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AMD,次世代APU「Trinity」をUltrabook対抗としても投入へ。ノートPC向けGPU「Radeon HD 7000M」の上位モデルは「出荷準備完了」
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印刷2012/01/18 00:00

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AMD,次世代APU「Trinity」をUltrabook対抗としても投入へ。ノートPC向けGPU「Radeon HD 7000M」の上位モデルは「出荷準備完了」

 米ラスベガスで現地時間2012年1月10〜12日に開催された2012 International CES。AMDはそこで報道関係者および顧客向けのプライベートブースを設け,次期Fusion APU A-Seriesとなる「Trinity」(トリニティ,開発コードネーム)や,Radeon HD 7000Mシリーズに関する最新情報を明らかにした。


従来製品比でCPU,GPU性能が増すTrinity

Ultrabookセグメント向けのTDP 17Wも用意


Raymond Dumbeck氏(Senior Manager, Global Product Marketing, AMD)
画像集#002のサムネイル/AMD,次世代APU「Trinity」をUltrabook対抗としても投入へ。ノートPC向けGPU「Radeon HD 7000M」の上位モデルは「出荷準備完了」
 AMDでクライアント製品のマーケティングを担当するRaymond Dumbeck氏は,Trinityにおけるポイントが,次に挙げる6項目になると予告する。

  1. Piledriver」コアの採用により,現行のA-Seriesと同一TDP&価格帯で比較して25%高いx86 CPU性能の実現(※25%の根拠は「PCMark Vantage」のスコアとされる)
  2. 統合型GPUにはRadeon HD 7000シリーズの型番が与えられ,現行のA-Seriesと同一TDP&価格帯で比較して50%高い3D性能の実現(※50%の根拠は「3DMark Vantage」のスコアとされる)
  3. Windows 8への最適化
  4. ビデオ再生支援機能の強化
  5. 12時間以上のバッテリー駆動時間
  6. AMD Turbo CORE Technology 3.0対応

次期AMD A-SeriesとなるTrinityの特徴。統合型GPUはRadeon HD 7000番台を名乗ることとなる
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TDP 17W版Trinity
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Leslie Sobon副社長(Corporate Vice President, Global Product Marketing, AMD)
 さらにDumbeck氏は,Trinityで,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)17W版のラインナップも用意し,「Ultrabookのような薄型ノートPCに,APUの優れた性能をもたらす」ともアピールしていた。

 また,同社でクライアント製品のマーケティングを統括するLeslie Sobon副社長は,「GPUのリソースを有効に活用できるAPUなら,タッチインタフェースや音声認識などのナチュラルユーザーインタフェースを,より低消費電力かつ高い精度で利用できる」と述べ,TDP 17W版のTrinityが,タブレット機能を統合した薄型ノートPCなどにおけるユーザーインタフェースの進化をもたらすという考えを示している。
 「薄型ノートPCや高機能タブレットにもTrinityを活用してもらえるように,TDP 17W版では,μPGAパッケージでなく,(マザーボードに直接実装する仕様の)BGAパッケージを採用した」(Sobon氏)とのことで,AMDは本気だ。

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TDP 17W版Trinityの存在が明らかにされた。AMDは「Ultrathin」という言い方をしているが,これがUltrabook対抗であることは明らかだ
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2011年後半にGLOBALFOUNDRIESの32nmプロセスにおける生産性が大幅に向上したとAMD。Trinityの安定した量産出荷が可能な状態にあるという
 AMDのプライベートスイートでは,現行のAMD A-Seriesベースのプラットフォームと,ごくごく一般的なWebカメラを組み合わせただけで,身体と指の動きをそれぞれ別々に認識してWindowsをジェスチャー操作できるようにするデモが披露されていた。統合型GPUのコンピューティング性能を,3Dゲームだけでなく,より身近なアプリケーションにも適用しようという,AMDのスタンスのアピールというわけである。

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GPUのコンピューティング性能を活かしたジェスチャー認識のデモ。身体の動きと指の動きを別々に認識し,Windowsとマウスの遠隔操作を実現する
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ジェスチャー認識のデモでは,eyeSightのソフトウェアを利用。一般的なWebカメラでジェスチャーと指先を同時にトラッキングすべく,GPUを利用しているという

Mystery Demo?と題されたTrinityのデモ
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 Trinityに話を戻そう。
 AMDは,Trinity搭載システムによる「Mystery Demo」(同社)も披露していた。これは一見すると,デスクトップPC上で3DゲームとHDビデオのトランスコードを同時処理しているだけのように見えるが,実は,デスクトップPCの筐体内に置かれたノートPCで,3Dゲームとトランスコード,そしてHDビデオ再生の3画面出力を行っている,というものだ。

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デスクトップPCで3DゲームとHDビデオのトランスコードを同時に行うデモ,のように見えるが……(下に続く)
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(続き)側板を開けるとそこにはAMDのTrinityリファレンスノートPCが。しかも,HDビデオの再生も同時に行われていたので,3画面出力ということになる

