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上位モデルは「Iris」。Intel,Haswellにおける統合型GPUの新しいブランド名を明らかに
Haswellでは統合型GPUが5レベルに分類される
最上位の2モデルが「Iris」に
さてIntelは,Haswellにおける統合型GPUが,最上位の「GT3e」から,「GT3」(の高TDP版)「GT3」(の低TDP版)「GT2」「GT1」と,5つの「Graphics Level」で分類されるとしたうえで,それぞれに異なる製品型番を与えると明らかにした。具体的には下記のとおりだ。
- GT3e:Intel Iris Pro Graphics 5200
- GT3(の高TDP版):Intel Iris Graphics 5100
- GT3(の低TDP版):Intel HD Graphics 5000
- GT2:Intel HD Graphics 4600・4400・4200
(※サーバー&ワークステーション向けは Intel HD Graphics P4700・P4600) - GT1:Intel HD Graphics
冒頭でも紹介したように,最大のポイントは,従来とは異なる,Irisというブランド名が上位2モデルへ与えられていることだろう。Haswellの一部で採用されるIntel Iris Graphicsのキーワードは,「従来比で最大2倍の性能」となっている。
次にGT3だが,ここは注意が必要だろう。というのも,Intelは下のようなスライドを示しており,それを見ると,GT3ではTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)が28Wか15Wかで2種類のGraphics Levelが設定されているように見えるからだ。
しかし,ここで示される2つのTDP値は「Ultrabook向けHaswellの,プロセッサ全体のTDP」であり,統合型GPUのTDP値でもなければ,GT3を統合するHaswellの統一的なTDP値でもない。要するに「より大きなTDPが許容されるGT3」と「より低消費電力に振ったプロセッサ用のGT3」があり,前者に「Intel Iris Graphics 5100」の名が与えられる,というわけである。
いずれにせよ,より高いTDPが許容されるほうのGT3には,GT3eと同じく,新しいブランド名が冠される。もう片方のGT3は,型番こそ「5000」だが,ブランド名は従来から引き続き「Intel HD Graphics」のままとなるので,この点は押さえておく必要があるだろう。
次にGT2だと,型番は現行のIvy Bridgeと同じく4000番台だ。「4600」「4400」「4200」と分かれていることからすると,性能は3段階あって,いずれもIvy Bridgeの「Intel HD Graphics 4000」から引き上げられているということなのだと思われる。
最下位のGT1について,今回Intelは何も語っていないが,ブランド名が「Intel HD Graphics」なので,おそらくはPentiumなど,エントリークラスのプロセッサで採用されるもののはずだ。
統合型GPUの大まかな性能指標も公表される
なお,Intelは,Haswell世代におけるCPUがどの程度のグラフィックス性能を持っているかも合わせて明らかにしている。
まずUltrabook向けでは,Ivy Bridge世代の「Core i7-3687U」(定格動作クロック2.1GHz,最大動作クロック3.3GHz,2C4T,L3キャッシュ容量4MB,Intel HD Graphics 4000/650〜1200MHz統合)に対し,GT3(15W)を搭載する「Core i7-4650U」では最大1.5倍以上,「Core i7-6558U」が最大2倍以上高い3D性能を発揮するとされた。
Core i7-4650Uに関してIntelが「15Wという低いTDPで長時間のバッテリ運用を実現しつつ、GPU性能の向上によって素晴らしいユーザー体験を実現できる」と予告していたことも付け加えておきたい。
Ultrabook以外のノートPC向けとして用意されるプロセッサでは,Ivy Bridge世代の「Core i7-3840QM」(定格動作クロック2.8GHz,最大動作クロック3.8GHz,4C8T,L3キャッシュ容量8MB,Intel HD Graphics 4000/650〜1300MHz統合)に対し,GT2搭載の「Core i7-4900MQ」が最大で1.5倍以上の性能を発揮し,さらにGT3eを搭載する「Core i7-4950HQ」では2倍以上の性能を発揮するとされた。
なお,Core i7-4950HQの場合,「高いTDPでドライブすることにより,さらに20%高い性能が得られる」ともIntelは位置づけていた。GT3eでは,「PL1=55W」で示されるように,高いTDPでの動作も可能になっているようだ。
最後がデスクトップPC向けで,今回は,Ivy Bridge世代の「Core i7-3770K」(定格動作クロック3.5GHz,最大動作クロック3.9GHz,4C8T,L3キャッシュ容量8MB,Intel HD Graphics 4000/650〜1150MHz統合)と比べ,「Core i7-4770K」が最大で1.75倍程度,「Core i7-4770R」が最大で3倍近く高い性能を発揮するとされた。
なお,「GT3の性能を持つコア」が具体的に何のことを指すか,まだIntelは明らかにしていない。
気になるのは「GT3e(など)が単体GPUやAMDのAPUと比べてどの程度の性能を発揮するのか」だが,Intelは「Haswellのグラフィックス性能は極めて高く,Ultrabookなどに対して新たな価値をもたらすものだ」とするに留めていた。まだそこまでは明かせないということなのだろう。
ともあれ,6月上旬のCOMPUTEX TAIPEI 2013における正式発表は明らかになっているわけで(関連記事),おそらく今後も,今回のように情報は少しずつ出てくるのではなかろうか。続報に期待したいところだ。
Intel日本語公式Webサイト
Technology@Intel blogの当該ポスト(英語)
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Core i7・i5・i3-4000番台(Haswell)
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