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[COMPUTEX]Microsoft,Windowsの幅広いエコシステムをアピール。Xbox 360やWindows Phoneとの連係も
パートナー各社にMicrosoftエコシステム選択のメリットを語る
COMPUTEX TAIPEI 2012開催直前の6月1日にはWindows 8の最後のβ版リリースである「Windows 8 Release Preview」(以下,Windows 8 RP)が公開されているので,すでに手持ちのPCにインストールしてみたというユーザーもいるかもしれない。また,Windows 8 RPでは,ARM版Windows 8こと「Windows RT」も初めて提供が開始されており,実際,会場のいたるところでWindows RT採用のタブレット端末が展示されていた。
スマートフォンやタブレットが爆発的な勢いで販売台数を増やし,PCの影が薄くなったといわれる昨今,PC業界の覇者であるIntelとMicrosoftは依然としてPCがITの重要な位置にあることを強調し,そのメリットを前面に押し出している。
Guggenheimer氏がパートナーらに語る「他社にはないMicrosoftと協業するメリット」とは,エコシステムの幅広さにある。例えば現在のスマートフォンやタブレットブームの火付け役となったAppleは,PCに該当するMacから,iPhone,iPod touch,iPadまで各種製品カテゴリを揃えているが,デバイスメーカーは1社のみ。協力各社は,サプライチェーンの一部として参加しているに過ぎないわけだ。Androidはそれよりも自由度が高いものの,カテゴリ的にはPCの領域をカバーしておらず,ビジネス的な実績も少ない。
一方,Microsoftは,あくまでコアとなるOSを開発するベンダーであり,実際の収益はOEMパートナー各社らによって支えられている。これはハードウェア部分の事情だが,同時にソフトウェアについても実績があり,やはり依然として一番大きなビジネスチャンスがあるのはMicrosoftのエコシステムであるというのがGuggenheimer氏の主張だ。
今回のMicrosoft FORUM 2012でも,いままであまり語られることのなかった「Windows Embedded」について,いくつか紹介が行われている。
Windows Embeddedとは,その名のとおり組み込み向けWindowsの統一ブランドであり,系統としては既存のWindowsをベースにした「Standard」と,Windows CEから派生したリアルタイムOS系の「Compact」の2種類が主に存在する。
Microsoftは今回,Windows 8をベースにした「Windows Embedded Standard」にCTP(Community Technology Preview)版が登場したことをアナウンスしている。CTP版は開発者向けβ版の一種であり,Windows 8の特徴であるMetroスタイルのアプリが利用できるほか,タッチ関連の新機能をサポートするなど,新OSの機能を組み込みOSで利用できるというメリットがある。
これまでの発表会ではあまり触れられなかった組み込み向けWindowsについて言及もされた。写真の車は,Windowsベースの車載システム「SYNC」を備えているとのこと |
組み込み向けの「Windows Embedded」には,既存のWindowsをベースにした「Standard」と,Windows CEから派生した「Compact」の2種類がある |
Windows 8採用タブレットやWindows Phone,Xbox 360などの連携をアピール
とくにSkyDriveでは,ローカルフォルダのようにクラウド上のファイルを操作できたり,相手と写真を共有する際のテンポラリの画像置き場として機能したり,あるいはSkyDriveを介してリモートPCのファイルを操作できたりと,Windowsにとってこれまでにない重要な機能になっているとアピールする。
Windows Storeでは,Windows 8 RP公開のタイミングでアプリが追加されたほか,各種アップデートが行われていると解説。台湾に出張兼観光に来たという設定で,各種アプリやOSの検索機能を使って旅行プランを立てるというデモが行われた。
各種Webサービスとの連携もWindows 8における魅力的な新機能の1つ。SkyDrive連携により,エクスプローラ感覚でクラウド上のストレージを操作できる |
台湾でのイベントということで,台湾に旅行に来たという設定でガイドアプリを紹介。こうしたアプリを手軽に入手できるのがWindows Storeのメリットだ |
そのほか,Microsoftエコシステムの重要なピースとして,「Windows Phone」「Xbox 360」(Xbox Live)が紹介されている。ただし,両者ともあくまで軽く説明された程度。Windows Phoneについては,「まだ話すタイミングではない」とし,Xbox 360については同時期に米国でE3が開催されていることもあり,そちらに話題を譲ったようだ。
Windows 8とWindows RTの今後を考察する
Intel自身もタッチ対応を押し出しているので,タッチパネル対応製品が今後増えそうだ。筆者が予想するに,Windows 8では以下のようなトレンドが段階的に進むのではなかろうか。
- タッチパネルの採用ベンダーが増え,実装コストが減る
- ユーザーがタッチ操作に抵抗がなくなり,タッチ操作に対応した端末を選ぶようになる
- タッチ非対応のノートPCを選ぶメリットが少なくなると,よりPC全体におけるタッチ対応端末の比率が増える
もちろん,Windows 8はキーボードとマウスでの操作もできるように設計されているが,Metroスタイルアプリで想定されている操作の多くはタッチ操作を前提としたものだ。ゆえにWindows Storeに登録されるアプリにタッチ操作を中心としたものが増えてくると,ユーザーはタッチ操作対応端末を選ばざるを得なくなる。こうした変化がどのくらいで起こるのかはわからないが,おそらくそう遠くない2〜3年後にはPCでのタッチ対応は当たり前のものとなるだろう。
また,Windows 8タブレットでは加速度センサーや近接センサー,GPS,NFCなど,各種センサーへの対応が推奨されている。実際に今回のCOMPUTEXで発表されたWindows 8タブレットの多くはそういったセンサーを搭載しており,今後登場するMetroスタイルアプリでもセンサー搭載を前提したものが増えてくるだろう。タッチ操作同様に,こうしたセンサー搭載も端末選択の目安になると考えられる。
Windows RTがリリースされるタイミングでは,「Tegra 3」,「Snapdragon S4」,「OMAP」(おそらくOMAP 4)といった3種類のプロセッサがリファレンスデザインとして採用されることが決まっている。
Qualcommによれば,「Snapdragon S4」を搭載したタブレットが初のLTE対応Windows RT機としてリリースされるとのこと。CPUコアの動作クロックは不明だが,Snapdragon S4のリファレンスデザインは1.5GHz駆動となっており,Tegra 3でも同様であるため,動作クロックについてはこのあたりが規準になると見られる。搭載メモリ容量は2GBで,これは「Windows RTの標準容量」(Qualcomm)だという。つまり現行のAndroidタブレットに多少メモリを増量すればWindows RTがスムーズに動作するというわけだ。
2012年末の発売が予想されるWindows 8。Windows RT採用製品も登場は同時期と見られている。今後アップデートされていく情報に注目しておきたい。
Microsoft公式Webサイト
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