インタビュー
周囲はすべて敵――1周年を迎える「MONSTER×DRAGON」の大型アップデート「SURVIVE」は,プレイヤー全員が敵になる「サバイバルアリーナ」を実装
モンドラと言えば,国家に属する傭兵として,仲間と協力して他国よりも多くのクリスタルを手に入れるという作品だが,どうも今回のアップデートで追加される新ルールは,「自分以外がすべて敵」という,これまでと相当に毛色が違うものになるらしい。
1周年という節目で実装される今回のアップデートは,はたしてどんな内容なのか。本作プロデューサーの岡山博紀氏,アシスタントプロデューサー 東度武史氏に話を聞いてみた。
「MONSTER×DRAGON」公式サイト
周りの99人はすべて敵! 新モード「サバイバルアリーナ」が登場
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。モンドラは2011年の12月12日にサービスが始まって,まもなく1周年を迎えますね。
はい。あっという間でした。感慨深いものがあります。
4Gamer:
そんな1周年という節目で実装される今回のアップデート「SURVIVE」とは,どんな内容になるのでしょうか。
岡山氏:
現在,スクウェア・エニックスのブラウザゲームには,「戦国IXA」を始め,「クリスタル◆コンクエスト」「ブレイブリーデフォルト プレイングブレージュ」と,いろいろなタイトルが揃っています。ですから,これまでのような「モンドラを世の中のすべての人に遊んでもらいたい」といった感じではなく,「モンドラらしくより深みを出していく」といった展開ができるようになったと思っています。
本日お伝えする内容すべてを12月12日に実装する予定で,9月から準備を進めてきましたが,その内容は正直……これまでとは全然違う,「別ゲーム」です。
4Gamer:
別ゲーム……ですか。詳しく教えてください。
岡山氏:
まずは,こちらのメッセージをご覧ください。
傭兵達よ!
竜が地を砕き,魔が空を支配するこの世界でよくぞ生き抜いた!
血とクリスタルを求めてやまない戦士達に新たなる地獄を与えよう。
「サバイバルアリーナ」
そこは,資源を奪い合うだけでは飽きたらない猛者達が,自らの武を誇る場所。
あらゆる闘争が詰まった試練の釡。
存分に戦うがいい……
その生命とクリスタルが尽き果てるまで!
岡山氏:
キャッチコピーは「全員,敵」です。プレイヤーさん達には,さらなる地獄の戦場を味わっていただきたいと思います。
4Gamer:
この「サバイバルアリーナ」が新モードの名前になるわけですか。
岡山氏:
そうです。サバイバルアリーナは,一つのマップに最大100人のプレイヤーが参戦し,基本的に誰にでも攻撃できるというものです。ただし,制限時間のあいだずっと戦い続けるというものではなく,戦場で自分が撃破されるまでスコアを稼ぎ続けて,その点数を競うモードになります。
4Gamer:
FPSではそういった乱入型のモードもありますよね。撃破されるまでということは,その時点でスコアが確定して追い出されるという感じでしょうか。
岡山氏:
いえ,追い出されるのではなく,いったん観客席に移動して,観戦モードになります。そして次に誰かが撃破されて,戦場に空きができたら,順番に入れ替わっていくという形ですね。
4Gamer:
戦場が満員でなければ即時リスポーンできるわけですね。
岡山氏:
はい。このモードでは,生き残った時間の長さや行動で評価が決まるので,これまで通りの戦い方をしていても,それだけでは評価されません皆さんにガッツリと自分の腕を試していただけるモードになると思います。
4Gamer:
なるほど。気になったのですが,現行の戦場とサバイバルアリーナは,同時に開催されるんですか? もしくは,いまは通常の戦場,次にサバイバルアリーナのように交互に遊べるモードが変わるのでしょうか。
岡山氏:
いえ,どちらも並行してずっと開催しています。もちろん,通常の戦場もこれまでどおり皆さんに遊んでいただきたいので,夜のランキング戦のフィーバー感は残していきます。加えてお伝えしておくと,サバイバルアリーナは,退出を自分で選べるので,「5分しか遊べないけど,5分間だけスコアを稼ごう」といった遊び方もできるんです。
4Gamer:
これまでの戦場も,1ゲーム30分という手軽に楽しめるものでしたが,その30分間はみっちりとプレイする必要がありましたよね。
岡山氏:
サバイバルアリーナは,より少ない時間で遊べるようになっています。いまも短時間で遊べるモードとして,一人で遊べるミッションモードや,短時間で決着することもある「二ヶ国戦」などがありますが,やはり多くののプレイヤーと一緒に遊んだほうが面白いですし,「ギルドメンバーが集まってないから1人でちょっと稼ごう」くらいの気軽さで参加できるものを用意したかった背景もあります。
4Gamer:
なるほど。先ほどのお話では,生存時間の長さもスコアに影響するとのことでしたが,例えば朝遊ぶ人と夜遊ぶ人とでは,その時間帯の参加人数によって,生存時間に有利不利ができそうですが。
岡山氏:
確かに,ずっとサバイバルアリーナを開き続けている状態で,累積型のハイスコアだと,朝から参加している人には誰も追いつけなくなりますね。そこで,サバイバルアリーナの戦場は1時間ごとに区切り,1度死んでしまうとスコアが再度0からスタートというルールになっています。ですから,生き残りのランキングは,最大でも1時間になりますが,そんなに生き残れないと思います(笑)。
4Gamer:
と言うと?
