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1万円台前半の「A8-7600」と1万円以下の「A6-7400K」,Kaveriの安価な選択肢2モデルを試す
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印刷2014/08/15 11:00

レビュー

デスクトップPC向けKaveriの安価な選択肢2モデルを試す

A8-7600 with Radeon R7 Graphics
A6-7400K with Radeon R5 Graphics

Text by 宮崎真一


A8-7600(上)とA6-7400K。OPNは順に「AD7600YBI44JA」「AD740KYBI23JA」となっていた
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 日本時間2014年8月8日,AMDのデスクトップ向けAPU新製品「A8-7600 with Radeon R7 Graphics」(以下,A8-7600)と「A6-7400K with Radeon R5 Graphics」(以下,A6-7400K)が販売開始となった。A8-7600は「A10-7850K with Radeon R7 Graphics」と同じく2014年1月に,A6-7400Kは「A10-7800 with Radeon R7 Graphics」(以下,A10-7800)と同じく2014年7月にそれぞれ発表済みだったが,それらがようやく市場投入されたことになる。

 モデルナンバーから想像できるとおり,A8-7600とA6-7400Kはいずれも,デスクトップPC向けKaveriのラインナップを下方向へ広げるものだ。2014年8月15日現在の実勢価格は順に1万1000〜2000円程度8500〜9500円程度と,かなり安価な設定での販売開始となっている。
 上位モデルの3D性能が単体GPUでいうエントリークラスとなる現行世代のAMD A-Series APUだが,その下位モデルでは,ゲーム用途で何を期待できるだろうか。短時間ながらテストできたので,今回はその結果をお伝えしたい。


低消費電力クアッドCPUコアAPUを目指したA8-7600と

遊べる低価格プロセッサになっているA6-7400K


パッケージはFM2+
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 A8-7600とA6-7400Kにおける最大の違いは,CPUコア周りだ。A8-7600は「Steamroller Module」を2基搭載して4コア4スレッド対応となるのに対し,A6-7400Kの場合はSteamroller Moduleが1基となるため,2コア2スレッド対応となる。Kaveri世代のAPUだと,共有L2キャッシュはSteamroller Moduleごとに2MB用意される仕様のため,両製品ではL2キャッシュの容量も異なってくる。
 メモリ周りについて続けると,A8-7600はA10-7800と同じくDDR3-2133対応なのに対し,A6-7400KだとDDR3-1866対応に留まるところも押さえておくべきだろう。

 動作クロックは,A8-7600が定格3.1GHzの最大3.8GHzと,とくに定格クロックがKaveri世代のデスクトップPC向けAPUとして低く抑えられている一方,
A6-7400KはA10-7800と同じく定格3.5GHz,最大3.9GHzに設定されている。付け加えるなら,「K」付きの倍率ロックフリー仕様であり,A6-7400Kでは少ないCPUコア数を動作クロックでカバーするような格好になっているといえそうだ。
 表1は,そんなA8-7600とA6-7400Kのスペックを,両製品の上位モデルであるA10-7800ともどもまとめたものとなる。

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 一方のGPUコア側だが,A8-7600とA6-7400Kのコアアーキテクチャはもちろん「Graphics Core Next」(以下,GCN)。GCNアーキテクチャにおける演算ユニットとして機能するブロック「GCN Compute Unit」は,A8-7600が6基,A4-7400Kが4基となる。GCN Compute Unitあたりのシェーダプロセッサ数は64基なので,シェーダプロセッサの総数で言えば,A8-7600は384基,A4-7400Kは256基となるわけだ。
 その主なスペックは表2のとおり。A10-7800が持つGPUコアの規模を4分の3にしたものがA8-7600で,一方のA6-7400Kは,GPUコアの動作クロックこそ高められているものの,全体的にかなりのスペックダウンが図られたものになっているといえる。

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 もちろん,AMDが提唱する「HSA」(Heterogeneous System Architecture)に対応する点,プログラマブルDSP技術「TrueAudio」や第4世代UVDとなる「UVD 4」を採用する点などは上位モデルと変わっていない。

Catalyst Control Centerの「ハードウェア」を開いたところ。左がA8-7600,右がA6-7400Kのものだ
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A10-7800との比較で相対性能を検証

cTDP 45Wでのテストも実施


 2製品のテストにあたって,今回は表1,2でその名を挙げたA10-7800を比較対象として用意している。上位モデルとの比較から,相対的なゲーム性能を見てみようというわけだ。
 なお,表1で示してあるように,A8-7600とA6-7400Kはいずれも,対応マザーボードのUEFI(≒BIOS)からTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の枠をユーザーが選択すると,その枠内で動作クロックやコア電圧が自動的に調整される「Configurable TDP」(以下,cTDP)に対応している。そこで,定格TDPとなる65Wだけでなく,cTDPである45Wでも,今回はテストしてみることにした。以下,文中,グラフ中とも,45W cTDPでの動作は「A8-7600 45W」といった形で表記して区別するので,その点はあらかじめお断りしておきたい。

 そのほかテスト環境は表3のとおり。利用するグラフィックスドライバは,テスト開始時点の最新版となる「Catalyst 14.7 RC」だ。

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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション15.2準拠。ただし,A8-7600とA6-7400Kがエントリー市場向けモデルであることと,テストに利用できる時間が短いことから,今回は「Battlefield 4」と「Crysis 3」「GRID 2」のテストを省略した。また,製品の立ち位置から,「高負荷設定」およびそれに準じたテストは省略し,かつ,レギュレーションで「エントリー設定」があるものはそちらを積極的に用いることにもしている。
 テスト解像度は,1280×720ドットと1600×900ドットの2パターンとした。これも,主役の2製品がエントリー市場向けであるための対応だ。