Trinity搭載ノートPCのクローズアップ
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 要は,「ノートPC本体でもデスクトップPC並みのマルチタスク性能がありますよ!」というデモなのだが,4Gamer読者ならピンと来るように,

  • 3Dゲーム:GPU
  • ビデオトランスコード:CPU
  • HDビデオ再生:GPU内蔵のUVD機能

と,APU内部で処理を分散したものであって,マルチタスク性能というよりは,Trinityの優れた機能性をアピールするものといったほうが正しそうである。

こちらもなかなかすごいデモ。左の小型PCから手前の小型プロジェクタに映像を出力している……と思いきや,右に置かれた意味深なCPUクーラーがくり抜かれて,中にAMD C-Series APUを搭載すると思われるシステムが入っているのだ。この“CPUクーラーPC”から,映像出力が行われている
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 なお,2012 International CESにおいて,AMDはデスクトップPC向けTrinityに関する情報開示をなにも行わなかった。おそらく,2月上旬に開催される投資家向け会議で明らかにするものと思われる。


Radeon HD 7600M〜7300Mはリネーム品にあらず!?

28nm版の上位モデルはIvy Bridgeに向け準備万端


Ognjen“Ogi”Brkic氏(Manager, Notebook GPU Product Management, AMD)
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 2012 International CESの開幕に合わせて,AMDは40nmプロセス技術を採用したRadeon HD 7000Mシリーズを発表済みだが(関連記事),同社でモバイルGPUのプロダクトマネージャーを務めるOgi Brkic氏はこれらについて,「40nmプロセス技術を採用したRadeon HD 6000Mシリーズと同一のシリコンだが,単にリネームしたものではない」と述べている。

40nmプロセス版Radeon HD 7000Mシリーズの特徴
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 10日の時点で発表されたのはRadeon HD 7600M以下のモデルナンバーだが,氏はそれらが,Radeon HD 7000Mシリーズの下位ラインナップをカバーするものであること,そして,従来製品の高クロック化やファームウェアアップデートによる機能追加を施したモデルであることを認めている。
 ただし,「Radeon HD 7500Mでは,Radeon HD 6700Mのダイを,Radeon HD 6400Mと同じサイズのパッケージに搭載するなど,顧客が求めるニーズに応える形で“組み直し”をしている」(Brkic氏)ため,純然たるリネームではない,というわけだ。

AMDプラットフォーム(上段)とIntelプラットフォーム(下段)における,Radeon HD 7690Mと同7590Mの3Dベンチマーク指標。上下段とも,左がRadeon HD 7690M,右がRadeon HD 7590Mのデータだ
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 なお,現時点におけるRadeon HD 7000MシリーズのラインナップをRadeon HD 6000Mと比較したものが次のになる。

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 AMDは,Radeon HD 7000Mシリーズの発表にあたり,最新ゲームタイトルにおけるベンチマークテスト結果も公開しているが,「GDDR5メモリチップの採用やコアクロックの引き上げにより,メインストリーム市場向けGPUでも『Battlefield 3』で30fpsを超える。プレイアブルな性能を実現しているのだ」と,Brkic氏はその性能に自信を覗かせていた。

Graphics Core Nextアーキテクチャを採用した28nmプロセス版Radeon HD 7000Mシリーズの投入が予告された
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 さて,気になる上位モデルについてだが,Brkic氏は,「Graphics Core Next」(以下,GCN)アーキテクチャをベースとする28nmプロセス版のRadeon HD 7000Mシリーズを,2012年第2四半期に正式発表すると予告している。
 氏いわく「28nmプロセス版は,エンスージアスト(≒ハイエンド)市場とパフォーマンス(≒ハイクラス〜ミドルクラス)市場向けに投入する計画で,すでに出荷準備も整っている」。要するに,Intelの次世代CPU「Ivy Bridge」(アイヴィブリッジ,開発コードネーム)搭載ノートPCの量産に向けたAMD側のGPU出荷体勢は万全であり,あとは第2四半期とされるIvy Bridgeの発表を待っているだけというわけだ。

エンスージアスト向けGPU(左)とパフォーマンス向けGPU(右)を,それぞれCrossFireXによる2GPU構成で搭載したノートPCのデモ
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 その証拠,と言わんばかりに,AMDはプライベートスイートで,Radeon HD 7000Mシリーズのエンスージアスト向けGPUとパフォーマンス向けGPUをそれぞれ2基ずつノートPCに搭載した2-way CrossFireXのデモを披露していた。2011年12月の「Radeon HD 7970」事前説明会場でひっそり展示されていたノートPCは,Radeon HD 7000Mシリーズの最上位モデルを搭載したものだったことになる。

 Brkic氏は,28nmプロセス世代のRadeon HD 7000Mシリーズでは,デスクトップ版と同様に,より洗練された電力制御機能やディスプレイ技術,ビデオ再生支援機能などが搭載されると予告し,また,DirectX 11.1のサポートも明言していた。

AMD公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    AMD A-Series(Trinity,Richland)

  • 関連タイトル:

    Radeon HD 7000M

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