岡山市:
スコアの順位がリアルタイムで分かりますから。
4Gamer:
そうなると,スコアの更新を阻止するために,当然そのプレイヤーが集中して狙われるわけですね。
岡山氏:
そうなんですよ。上位になればなるほど,「1対99」の状況になりやすいです。
4Gamer:
なるほど。これまでは協力プレイによる国家の戦いがメインでしたが,このモードでは完全に対人戦がメインになっていますね。そうなると初心者が参加するのは,なかなか難しそうですが。
岡山氏:
サバイバルアリーナは,上級者の腕試しとしても楽しめ,初心者の方でもほかのプレイヤーからスルッと逃げつつ,マップにはNPCもいるので,それを倒してポイントだけ稼いでから脱出しても,その分の報酬はちゃんと出ますので,気軽に参加していただければと思います。
4Gamer:
サバイバルアリーナのルームは,同時にどれくらい立つんでしょうか? ルーム数が少なくて混雑していると,ちょっとした空き時間に遊びたくても,なかなか参加できませんよね。
岡山氏:
調整中ですが,全員が遊べるくらいのルーム数を用意するのも一つの案ではあります。一方で,そんなに多くルームを立てず,観戦しながら「このプレイヤー,あんな動きをするのか」とチャットで盛り上がるのも面白いとも思っています。最終的には,皆さんがストレスなくすぐに参加できて,すぐ退出できる。チャットも盛り上がっているといったバランスのルーム数にしたいですね。
4Gamer:
チャットは,戦闘に参加している人と観戦している人が一斉に発言できるんですね。
岡山氏:
ええ,全員同じチャットが見えます。
これまでのモンドラは,4国それぞれに自軍のチャットがあって,敵国のチャットでどんな発言があるのかは分からない状態でした。一方で,サバイバルアリーナでは,100人全員でワイワイと遊べるようになります。ですので,これまで以上に,お祭りっぽいモードになりそうだと,手応えを感じています。
4Gamer:
ちなみに,アリーナでは,同じギルドメンバーにも攻撃できるんですか?
岡山氏:
えーと,できます(笑)。
4Gamer:
なるほど……できるんですね。さすがに,ギルドメンバー同士では協力しそうな気がしますが,うっかり範囲攻撃に巻き込まれる可能性はあるわけですね。ほかのプレイヤーとのパーティは組めるんですか?
岡山氏:
いえ,現在のところは組めません。
4Gamer:
ということは,ギルドチャットを使って「ちょっと組まないか」と交渉する人が出てきたりするでしょうし,その場にいる人同士で,こっそり協力することもありそうですね。そのあたりの,プレイヤー間の駆け引きがすごく面白そうです。
岡山氏:
協力するプレイヤーはいるでしょうね。ただ,アリーナでは,ちょっとでもHPが減るとすぐ狙われますので……なかなか仲間全員で生き残るのは難しいと思いますよ。
4Gamer:
生き残るために,少しでも倒しやすいプレイヤーに群がるでしょうね……なんか怖いですが(笑)。でも,逆に自分からは攻め込まずに牽制する人も多くなりそうですね。
岡山氏:
そうですね。慣れてくるとおそらく漁夫の利を狙うようになるんですよ。「誰かが殴り合わないかな」と。そこで,膠着を許さないように,この戦場ではNPCが暴れ回っています。彼らは,とくにターゲットを気にせず,プレイヤーに近づいて殴りかかってきます(笑)。
4Gamer:
NPCが場をかき回すことで,プレイヤーのHPが減って戦場が動くわけですね。NPCも倒されたらリスポーンするんですか?