 なお,これはA10-7800のレビュー時と同じだが,A8-7600とA6-7400Kについては,AMDから「Cinebench」「Sandra」「Super Pi」など,CPUの基本性能に関するテストを行わないようにとのお達しが出ているため,基礎検証的なテストは省いている。


A8-7600はA10-7800比で95%前後のスコアを発揮

A6-7400Kは7割前後に


 テスト結果を見ていこう。グラフ1は3DMarkの総合スコアをまとめたものだが,A8-7600はA10-7800の88〜90%程度,A6-7400Kは同62〜66%程度という結果になった。A8-7600でGCN Compute Unitが2基減ったことで1割強のスコア差が生じ,A6-7400Kでは総合的な要因によってA10-7800との間に4割弱のスコア差が生じたということだと思われる。いずれも,おおむね妥当な結果と述べていいのではなかろうか。

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 上のグラフ1でcTDP 45W設定時のスコアを見てみると,A8-7600 45WはA8-7600の97〜99%程度,A6-7400K 45WはA6-7400Kの97〜99%程度で,いずれも65W設定時と比べてそれほど落ちていない。それはなぜかを探るべく,Sky Diverテストにおける「Graphics Score」と「Physics Score」を抜き出したものがグラフ2だ。
 Graphics ScoreはGPU性能,Physics ScoreはCPU性能をざっくりチェックできる項目だが,これを見ると,A8-7600 45WとA6-7400K 45Wのいずれも,45W cTDP設定がGPUクロックに影響を与えていない一方で,CPUクロックには影響を及ぼしていることが見て取れる。
 CPU性能がスコアを左右しにくいゲームをプレイするにあたっては,cTDPで45W設定を選んでも,失うものはあまり大きくないと言ってよさそうだ。

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 続いてグラフ3は「BioShock Infinite」のテスト結果だが,ここでA8-7600のスコアはA10-7800比で約96%,A6-7400Kは同75〜76%程度と,上位モデルとのスコア差を若干縮めてきた。ただ,A6-7400Kは1280×720ドットでも,レギュレーションの規定する平均40fpsをクリアできておらず,絶対性能にはやや不安が残る。
 ちなみに,45W cTDP設定時のスコアは標準の65W設定時と比べてもほとんど変わらないが,BioShock InfiniteはもともとCPU負荷の低いタイトルなので,これは妥当な結果といったところである。

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 「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)のテストをエントリー設定で実行した結果がグラフ4だ。ここだとA8-7600のスコアは対A10-7800で92〜96%程度,A6-7400Kは同70〜75%程度となった。
 A8-7800とA8-7600 45Wではやや開き気味のスコア差が,A6-7400KとA6-7400K 45Wだとそうでもないのは,純粋にエントリー設定のSkyrimを前に,A6-7400Kの絶対性能が不足しているためだと思われる。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)の結果をまとめたグラフ5でも,3製品の力関係はこれまでとあまり変わらない。A10-7800と比較し,A8-7600は97〜98%程度,A6-7400Kは74〜75%程度だ。
 実スコアで見ると,A8-7600は,解像度1280×720ドットで,スクウェア・エニックスが示すベンチマーク指標の最上位「非常に快適」となるスコア7000まであと一歩に迫っている。A8-7600も,上から2番めの指標である「とても快適」の枠内(5000〜6999)に入った。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 消費電力もチェックしておこう。
 ここでは,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力により比較することとした。テストにあたってはゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。

 その結果がグラフ6だ。
 アイドル時はほぼ横並びなのでアプリケーション実行時を見てみると,まず目を引くのは,A8-7600とA10-7800でほとんど違いがないことだ。新生FFXIVベンチを実行したときは誤差レベルで逆転してしまうほどなので,両製品の違いはほぼないと述べていいのではなかろうか。
 A6-7400Kは,Steamroller Moduleが1基無効化されていることもあり,明らかに消費電力は低い。

 65W動作時の消費電力が近いA8-7600とA10-7800が,45W cTDP時でも近いスコアを示している点と,また,A6-7400 45Wがそれより少しだけ低い消費電力値を示しているのも興味深いところである。

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コストバランスは相当に良好なA8-7600

A6-7400Kはとにかく安く抑えたい人向けか


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 上位モデルたるA10-7800の実勢価格は1万6500〜1万8000円程度(※2014年8月15日現在)。それに対してA8-7600は同1万1000〜2000円程度と,かなり安価といえ,その点でA8-7600には相応の価値があると述べていいように思う。価格差ほどには性能差がないので,“軽い”ゲームが動くPCや,何らかの事情でサブのゲームPCを手に入れたいという場合の選択肢としては,A10-7850Kとの価格差があまりないA10-7800より,むしろA8-7600のほうが適切な予感さえする。

 一方のA6-7400Kは,エントリークラスの3D性能と呼ぶにはかなりギリギリの性能であり,ゲーム用のAPUとして使うには,かなりの割り切りが必要になるだろう。UVD 4を用いたビデオ再生マシンに使ったりするならアリかもしれないが,3Dゲーム用に安価なAPUを使いたい場合は,あと2000〜3000円程度予算を増やして,A8-7600を選んだほうがいいのではなかろうか。

AMDのAMD A-Series APU製品情報ページ

  • 関連タイトル:

    AMD A-Series(Kaveri)

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