意されているとのことだ。
ここではTHE HIVEという建物の中に潜入するのが目的ということで,門番に話しかけると,どうも賄賂を要求されているようだ。今回は金を支払うと中に入れるようになったが,これ以外にも地下の抜け道から潜入したり,戦闘を行って押し入ったりといった解決方法が用意されているらしい。
建物に入ったら,次はカウンターの中にいる人物に接触して,彼から情報を引き出すシーンだ。デモではまず普通に話しかけていたが,重要な情報はやはりすんなりとは教えてくれない。そこで違う解決方法を試みる。HIVEの関係者の一人がセキュリティカードをなくしたという情報を頼りにトイレに行ってみると,なんと床に,その関係者の物と思われるセキュリティカードが落ちているではないか。というわけで今回はこれを拾って先に進むことにした。
「Deus Ex: Human Revolution」では,このようにして,会話を中心として物語を進めることもでき,その気になれば,ほとんど敵を傷つけることなくゲームをクリアすることが可能とのことだ。
続いて,コンバットが中心となるシーンを見ていこう。ここはどうやら軍事基地のような場所に潜入するシチュエーションのよう。まず敷地内へとつながるエントランスに近づく際には,「Gears of War」などで見られる,いわゆる「カバーアクション」が役に立つ。金網を乗り越えるためには,どうやら近くの物を踏み台にしなければならないようだ。ちょうど足場になりそうな木箱があったが,通常これは重すぎて持ち上げられない。しかしこのデモのジェンソンは,オーギュメンテーションで腕力が強化されているので,難なく木箱を持ち上げて運び,足場にして金網を乗り越えることができた。この能力がなかった場合,ほかのソリューションを探さなければならなかったところだ。
金網を越えた先,曲がり角のすぐ向こうには,監視カメラがある。今度はこれを何とかしたい。そこで近くの監視所のようなところに向かい,監視員を殺害して,監視用コンピューターをハッキングしてカメラを無効化した。このようなコンピューターハッキングの用途としては,監視カメラのほか,警備用のロボットやタレットを無効化したり,逆に自分の物にしてしまったりもできるという。これは確か,オリジナルのDeus Exでも可能だったことだ。
ちなみに,監視員殺害の際には,ジェンソンの腕に仕込まれたブレードを使用していた。巨大な刃物がいきなりズルリと現れて,人を背後から串刺しにするシーンはなかなかショッキングだったが,もちろん誰も殺さずに進む方法も用意されているとのこと。
次は倉庫への侵入シーン。今回はステルスと壁の向こうの敵の居場所を知る機能(熱源感知?)を駆使して,屋根から侵入する方法をとったが,ここでも倉庫にアクセスする方法は,5パターンほどもあるという。
ガラス張りの屋根に到達し,ここからはいよいよ派手な戦闘が始まる。ガラスを蹴破って敵が集まっているど真ん中に降下,小型爆弾をばらまき,それらを一網打尽にする。その後,上空からロボットのような兵器が降下してきたので,これと交戦し,ロケットランチャーで破壊。ようやく目的のアイテムにアクセスできたが……どうやらワナが仕掛けられていたようで,触ったとたんにカウントダウンが開始。慌てて窓を破って外に脱出すると,ジェンソンと同じように身体の大部分がオーギュメント化されたキャラクターが登場した。
この存在感はおそらく本作における主人公のライバルとなるキャラクターなのだろう。不意を突かれて殴り飛ばされるジェンソン。倒れたジェンソンに向かってライバルの腕に仕込まれたガトリングガンが向けられて絶体絶命……というところでデモは終了。短い時間に実に多くの要素が圧縮されたデモで,実に見応えのある内容だった。
このあと,本作を開発するEidosモントリオールのメンバーDavid Anfossi氏と,Jean-Francois Dugas氏に対する,メディア合同のインタビューが行われた。以下に,そこで出た質問と回答を掲載しておこう。
Q:
デモにはHUDがなかったが,実際にはどうなるのですか。
Jean-Francois Dugas氏:
今回のデモにはありませんでしたが,HUDは用意する予定です。
Q:
デモでは,屋根ほどの高所から飛び降りたり,コンテナの上までジャンプしたりといった行動を取っていたが,これはオーギュメンテーションの効果ですか?
Jean-Francois Dugas氏:
そうです。それまでのプレイの過程で,そのような強化を行っていたから,あれらの行動は可能になっていたのです。もししていなかったら,あのように屋根の上からそれを蹴破って落下し,無事に着地するようなことはできません。
Q:
NPCに攻撃は可能ですか?
Jean-Francois Dugas氏:
はい,可能です。ですが無差別にそういうことをしていると,警察に狙われることになり,多くの警官に取り囲まれてしまえば,いくらジャンソンといえども,倒されてしまうでしょう。行動の選択肢を多く確保したいのでそのようなこともできるようになっています。
Q:
すべての局面に「コンバット」「ステルス」「ソーシャル」「ハッキング」それぞれのオプションが用意されているのですか?
Jean-Francois Dugas氏:
必ずその四つがある,ということではありません。たとえば明らかな敵地に侵入するミッションで,話術を使った「ソーシャル」なソリューションは用意されません。
Q:
伝説的な名作の続編を開発するにあたって,プレッシャーはありましたか?
David Anfossi氏:
ゼンゼンなかったけど?(笑)。――いやいや,大きなプレッシャーを感じていました。この作品の開発にはこれまでにも3年をかけており,また優秀なスタッフにも恵まれているので,クオリティの高いものを皆さんに提供できると考えています。
Q:
ヒューマンレボリューションというサブタイトルの意味を教えてください。
Jean-Francois Dugas氏:
その言葉には,いくつかの意味を含ませています。そのうちの一つは,本作の世界で,テクノロジーによって人体に改造を施すことで,通常の人間以上の存在を作り出せるようになっていることを指しています。
Q:
このゲームを通じてプレイヤーに伝えたいメッセージを教えてください。
Jean-Francois Dugas氏:
まずは,これはゲームなので楽しんでいただきたいと思います。そのうえで,単純に善や悪を描いているだけではない,本作のストーリーの奥深さも味わってもらいたいと思います。
Q:
今回,ヴィジュアルワークス(スクウェア・エニックスのCGチーム。本作のトレイラームービーを制作)と共同で作業を行って,その感想を聞かせてください。
David Anfossi氏:
簡単ではありませんでした。さまざまなことに対する考え方や取り組み方が異なっていたので,苦労した部分もありましたが,その分,学ぶこともありました。その成果は,完成したトレイラームービーの高いクオリティにあらわれて現れていると考えています。
Q:
デモを見て,オリジナルのDeus Exでできたことは,最新作でも同じようにできることは分かりました。ですが,今までになかった要素は,今回のデモではあまり感じられなかったように思えます。今回追加されたり,新しくなったりした要素としては,どのようなものが挙げられますか?
Jean-Francois Dugas氏:
今回最新作を作るにあたって,過去のDeus Ex1&2をかなりプレイしました。その結果,オリジナルの持つ良い部分はできる限り残していこうという方針をとることにしました。ですが他方でもちろん,新しい部分もあります。例えば,敵を倒す方法は,過去作品よりも多様になりました。また,会話の内容もしっかりと練り込みました。そのようなさまざまな改良点が集まることで,全体的にはより「エレガント」なゲームに仕上がっていると思います。前作は数年以上前の作品ですので,それを知らないゲーマーもいることでしょう。そういった人達にも楽しんでもらえるようになっていると思いますよ。
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