岡山氏:
ええ,マップのどこかに,また出てきます。もっとも,NPCの数を増やしすぎると人と戦うどころではなくなってしまうので,そこまで多くは出現しませんが。また,先ほど話したように,NPCを倒してもポイントが入手できますし,報酬の多いNPCもいますので,取り合いになることもありえますね。
4Gamer:
上級者と初心者とでかなりの実力差があると思いますが,プレイヤーの腕に合わせてルームは分けられますか? それとも,全員分け隔てなく混ぜられてしまうんでしょうか。
岡山氏:
上級者用と初心者用のルームを分けていく必要はあると思っていますが,まずは,いったん混ぜてやってみようかなと考えています。というのも,初心者がどこの部屋に入っても,何らかの報酬が得られるバランスを見極めたいと考えているからです。
4Gamer:
初心者と上級者が同じ部屋で戦った場合,初心者が一方的に狩られてしまいそうですが。
岡山氏:
確かに初心者を狙いたくなるかもしれませんが,上級者にとっても周り全員が敵になるので,それだけを狙うというのは難しいでしょう。それに初心者も進んで戦いにいかなければ,もしかしたら上級者より長く生き残れるかもしれません。
4Gamer:
なるほど。周りがすべて敵,というと難度が高そうなイメージを受けますが,立ち回り次第では意外と稼げてしまうのかもしれないんですね。
岡山氏:
大勢の人間の欲望がうずまく世界なので,したたかに生き抜いていただければと思います(笑)。とにかく,混沌としていると思うので,あまり上級者だ,初心者だというのは関係ないでしょう。あとは回復カードなどの使い方もキーになるでしょうね。
4Gamer:
先ほど,ギルドメンバーにも攻撃できるとうかがいましたが,自分以外のプレイヤーを回復させることもできるのでしょうか。
東度氏:
いえ,現在のところ,回復や補助効果は自分にしかかからない仕様です。
4Gamer:
そうすると通常の戦争に比べて,カードの価値やデッキの組み方も変わってくるでしょうね。報酬自体は,通常の戦争と同様ですか?
岡山氏:
今のところは「何かしらの報酬が出る」とだけ言っておきます。
4Gamer:
分かりました。ちなみに,サバイバルアリーナは物語の設定上,どういった位置付けになるんでしょうか。
岡山氏:
そこは多分,いずれ語られると思います(笑)。ちょっとだけお話しすると,設定上ではプレイヤーは傭兵です。元はその傭兵達が始めた遊びが発展して競技場となった,といった感じですね。
新たに2体のフォートレス,2人のコマンダーも追加
岡山氏:
また,サバイバルアリーナの登場に合わせて,フォートレスの追加も予定しています。追加するのは,「舞神機竜アマテラス」「暴神機竜スサノオ」の2体で,神の名が付くくらいですから,これまでのフォートレスとはひと味変わった能力をもっています。
4Gamer:
どちらも見るからに強力そうです。
岡山氏:
ええ,強力ですよ。アマテラスは移動範囲が9と長いので,戦場を華麗に移動して,クリスタルを持っている人を急襲するような活躍ができると思います。しかも,倒した敵のクリスタルをプラス30%奪うことができる能力も持っています。
4Gamer:
ということはアマテラスに倒されると,結果的に所持クリスタルの80%が一気に奪われてしまうんですね。それは怖い。
岡山氏:
一方のスサノオは,クリスタルを持っている敵を倒せば倒すほど,自分がどんどんパワーアップしていくというタイプです。移動距離とAPの上限がプラス2ずつ,最大5回まで上がります。最初の移動範囲が7でAPが9なので,最大17,19まで増えますね。
4Gamer:
一度パワーアップしたら,その戦いが終わるまでずっとステータスが上がったまま,ですか。
岡山氏:
高いままなんですよ。
4Gamer:
これも,とんでもない能力ですね……。
岡山氏:
当然,クリスタルを持っている人はアマテラスやスサノオが近づいてきたら「ヤバい」と逃げると思うので,強力だけど確実に警戒されるというジレンマを味わっていただければと。この2体の出現によって,相手を積極的に倒すプレイスタイルがより加速すると思います。
また,コマンダーも新しく2人が入ります。1人は「踊り子」です。「踊り子」は,自分や相手にさまざまな効果をおよぼす能力を持つコマンダーです。なかでも,山札から直接防衛カードをセットする「魅惑のタンゴ」が非常に強力です。
4Gamer:
それは大きなアドバンテージになりそうですね。
岡山氏:
もう1人の「ギャンブラー」は,「手札が悪いな」と思ったときに,手札をシャッフルできる「ショットガンシャッフル」を持っています。デッキを作るうえでのサポーターになってくれるでしょう。これまでも,デッキの中にそういった効果を持つカードを入れているプレイヤーは多かったと思いますが,ギャンブラーを採用することで,ほかのカードに入れ替えられる可能性が広がります。ほかにも「ギャンブラー」の名に恥じぬような,さまざまな能力がありますのでお楽しみに。
踊り子 |
ギャンブラー |
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